資源枯渇性と資源分配問題から考えるSDGs
SDGsに関しては、項目1~17のそれぞれのテーマに設定されている合計169のターゲットからミクロな視点でアプローチする方が多いです。また、人類の持続可能性や、その持続可能性に対する脅威となる地球規模の環境問題からマクロな視点でアプローチする方も少なくありません。しかし、専門家でも一般個人でも見落としがちなのが、SDGsの背景にある枯渇性資源と資源分配問題に関する視点です。
石油や天然ガス、レアメタル、そして化学肥料の原料であるリン鉱石やカリ鉱石などは再生不可能です。日本では下水道から化学肥料の原料を回収することを目指していますが、回収できる資源量は毎年輸入している総量の1%にも満たず、回収に伴うエネルギーロスなどを考慮すると、回収すべきではありません。
原子力発電が環境問題の解決策と考えられがちですが、ウランも埋蔵量に限りがあり、採掘や精錬には大量の水資源が必要で、水資源の枯渇や環境汚染のリスクを伴います。
こうした有限資源の獲得競争は、経済格差や紛争の原因となり、世界の安定に影響を与えています。このため、資源の枯渇や分配問題を再考する必要があります。
そこで、持続可能な社会を目指すために掲げられたのがSDGsです。SDGsは17の目標から成り、貧困の解消やエネルギーの確保、環境保全など、資源の問題に直結する項目が多く含まれています。
SDGsは資源問題と密接に関連しており、エネルギーの節約や再生可能エネルギーの利用、リサイクルの推進が重要です。しかし、レジ袋の有料化などが逆に環境負荷を増加させる場合があり、グリーンウォッシュとして批判されています。これは、資源枯渇や分配問題への理解不足によるものです。
私はこれまで、資源・エネルギーと地球規模の環境問題の専門家として国際的な論文を執筆し、モザンビークでの半砂漠化地域の環境改善事業にも取り組んできました。日本の企業や独立行政法人にも情報提供や指導を行っています。しかし、日本がCOPで『化石賞』を連続受賞している背景には、多くの人が二酸化炭素排出量と地球温暖化問題のみを持続可能性の課題と誤解していることがあります。
そのため、今後も資源循環と環境負荷に関する正確な情報を広め、持続可能な社会の実現に貢献していくことが、私のSDGsへの取り組みです。
武智林太郎
【以上、原稿のタイトル、著者名込みで、1000文字以内です】
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