近未来麻雀小説(20)新中華麻将テーマパーク VII
これまでのあらすじ
超十八羅漢デビル一号~三号がフュージョンした超十八羅漢デビル・レッドの積み込み能力は凄まじく、あっという間に四倍役満を積み込んだ。フュージョンは電気消耗が大きく一場で上がれなかったら、バッテリー切れで負けてしまう一大勝負だった。
ところが、モリエホン元伍長が、断么九(タンヤオ)のみという1翻役で1,000点というこれまでの試合では見られなかった、普通の麻雀の手で上がってしまい単独二位に躍り出ることができた。
東風戦・第一戦・東4局0本場
この #麻雀トーナメント は #東風戦 という、一回のゲームが『東風』のみで完了するルールとなっていた。つまり、各雀士が一度ずつ親になるとゲームは終了するのだ。東風戦は勝負時間が短くて、初心者に向いているので、作者の俺が麻雀初心者という都合で、東風戦トーナメントになっていた。
東4局とは、東風戦の場合は、東1局~東4局の四局勝負の東風戦における最終局という意味で、この名面のことを最終局(オーラス)という。最終局でも親が上がってしまうと、連荘といって、また、親が続くので何時になったら話が終わるのか、作者の俺にも分からなかった。
麻雀漫画なら、このオーラスは、1位のマチルダが読者の驚くような役で上がったり、第4位がとてつもなく高い点で逆転したりするクライマックスともいえる麻雀漫画の醍醐味である。
これが野球漫画なら九回裏で、20対0の点差がついていて、出塁者なしで2アウトからの逆転は、まずあり得ないので、普通なら途中で観戦するのをやめるはずだ。
ところが、イカサマありの新中華麻将なら4位の羅漢壱号軍団の持ち点の15,700点と、トップのマチルダの点差が、たったの33,600点(49,300点-15,700点=33,600点)だと、4位の羅漢壱号軍団でも子の役満の32,000点をマチルダから当たれば逆転できる。子のダブル役満の64,000点なら、誰から上がっても、十分1位が狙える点差なのだ。
普通の麻雀小説なら、『1位から満貫あたるか、跳満自模ると…』といった心理戦が繰り広げられる緊張の場面のはずだ。ところが、俺はまだ満貫と跳満の点数の数え方には自信が無かったので、緊張感のある心理描写などできるわけがなかった。
旧日式麻雀では配牌時点の牌の数は、親は14枚で、子は13枚である。親のマチルダは牌山から15牌を自模ってきてしまい『 #御無礼多牌 (ターハイ)にゃり』といってチョンボを宣言した。
親がチョンボした場合は親の満貫と同じで12,000点の罰金である。マチルダのチョンボにより、このオーラスの劇的な場面で、子に4,000通しで罰金を支払うという、恐らくこれまでの麻雀小説史上初の意外な終局を迎えた。
1位:マチルダ 49,300-12,000 = 37,300点
2位:モリエホン 18,000 +4,000 = 22,000点
3位:桜乃金一 17,000 +4,000 = 21,000点
4位:羅漢壱号軍団 15,700 +4,000 = 19,700点
この麻雀ゲームでは、東風戦終了後に順位ウマとして、1位に+30,000点、2位に+10,000点、3位に-10,000点、4位に-30,000点で清算されるルールが採用されている。順位ウマで修正後の最終得点は、以下の計算で合ってるはずである。
1位:マチルダ 37,300+30,000=+67,300点(通過)
2位:モリエホン 22,000+10,000=+32,000点(通過)
3位:桜乃金一 21,000-10,000=+11,000点(脱落)
4位:羅漢壱号軍団 19,700-30,000=-10,300点(脱落)
25,000の30,000返しなので、30,000点を下回った、3位の桜乃金一と4位の羅漢壱号軍団がトーナメントの第一回戦で脱落した。
#主人格 が新華強北町奉行の遠山金太郎で #第四交代人格 が一世紀無敗の雀士の桜乃金一は、負けたショックで頭を抱えて苦しみだしたかと思ったら、そこに行き成り登場したのは、 #第二交代人格 の萬田金次郎だった。
萬田金次郎は香港のミナミでトイチの街金をしている高利貸しで、賭場は彼の格好の稼ぎ場なのだ。
『いやぁ、羅漢壱号軍団はん。えろぅ惜しい勝負でしたなぁ。30,000点のハコ飛ばしたうえに、10,300点の借金いうたら、あんたらの給金でいっぺんに返済しよるのはたいへんでっしゃろ。ここに50,000点の借用書いて、一割頭っ跳ねで45,000点入れときましたがな。18人で連帯保証入れたら大したゼニやおまへんやろ。ま、わしとしては、10日毎に金利分の5,000点だけ払うてもろうたら何の文句もあらへん。せな、あんじょう頼んまっせ』と、トイチの金利で50,000点を貸し付けていった。
マチルダのチョンボのお陰でトーナメントの第一戦を突破することができたモリエホン元伍長は、『マチルダの姉貴! 姉貴の腕があればトリプル役満くらい楽勝だったはずなのに、態々俺を助けるためにチョンボを…』と感動していた。
超十八羅漢デビル一号に突かれた経絡破孔・傲娇(ツンデレの中国語表記)の後遺症が残っていたマチルダは、モリエホン元伍長の台詞を聞いて #ツンデレ モードになってしまっい、『か、勘違いしないでよね。べ、別にあんたを弟分と認めたなんて言ってないし。何度も言わせるなんて、本当にもう、あンた何考えてるのよ...! それに、助けたのは、たまたまだから。あんたなんかいなくたって、私一人でトーナメントを勝つことくらい、楽勝なんだからね!』と言いながら、トーナメントの東風戦・第二戦・東1局0本場会場へ向かった。
つづく…
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