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ツンデレ童話(10):ツンの恩返し

 ある日、悪の秘密結社の筑波キメラ研究所が遺伝子編集によって、狐と人間の遺伝子を組み合わせた『ツン』という名のキメラ美少女を誕生させました。

 キメラとは、古代ギリシャ神話に登場する複合生物で、ラテン語では、キマエラと呼ばれています。その姿は、頭が獅子、胴体が山羊、尻尾が蛇です。神話によっては、尾の部分が龍のこともありますが、都市伝説に尾鰭が付いてSNSで拡散されるのは、よくあることです。

 ギリシャ神話では、キメラの他にもミノタウロス、セントール、ペガサス、ヒュドラ、スフィンクスなどの複合生物が登場します。古代伝説には、グリフィン、バジリスク、メーメイド(人魚)、ユニコーンなどもいます。日本では、『平家物語』の鵺(ぬえ)や、バッタと人間の複合生物の『仮面ライダー』が有名です。

 アニメファンの中には、『ウマ娘』のようなキメラ的なキャラクターに魅了される人々が多く、これらのファンは『ケモノ耳属性』を略して『ケモミミ属性』や『ケモナー』と呼ばれることが多いです。

 ケモミミ属性を特徴とする作品には『ウマ娘』、『狼と香辛料』、『犬夜叉』、『けものフレンズ』、『ドッグデイズ』、『オオカミ少女と黒王子』、『猫神やおよろず』などがあり、世界中のアニメファンを魅了しています。

『ツン』は名前の通り、ツンツンとした言葉で、『なんでわたしがこんな研究所で飼われなければならないのよ! 外で自由に走り回りたいのがわからないの?』と不満を漏らして、冬の雪の日に研究所から逃げ出しました。

 ツンは日本百名山の中で最も標高が低い自然豊かな筑波山に向かい、薪を販売して生計を立てているデレと出会いました。寒い冬の日だったので、デレはツンに『そんなところにいたら寒いでしょう。ボクは#ビーガンだから、キミを狐鍋なんかにしないよ。だから、温かい家でゆっくりしていったらどう?』と声をかけました。

 ツンは『わたしは少し狐だから、寒さなんて平気なのよ! あんたキタキツネを知らないの? キツネは雪の中でも全然寒くないの!』と強がりましたが、耳と尻尾以外は人間だったので、実際にはとても寒くてブルブル震えていいました。ツンの健気さに萌え♡てしまったデレは『そんなに強がらなくてもいいんだよ。キミが好きなだけ家に泊まっていいよ。ペットじゃなく、ほぼ人間として飼ってあげるからね』と言いました。

 ツンはマジで寒かったので、『あ、あんたがど~うしても泊まって欲しいっていうんだったら、と、と、と、泊まってあげてもいいわよ』と歯をガタガタ震えながら強がってから、デレの家に居候することになりました。

 ツンはツン言葉と狐以外の部分は心優しい少女で、デレとは良い感じで暮らしていました。ある日、何かに閃いたツンが『ブログを書くから、じゃんぱら・秋葉原5号店でパソコンを買ってよ!』と頼んだので、デレは『つくばエクスプレス』で秋葉原の『じゃんぱら』に行き、ジャンクパソコンを買ってきました。

 ツンは『ネットで作業中は絶~対に部屋を覗いたらダメなんだからね!』とデレに約束させ、不眠不休で癒し系ツンデレ広報ブログやSNSを作成しました。

癒し系ツンデレ広報ブログ作成なう

 このコンテンツマーケティングのおかげで、デレの薪は『癒し薪』として全国で大人気になりました。

 しかし、ツンが深夜遅くまでブログを書くために部屋に閉じこもるので、デレは『どうしてこんなに夜遅くまで、癒し系ツンデレ広報ブログを作っているのかな?』と心配になりましたが、『あっ! そういえば、ツンと似ているツルの恩返しでは、鶴の部屋を見ちゃダメなんだよね』と思い留まりました。

 ツンとの約束を守ったデレは、その後も『癒し薪』を販売し続け、二人は幸せに暮らすことができました。

つづく…

武智倫太郎

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