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ソフトバンクとOpenAI:日本政府が支えるデジタル赤字の闇

 私のnoteでの企業動向や経済予測の大半は的中していますが、日鉄によるUSスチール買収をめぐる米国政府の反対についても、『単に高値で売却したいので、投資規制を利用して値段を釣り上げているだけだ』という私の解説も見事に的中しました。コメント欄でも説明しましたが、これは画商や宝石商が用いる『言い値商売』の基本戦略と同じです。

 私は趣味とは言え、モザンビークなどで採掘した宝石の原石を、世界屈指のカラーストーン加工拠点であるタイのバンコクで研磨・販売しているので、宝石商のセールス手法には精通しています。

 日本の百貨店や銀座の有名宝石ブランドでは、価格が明示されており、値切り交渉をする人は殆どいません。これは絵画の世界でも同様で、日本では画商も宝石商も、さらには買い手も『定価で売買するのが当たり前』と考えており、セール時でも基本的に価格交渉は行われません。

『75%引きのセール価格』で購入するとお得だと勘違いする人は多いですが、実際には、あらかじめ設定された希望小売価格から75%引いた価格がその時点での『定価』なので、結果として『75%引き』の値札で購入することは、定価で購入しているのと同じなのです。

 これが大阪のおばちゃんなら、ダメもとで、根拠も買う気もなくても『もっと安ぅしてぇな~』と値切り交渉を持ちかけ、実際に値下げが成立して初めて『値切り交渉が成功した』と言えるのです。

 しかし、一定以上の価値を持つ絵画や宝石には定価がなく、サザビーズやクリスティーズのようなオークションで最高値をつけた人が落札するか、画商や宝石商と買い手が価格を交渉して決めるのが常識です。

 そのため、画商や宝石商は、店頭には定価で販売する安価な商品を並べ、本当に高値で売りたい品は、金庫のある裏部屋に隠しておきます。すると、目利きの常連客が『何か特別な品はないか?』と尋ね、裏部屋を覗こうとします。ここで、画商や宝石商は『これは売り物ではございません』と演出し、買い手の興味を引きつけたうえで、価格をさらに釣り上げるのです。

 USスチールの売却交渉も、これと同じ手法が使われています。本当は売りたくて仕方がないのに、『USスチールは売り物ではない』と芝居を打ち、価値があるように見せかけて価格をつり上げているのです。この典型的な手口を見抜けなかった日鉄や日本政府は、実態以上の価格でUSスチールをつかまされることになりました。

 しかも、トランプ大統領は日鉄と日産の区別すらついていないので、石破首相はそこに便乗し、『それでは日産を1ドルでテスラの子会社にするというのは如何でしょう?』と持ちかけ、日本経済の足を引っ張るだけの日産を、うまくテスラに押し付けてしまえばよかったのです。

 2025年2月7日に発表された『日米首脳共同声明』は公式文書ですが、その内容にはAIやクラウドに関して『ソフトバンク』の名前は一切記されていません。

President Trump Holds a Press Conference with Prime Minister Shigeru Ishiba of Japan

 しかし、同日の日米首脳会談後に行われた石破首相とトランプ大統領の共同記者会見において、トランプ大統領はソフトバンクの1000~2000億ドル規模のアメリカ投資計画に言及した後、それを日米投資の話へとすり替えました。

 つまり、孫正義の画策により、日本は生成AIの分野で既に敗北が確定しており、アメリカ国内で資金調達さえできないOpenAIと、実質的に破綻状態にあるSBG(ソフトバンク・グループ)に対し、日本政府が事実上の保証を提供し続ける形で資金を注入し、その結果としてデジタル赤字による日本の経済破綻が確定したも同然ということになります。

日米首脳共同声明
2025 年2月7日
(中略)
日米はまた、AI及び情報共有を深化するための安全かつ強靱なクラウドサービス等の新技術の活用によるものを含む、サイバー空間の分野における二国間の安全保障協力を拡大する意図を有する。

日米首脳共同声明

 このようなことは、少し考えれば容易に理解できることですが、日本のマスゴミがこの事実を報道すると、以下のような提灯記事になってしまいます。

生成AIで出遅れた日本 米との協力に期待感 中国新勢力も意識
(中略)
今回、舞台回しを務めたのは、ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長だ。

毎日新聞2025/2/8 11:24(最終更新 2/8 11:26)

 日本のマスゴミが提灯記事を書いているのか、それとも本当に何も理解していないのかについては諸説ありますが、少なくとも、まともな報道ではないことは確実です。その証拠に、日本の主要メディアは、海外では『クオリティペーパー』の定義に含まれていません。

日本政府が最終的にSBGの損失を肩代わりする可能性  

日本は デジタル赤字 に陥り、トリプル安(円安・株安・国債安)による深刻な経済破綻を招く危険性があります。  <ー  つまるところ、どちらに転んでも、利益は自分、損は日本国民になりそうですね〜
劣後債債で経験済みならなおさらです。
(最初から、この気ですね、アノやろ)
あれの、考えそうなこと...日本政府の考えていることが意味不明です。 というか、与信もサイバーセキュリティ以前にアナログもNGなのは参ります。
このスキーム大事なのにマスコミが騒がないのは理解できていない可能性が大きいですね。  自分にも損をするのに。

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クオリティペーパー(Quality Paper)の定義

 クオリティペーパーとは、高度なジャーナリズムを提供し、知的層・意思決定層を主な読者として想定している新聞のことを指します。一般に、以下の特徴を持つ新聞がクオリティペーパーと見なされます。

クオリティペーパーの特徴

深い分析と調査報道
・速報性よりも、事実に基づいた詳細な分析・調査を重視。
政治・経済・国際ニュースが中心
・ゴシップやエンタメ色が薄く、国際問題や経済政策に重点を置く。
客観性・編集の独立性
・政府や企業の影響を受けにくく、独立した視点で報道する。
長文記事・オピニオンが多い
・読み応えのある記事が多く、専門家の寄稿や社説が充実。
知識層・ビジネス層の読者が多い
・企業経営者、研究者、政策立案者などが主な読者層。

実際に『クオリティペーパー』とされる新聞

 欧米では以下の新聞がクオリティペーパーとして評価されています。

アメリカ
・The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)
・The Washington Post(ワシントン・ポスト)
・The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)(経済・金融中心)

イギリス
・The Times(タイムズ)
・The Guardian(ガーディアン)
・The Financial Times(フィナンシャル・タイムズ)(国際経済・金融中心)
・The Telegraph(テレグラフ)

フランス
・Le Monde(ル・モンド)
・Le Figaro(ル・フィガロ)
・Les Échos(レゼコー)(経済紙)

ドイツ
・Frankfurter Allgemeine Zeitung(フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング, FAZ)
・Süddeutsche Zeitung(南ドイツ新聞)
・Die Zeit(ディー・ツァイト)

日本
・該当なし

日本の新聞が『クオリティペーパー』に分類されない理由

1.センセーショナリズム(煽情主義)の傾向が強い
 日本の大手新聞は、特定の政治的立場に強く傾いた記事が多く、欧米のクオリティペーパーのような『事実と分析の分離』が徹底されていない。

2.スクープよりも記者クラブ制度による横並び報道
 欧米のクオリティペーパーは独自の調査報道を重視するが、日本の新聞は記者クラブ制度の影響で、政府発表をそのまま掲載する傾向が強い。

3.社説・オピニオンの質が低い
 日本の新聞の社説は感情的になりやすく、政策提言の質が低いと指摘されることがある。

4.国際報道の比重が低い
 日本の新聞は国内ニュースの比重が高く、国際ニュースの質・量がクオリティペーパーに比べて低い。

5.客観報道よりも『論調』が強く出る傾向
 日本の新聞は政権寄りか反政権寄りかで報道のバイアスが強く、欧米メディアのような『調査報道』の割合が低い。

6.『記者クラブ制度』による情報の偏り
 日本の新聞は政府や官公庁の発表をそのまま報じる『御用新聞』的な性質が強く、独自のスクープ報道が少ない。

7.記事の深みが不足
 欧米のクオリティペーパーは分析記事や長文の調査報道が多いが、日本の新聞は短文中心で、掘り下げが足りない。

8.エンタメ・社会ニュースの割合が高い
 主要新聞でも芸能・事件・スポーツのニュースが大きく取り上げられ、質の高い政治・経済報道が相対的に少ない。

日本語で書かれている唯一のクオリティペーパーは『パラレルワールド新聞』です。

武智倫太郎

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