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そして誰もポイントを貯められなくなった

 近未来の新日本では、医療技術の進歩により、すべての人間の成長が25歳の健康体で止まるよう遺伝子操作が施されていた。25歳の誕生日以降は、『ポイポン』と呼ばれるポイント情報端末が示す『余命ポイント』だけで生き延びることができる社会が築かれていた。

 ポイポンは、俗称としてすっかり定着したポイントフォンであり、貧困層にとっては命そのものを意味していた。彼らは1分ごとに1ポイントが消費され、1時間で60ポイント、1日を生き延びるには1,440ポイントが必要だ。一方、富裕層は数千年間も生きられるポイントを所有しており、絶望的な格差社会が生まれていた。

 ポイポンは、マイナンバーポイント特別措置法により日本国籍を持つ者全員に強制的に割り当てられたマイナンバーと、その番号を照会できるICチップと連動している。ポイント管理ICチップは首の皮下に埋め込まれ、その上から偽造防止のためQRコードの入れ墨を施すことが義務化されていた。この措置を拒否した者は逮捕され、佐渡島特別強制収容所に送られ、全身にバーコードの入れ墨を施された上で、佐渡金山での強制労働を強いられる運命にあった。

 マイナンバーポイント特別措置法は、 #ポイ活 に熱心だった有権者の圧倒的な支持を受け、過半数与党となったポイ党が掲げた公約で、ある日突然、議員立法として成立した。その背景には、日本の #DX政策 #マイナンバーカード 政策の失敗、急速に進むデジタル化、そして激化するグローバル競争があった。

 国の命運を握ると主張するポイ党議員たちは、『国民の健康とポイント経済の安定を守るため』と大義名分を掲げ、国家全体でのポイント情報管理を強固にする法案を押し通した。

 法律が施行されると、国民には容赦ない義務が課せられた。施行日から2年以内に、すべての日本国籍を持つ者は、自身のマイナンバーに紐付けられたICチップを身体に埋め込まなければならなかった。小さなチップではあるが、その中には個人のあらゆる情報が詰め込まれており、逃れる術はなかった。

 さらに、3年後には、ICチップを照会するためのQRコードを首の皮膚に入れ墨として刻むことも義務化された。生命に直結するポイントの偽造防止や、災害時や緊急時の『迅速な身元確認を行うため』と説明されたが、その意図を疑う者も少なくなかった。

『従わなければどうなるか?』――その問いに対する答えは無情だった。義務を果たさなかった者は即座に逮捕され、佐渡島特別強制収容所へ送られた。そこでは全身にバーコードの入れ墨を施され、佐渡金山での強制労働に従事させられた。『国家のための労働』と称されるその過酷な生活は、耳にしただけで震え上がるほど恐ろしいものだった。

 日本政府が佐渡金山での強制労働を必要としていたのは、国内のポイントが海外の貿易決済に使用できないからだった。佐渡金山で実際に採掘されるゴールドは、 #ブロックチェーン 技術を駆使してマイニングされたJコインの兌換用に不可欠な純金だったのだ。

 国家による完璧な統制社会は静かに築かれていた。人々は『これは本当に必要なことなのか?』と自問するも、誰も声に出すことはできなかった。マイナンバーポイント特別措置法の施行以来、自由と引き換えに差し出されたのは、無数の監視の目だった。

 ポイントに関する言論は厳格に管理され、日本固有のポイント経済はデジタル庁傘下のポイント監視局が支配していた。監視局職員『ポイントキーパー』は、税務署員と警察官を掛け合わせたような存在で、不正使用や違反者を取り締まっていた。さらには、修正日本国憲法第30条で定められた国民の義務である『納ポイント義務』を果たさず、『脱ポイント』した重犯罪者に対しても厳しい対応を行っていた。

ポイント社会の奴隷たち

 山田太郎は会社からの昇進の機会を失う恐れがあった。今の時代、 #リスキル が求められない職はほとんど存在しない。特に彼が勤める新東京ヒルズのICT企業では、業務効率化のために、次々と新しいポイント生産効率化技術が導入され、古いスキルでは簡単に淘汰されてしまう。

 山田はふと、隣に座る中年の男性を見た。彼も同じようにポイポンを握りしめ、残ポイントを確認するたびに眉をひそめていた。誰もが生き残るためにポイントのやりくりに苦心している。通勤電車の中は、人々のざわめきが交じり合いながらも、どこか不安と緊張が漂っていた。

『これじゃ、まるでポイントの奴隷だな…』と山田は心の中でつぶやいた。しかし、そんなことを口に出す勇気はない。この社会では、監視カメラとポイント監視局の目があらゆる場所に潜んでおり、慎重に言葉を選ばなければならなかった。『反ポイント思想』を持つ者として通報されれば、命よりも大切なポイントを没収されるリスクがあるのだ。

 山田は思い直し、通勤時間を無駄にしないためにリスキル教材を再生することにした。動画の冒頭、笑顔で元気よく話し始めたインストラクターが『ポジティブな未来はあなた次第!』と励ましてくるが、彼の心には響かなかった。リスキル教材再生費用として、2時間の通勤電車で得た120ポイントが減った瞬間、胸にずしりと重いものがのしかかった。『120分の通勤電車料金で獲得した120ポイントが、リスキル教材の購入ポイントで消えてしまった…』

 そのとき、電車が急停車した。車内は揺れ、人々のざわめきが一瞬止まる。異様な静けさの中、アナウンスが流れた。『ただいま、ポイント逃亡者を検挙するための緊急停止措置が行われています。しばらくそのままでお待ちください。』

 山田は顔を青ざめさせた。『逃亡者? 誰がこんな恐ろしい行為をしたのか?』彼は思わず周囲を見渡すが、誰もがうつむいてポイポンを見つめている。ピリピリとした緊張感が漂い、誰も動かない。心臓が高鳴る。自分は違う、大丈夫だ。そう自分に言い聞かせるが、手に握ったポイポンは冷たく、今にも裏切りそうに思えた。

市民団体リベルダージ

 電車が再び動き出すまでの数分間、車内には重苦しい沈黙が続いた。山田の額には冷や汗がにじみ、ポイポンを握る手はじっとりと湿っていた。『誰もがポイントの重圧に耐えながら生きているのだ』と思いながらも、恐怖は拭いきれなかった。彼は逃亡者がどのような人物なのか考えずにはいられなかった。一体何が彼をそこまで追い詰めたのか…。

 電車が再び動き出し、車内には安堵のため息が広がる。しかし、山田の胸に重くのしかかる感覚はそのままだった。ふと、車内の広告ディスプレイに目をやると、『新たな未来に向けて。ポイント管理を改革する市民団体リベルダージの集会へ!』という文字が目に飛び込んできた。山田は驚いて見入った。

 ポルトガル語で『自由』を意味する『リベルダージ』は、ラテン語に語源を持ち、ポイントシステムに疑問を投げかけ、より公平な社会を目指す活動で知られていた。一方、ブラジルのサンパウロ市中心地に隣接する日本人街の地区名は、同じスペルでも『リベルダーデ』と呼ばれている。ただし、ポルトガル語やモザンビークでは『リベルダージ』と発音し、モザンビーク系日系人によってこの団体が立ち上げられたため、『リベルダージ』と呼ばれているらしい。

『そんなことをするなんて、無謀だ…』と、山田はそうつぶやいたものの、心のどこかで小さな希望が芽生えたのを感じた。これまで監視され続ける生活に馴染んでいた彼には、反抗の道などあり得ないと思っていた。けれど、広告のメッセージは彼の心に小さな灯をともした。

 電車が新東京駅に到着し、山田は人混みの中に押し流されるように改札を通った。駅を出たところで、一人の若い女性がビラを配っているのが目に留まった。『リベルダージの最新集会へ!』と書かれたビラを配る彼女の姿は、どこか毅然としていた。

 山田は足を止めた。彼女のまっすぐな瞳は、周囲の忙しない人々を無視してただ前を向いている。彼は一瞬、受け取るべきかどうか躊躇したが、何かに突き動かされるようにビラを手に取った。

『興味を持ってくださってありがとうございます』と、彼女は優しく微笑んだ。その微笑みには、日常の不安や緊張とは対極にある温かさがあった。

 山田はその場に立ち尽くし、ビラに書かれた次回の集会の日程をじっと見つめた。『これが自分にできる一歩になるのだろうか?』彼の中で葛藤が生まれた。ポイントの恐怖に支配される生活を変える勇気が、果たして自分にあるのか? 山田は深く息を吸い込み、答えを探すように空を見上げた。

消えた希望

 集会のビラを握りしめながら、山田は考え込んでいた。これまでの人生はポイントを稼ぐため、そして消費を恐れるためだけに存在していた。ほんの小さなきっかけでも、この絶望的な日常に抗う希望があるかもしれない。だが、そんな淡い期待もすぐに現実に打ち砕かれた。

 ふいにポイポンに緊急ニュースが表示された。『市民団体リベルダージのリーダーが逮捕。国家安全法違反の疑い』との見出しが映し出され、山田の心は冷え切った。記事には、リーダーが『反ポイント活動』の罪で重い処罰を受けたことが記されている。支配体制への反抗がいかに危険な行為であるか、痛感させられる知らせだった。

 山田は拳を固く握りしめた。『やはり、自分には何も変えられないのか…』そう思った瞬間、体の中から何かが崩れていくような感覚に襲われた。彼は立ち尽くし、ビラをゆっくりとゴミ箱に投げ捨てた。

 新東京の空はいつも通りの曇天で、ビル群の間に漂う重い雲がすべてを押しつぶしているようだった。人々は黙々と歩き、流れに身を任せるように暮らしを続けていた。山田もその一人として再び足を進めた。無数の監視の目が彼を見つめ、彼の心に再び重い鎖が絡みついた。

 その日、世界は何も変わらなかった。政府はポイント管理をさらに強化し、少しの反抗の芽も容赦なく摘み取っていた。市民たちは恐怖の中で生き延びる術を探すことに疲れ果て、もはやポイントを貯めようとする気力さえ失ってしまった。希望は完全に消え去り、ただ生き延びるための消耗戦が続くだけだった。

 そして誰もポイントを貯められなくなった。

自己解説

2024年10月30日 21:23
リクエストなのですが、そして誰も…シリーズで『ポイント』を扱っていただけませんか?
日本人はポイントの奴隷だと思うのですが、他国でもそうなのでしょうか。
マイナ保険証がついに現実化しますが、これをポイントに釣られて登録したと思うと何だかなぁと…おかしな国だと思います。
そして誰もポイントを貯められなくなった…とか、なりませんか?

カンナ|をかし探究隊隊長

 本作『そして誰もポイントを貯められなくなった』は、上記のパステルカンナ隊長からのリクエストに応えて作成しました。

 私はカンナ隊長の『をかし探究隊』の『何もすることがない書記』を拝命しているため、リクエストに応えるべく今回はガチで回答を執筆します。

 私が銀行のオンラインシステムの開発をしていたことは、ご存じの方が多いかも知れませんが、他にも日本のクレジットカード決済ネットワークであるCAFIS(Credit and Finance Information System)やPOSシステムなども開発していたので、この手のテーマは、多分日本屈指の詳しさを誇ります。

 ちなみに、POS(Point of Sale)システムとは、販売時点情報管理のことを指し、店舗での販売時に商品の情報を管理・記録するシステムです。POSシステムは、レジでの会計と連動して販売データをリアルタイムで収集・分析することで、在庫管理や売上分析、マーケティング施策に役立つため、流通や小売業界にとって欠かせない存在となっています。

 作中で十分に説明しきれなかった内容について補足できるのが、自己解説の強みです。そこで、ここでは作中で回答できなかった事柄を詳しく解説します。

Q1.日本人はポイントの奴隷だと思うのですが、他国でもそうなのでしょうか。

A1.私の知る限り、所得や支持政党、思想などの条件に関係なく、『ポイ活』という言葉まで生まれ、ポイントの奴隷と化している国は日本と韓国だけです。中国ではキャッシュレス化が極度に進んでおり、現金を何年も見たことがないという人もいるほどモバイル決済が普及していますが、ポイント制度も非常に活発です。Alipay(支付宝)やWeChat Pay(微信支付)などの主要な決済プラットフォームが、ユーザーにポイントやクーポンを提供し、リワードプログラムを推進しています。特に、ショッピングやレストランでの支払い時に割引を受ける機会が多いです。

 アメリカでは、クレジットカードのリワードプログラムが非常に発達しています。航空会社のマイル、キャッシュバック、ポイント制度など、消費者はカード利用時にさまざまな特典を享受できます。また、WalmartやTargetなどの大手小売店も独自のポイントプログラムを提供していますが、これらの店は貧困層をターゲットにしている点が特徴です。

 イギリスでも、スーパーの『クラブカード』や『ネクターカード』といったポイントプログラムが非常に人気です。TescoやSainsbury'sなどの大手スーパーが提供するこれらのカードは、ポイントを貯めて割引や特典と交換できるため、消費者の日常生活に浸透しています。

 一方、私が最近よく滞在しているブルネイやドバイ、モザンビークなどでは、ポイントによって消費行動が変わることはありません。モザンビークの場合、たとえポイントを貯めたとしても、そのポイントを発行した店や航空会社が破産するかもしれないという不信感が背景にありますが、それでも電子決済は急速に普及しています。

 ブルネイでは、所得税や消費税がかからず、物価が安定しているため、ポイントを貯める必要性が感じられません。また、国内で手に入らないものはシンガポールや他のASEAN諸国に買い物に行く人が多いという特殊な事情もあります。

 ドバイの場合、観光客が買い物で使う金額が圧倒的に多いため、ポイント制度で消費者を囲い込む戦略が効果を発揮しにくいようです。ちなみに、私は訪問する国々でハードロックカフェの商品を購入する習慣があり、ドバイのハードロックカフェでもポイントが貯まっていますが、使い方がよく分かりません。ポイントの使い方を調べるよりも、その時間でnoteの記事を書く方が有意義に感じます。

ポイ活の問題点

1.消費の誘発
不要な消費を促す:ポイントを貯めるために、本来必要ではない商品やサービスを購入してしまうことがあります。その結果、節約のつもりが逆に出費を増やしてしまうケースもあります。

2.マーケティング戦略に依存
 ポイント制度は企業のマーケティング戦略の一環であり、消費者が計画的に利用することが難しい場合があります。お得感を演出することで購買意欲を高める仕組みが狙いです。ポイントが現金と等価交換できるなら、その分を単純に値引きしたほうが消費者にとってはメリットが大きいとも言えます。つまり、ポイントを発行している企業は、その分、販売価格にポイントのコストを上乗せしているに過ぎません。そのため、ポイントがカードに計上されている期間は、消費者にとって『死に金』となります。その『死に金』は、会計学の観点から見ると、後述する簿外債務のように機能します。

簿外債務としてのポイント制度
 ポイント制度は、企業にとって将来の義務、つまり消費者がポイントを使用する際に発生する負債に相当します。これは現時点では実際の支出が発生していないものの、消費者がポイントを使用するときに割引や特典として提供するコストが生じるためです。このような未払いの義務は、会計上『引当金』などで計上されることもありますが、状況によっては明確に負債として認識されない場合もあります。そのため、企業にとっては『簿外債務』のようなリスクとして捉えられることがあります。

経済的な影響
将来のキャッシュフローへの影響:
消費者がポイントを使用した場合、企業はその分のコストを負担しなければならないため、将来的なキャッシュフローに影響を与える可能性があります。

財務報告の複雑化:ポイントの未使用分をどのように会計処理するかは、財務報告を複雑にする要因の一つです。未使用ポイントが多い場合、企業の財務健全性に影響を与えるリスクもあります。

3.ポイントの有効期限
ポイントの失効:
多くのポイントには有効期限が設けられており、期限内に使い切らないと無効になります。これにより、貯めたポイントが無駄になってしまうことがあります。また、消費者が失効を避けるために急いで消費行動を起こすこともあります。

複雑なルール:ポイントの利用ルールや有効期限が複雑な場合があり、管理が面倒になってしまうことがあります。こうした煩雑さからポイントを活用しきれない人もいます。

4.個人情報の利用
データの収集とプライバシーの懸念:ポイ活では、購入履歴や行動データが収集され、企業がマーケティング目的で利用することが一般的です。個人情報の漏洩リスクや、データがどのように活用されているか分かりにくいことが懸念されています。

監視社会への懸念:ポイントプログラムを利用することで、消費者の行動が詳細に追跡・分析される可能性があります。こうしたデータ収集が将来的に監視社会を助長するのではないかという懸念も存在します。

5.経済的格差の拡大
特典の格差:
ポイント制度は、たくさん消費する人ほど恩恵が大きくなる仕組みが多いため、経済的に余裕のある人がより多くの特典を受けられる一方で、低所得層はあまりメリットを享受できない場合があります。これにより、経済格差がさらに拡大する可能性があります。

6.ポイントの価値の変動
ポイントの価値が下がるリスク:ポイントの換算レートが企業の裁量で変更される場合があり、突然価値が下がることがあります。これは、ポイントを貯め続けることで逆に損をするリスクがあることを意味します。

一時的なインフレ:特定のタイミングで多くの消費者がポイントを使うことで、一部の商品やサービスの価格が一時的に高騰することがあります。

7.依存と心理的影響
ポイント依存症:
ポイントを集めることが目的化し、依存的な行動につながることがあります。これにより、ストレスや時間の浪費につながることもあります。

心理的なプレッシャー:ポイントが失効する前に使わなければならないというプレッシャーを感じることがあり、これがストレスの原因となることもあります。

インフラやシステムの脆弱性

1.システムトラブル
 ポイントシステムはテクノロジーに依存しているため、システム障害やデータ損失が発生する可能性があります。万が一システムがダウンした場合、ポイントが使えなくなったり、消失したりするリスクがあります。

2.セキュリティの問題
 ポイントを盗まれるなどのサイバーセキュリティの脅威も存在します。特に大規模なポイントプログラムでは、セキュリティ対策が万全でない場合に被害を受けるリスクがあります。

映画『Up in the Air』

 Up in the Airは、ジョージ・クルーニー演じる主人公ライアン・ビンガムがひたすら出張を繰り返しながらマイルを貯めることに執着する物語です。ライアンはリストラ宣告の専門家として全米を飛び回り、移動生活に快適さと自由を見出しています。彼の究極の目標は1,000万マイルを貯めることです。その過程で、人間関係や人生の意義を見つめ直すことになります。

 映画では、マイレージを貯めることに取り憑かれた主人公のライフスタイルが描かれ、出張の多い現代社会に生きる人々の孤独や、ポイントやマイルを集めることに意味を見出す現象がシニカルに表現されています。

本末転倒な日本のキャッシュレス政策

 アメリカや中国ではキャッシュレス化が進んだ結果、ポイント制度が発達したのに対し、日本の場合はキャッシュレス化に失敗し、無理やりポイント制度を普及させています。

 日本のキャッシュレス化は他国と比べて遅れているため、ポイント制度を利用して普及を無理やり後押ししている面があります。これはキャッシュレス決済の利便性に焦点を当てるのではなく、特典や還元で消費者を引き込む戦略であり、本質的なキャッシュレス化にはつながらないはずです。このように、日本のポイント制度はキャッシュレス化の遅れを補うための手段として利用されているという側面があると考えられます。

1.日本のキャッシュレス化の背景
現金志向が根強い:日本では長らく現金取引が主流であり、現金を重視する文化や高い治安、信頼性のある紙幣の流通などがキャッシュレス化の遅れの一因となっています。特に高齢者を中心に、キャッシュレス決済への抵抗感が強いことも指摘されています。

キャッシュレス普及率の低さ:アメリカや中国に比べて、日本のキャッシュレス普及率は低く、政府はこの問題に対応するため、さまざまな施策を講じてきました。その中には、消費者にキャッシュレス決済を促すためのポイント還元制度も含まれています。

2.ポイント制度によるキャッシュレス化の推進
ゴリ押し感のある普及施策:キャッシュレス決済を促進するため、日本政府や企業は積極的にポイント還元やキャッシュバックなどのインセンティブを提供しています。これにより、消費者は現金よりもキャッシュレス決済を利用する動機を与えられていますが、これはキャッシュレス化の自然な普及というよりも、外部からの『無理やり』な促進策と見なされることがあります。

キャッシュレス決済事業者の戦略:多くの企業が独自のポイントプログラムを展開し、利用者を囲い込むことを狙っていますが、これはキャッシュレス決済自体の利便性よりも、ポイント特典の魅力で利用者を増やそうとする意図が見え隠れしています。

3.他国との違い
アメリカや中国の事例:アメリカではクレジットカードの普及と共に、自然にリワードプログラムが発達しました。中国ではモバイル決済が爆発的に普及し、AlipayやWeChat Payが支配的な地位を築いたことから、ポイントやキャッシュバック制度が進化しました。これらの国々では、キャッシュレス決済が日常的な利便性の向上と結びついている点が特徴です。

日本の特徴:一方で日本の場合、キャッシュレス決済そのものの利便性に対する需要よりも、ポイント制度を利用して消費者の関心を引き、キャッシュレス化を進めようとする意図が感じられます。これにより、キャッシュレス決済の導入が単なる特典目当てに留まってしまうこともあります。

Q2.マイナ保険証がついに現実化しますが、これをポイントに釣られて登録したと思うと何だかなぁと…おかしな国だと思います。

A2.だから私は日本を脱出して海外で生活を始めたのです。

本作の設定としてパロディ化している『TIME/タイム』(原題:In Time)について

 In Timeは2011年のSFアクション映画で、アンドリュー・ニコルが監督・脚本を担当しました。映画の舞台は、寿命が通貨として使われる未来社会。25歳を迎えると人の成長は止まり、体内時計が1年からカウントダウンを始めます。時間がゼロになると命を失うため、貧困層は常に時間に追われている一方、富裕層は豊富な時間を持ち、実質的に不老不死のような生活をしています。主人公ウィル・サラス(ジャスティン・ティンバーレイク)は偶然大量の時間を手に入れ、裕福な女性シルビア・ワイス(アマンダ・セイフライド)と共に、不平等なシステムに立ち向かいます。この映画は経済的不平等、階級社会の矛盾を描きながらも、緊張感あふれる物語を展開します。

本作で登場するポイポンについて

 ポイントフォンの略称はポイフォンにしようかと思いましたが、私は『秘密結社鷹の爪』が好きなので、このアニメに登場するポイポンの名前を採用しました。

本作に電車のシーンが含まれている理由について

 昨日、共産党の車が東武東上線の踏切で衝突事故を起こしたというニュースが出回っていましたが、フェイクニュースであるにもかかわらず、それに気が付いている人がほとんどいなかったからです。

 以下の写真を見ると、光源の位置や看板の陰から、合成写真であることが瞬時にわかります。

 それにもかかわらず、このあからさまなフェイク画像に対し、日本テレビ報道局取材班がTwitterで取材を申し込んでいました。取材自体は裏付けを取るためであり、報道倫理に違反するとは言えないかもしれません。しかし、日本テレビ取材班が飛びついたことで、以下のTwitterはTweet後24時間以内に1,350万件以上も表示されました。日本語で発信されているTwitterにおいて、これは異常な拡散速度です。

日本テレビ報道局取材班

 さらに、アカウント名が@fake_20marksフェイクであることを自ら宣言しているうえ、フォロワー数も100名程度しかいない、2024年9月に開設されたばかりの新しいアカウントです。このフェイク画像がここまで拡散したのは、日本テレビ報道局が取材申し込みをTwitterのタイムラインに残してしまったからであり、この写真の真偽(フェイクニュースであるかどうか、あるいは写真の真贋を鑑定する専門家による分析でフェイクであることが確認された結果)について報道すべきです。

ゆう @fake_20marks

THEY LIVE

 この表紙絵に『OBEY』という言葉が表示されているのは、ジョン・カーペンター監督の映画『THEY LIVE(ゼイリブ)』へのオマージュです。『THEY LIVE』は1988年に公開されたSFスリラーで、消費主義と権力による洗脳を風刺した作品です。

 物語の主人公は、特殊なサングラスを通して現実の真実を見られるようになり、社会を支配する異星人の存在に気付きます。彼は、広告や看板が実際には『OBEY(服従せよ)』『CONSUME(消費せよ)』『STAY ASLEEP(眠り続けろ)』といった #洗脳 メッセージで満ちていることを目にします。これらのメッセージは、人類を操り続ける異星人の支配を象徴しており、見えない支配構造に人々が無意識に従っている社会を批判しています。

 この『 #OBEY 』のメッセージは、 #監視社会 や権力への服従を表すシンボルとして現代文化にも深く影響を与え、多くの作品で引用されてきました。今回の映像では、『THEY LIVE』のテーマに通じる要素を取り入れ、ディストピア的なポイント管理社会における権力の支配を視覚的に強調しています。

武智倫太郎

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