SDGsをクリアにする水の役割:優先順位と持続可能な未来
私がモザンビークで行っているアグロフォレストリー事業は、国際的な認証制度や環境マネジメントの国際規格など、さまざまな基準や認証条件を満たしています。例えば、FSC認証は、SDGsの多くの項目をカバーしており、これは特別なことではありません。なぜなら、荒廃した土地を計画的に修復し、持続可能な森林管理を行うのは当然の取り組みだからです。さらに、現地で協力してくれる従業員には、モザンビークの最低基準を超える給与を支払うことも当然のことです。
このように、SDGsに基づいた活動は、持続可能な事業運営の基本的な要素に過ぎません。逆説的には、SDGsの全項目に取り組まなければ事業そのものが成り立たないとも言えます。しかし、これが実現できていない企業も存在します。例えば、三井物産や伊藤忠商事のような企業がその例です。持続可能な事業の成否は、いかに多くのSDGsの目標を達成できるかにかかっていると言えるでしょう。
とはいえ、全項目を一律に考えるのではなく、優先順位をつけることが必要です。その中心に位置するのが『水の問題』です。
人間は健康であれば、食料がない断食状態でも1ヵ月くらいは生き延びることができます。ところが、不衛生な水を摂取すると1日で命を落とすことがあります。さらに、水が全く摂取できない状況では、重度の脱水症に陥り、1週間以内に死亡する可能性が極めて高くなります。
この事実を踏まえると、水問題が最優先課題だと言えます。SDG6『安全な水とトイレを世界中に』は、他の目標を達成するための基盤です。
水を基軸にSDGsを考えると、全体の理解が深まります。例えば、安全な水が確保されることで、健康(SDG3)、教育(SDG4)、ジェンダー平等(SDG5)への取り組みが可能になります。また、農業(SDG2)やエネルギー(SDG7)、気候変動への対策(SDG13)も、水資源の持続可能な管理があってこそ進展します。
このように、SDGsには優先順位があり、水問題を中心に据えることで、全体の構造がより明確になります。SDGsに取り組めていない事業者や個人も、このようにしてSDGsに優先順位を付けて考えると、持続可能な事業の重要性と、具体的な取り組み方がより理解し易くなるでしょう。
武智林太郎
【以上、原稿のタイトル、著者名込みで、1000文字以内です】
備考
関連記事
武智林太郎