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恋愛とは奇妙な勇気のことである。黒沢清「彼を信じていた十三日間」について
「ニューヨーク・タイムズ」に掲載されたコラムを基にしたAmazon Originalシリーズ「モダンラブ」(2019)。その東京版「モダンラブ・東京〜さまざまな愛の形〜」は、廣木隆一、山下敦弘ら、気鋭の映画監督を中心とした演出メンバーとなっており、全7話の出演者は、水川あさみ、前田敦子、榮倉奈々、柄本佑、成田凌、夏帆、池松壮亮、黒木華、窪田正孝と錚々たる顔ぶれ。伊藤蘭と石橋凌という大ベテランが主演
もっとみる福士蒼汰2024年の熟成。
15年後の再会を約束した男子高校生トリオ。約束は果たされなかったが、3人は巡り会い、交流は再開する。三十路突入。だが、全員未婚。結婚したい、したくない、恋愛もしたくない。考え方も性格も様々だが、現状を伝え合える友情はまだ継続している。
そんな基本設定から始まる「アイのない恋人たち」は、そこに同年代の女性4人を交え、楽観的でも悲観的でもない、グレーゾーンのリアルを物語る。平成版「男女7人恋物語」と
名優 錦戸亮の帰還。
名優・錦戸亮が還ってきた。
映画『羊の木』の吉田大八監督との再タッグ「No Return」(2020年。Amazon Music Originalの15分短編。Amazon Prime Videoで視聴可能)では堂々たる映画スタアぶりを発揮していたものの、長尺の映像フィクションはここ4年ご無沙汰だった。
現在、「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」(NHK)が放映中。そして
コロナ以後、生活の質量。「きのう何食べた? season2」
「きのう何食べた?season2」は、season2というより、「正月スペシャル2020」のその後であり、さらに翌年の『劇場版』のアフターとして作られている。誠実にして切実なものづくりと呼ぶしかない。
よしながふみの原作漫画に最大限に敬意を表しつつ、西島秀俊と内野聖陽がリアライズする実写ならでは作劇とコーディネートを追求した良質な連続ドラマが最初に世に出たのは2019年春。まだ、コロナの影も形も
丁寧に生きても、上手くいかないことはある。「夕暮れに、手をつなぐ」の真実。
丁寧に生きても、上手くいかないことはある。
「夕暮れに、手をつなぐ」は、この真実を、深刻ぶらずに、人肌のぬくもりで紡いでいるドラマである。とりあえず第三話までは、そのように描かれている。今後、変わっていく可能性はあるが、生きるということの残酷さに、決して残酷には映らない筆致で迫っていく肌ざわりは、おそらくキープされるだろう。
学生時代から付き合っていた婚約者にフラれた九州育ちの女性と、東
相田冬二賞2023審査委員長特別賞「錦戸亮」ステイトメント
相田冬二賞は、わたくしの独断で決定されていると思われがちですが、そんなことはありません。大晦日当日ギリギリまで、審査員たちの厳格で徹底的な合議が行われ、時には殴りあいにまで発展することもあります。もちろん、わたしも審議に参加していますが、誰が受賞するか、12月31日の発表直前まで、ほんとうにわからないのです。
「審査委員長特別賞」は、あらかじめ候補者を明示することなく、わたくしの独断で決めること
夕暮れに、手をつなぐ。sideパリ
映画には、ものすごく悲しいシーンに、あえて明るい曲を流す手法がある。
「夕暮れに、手をつなぐ」のハッピーエンド(と呼ばれているもの)は、闇に添えられた副菜や薬味である。
皮肉や悪意ではなく、それが人生だよ、と突きつけてくる。でも生きていかなきゃいけないんだよと。
だれもがルーザー。
あまりに悲痛な一篇の映画を観ているようだ。
比較する必要などないが、「100万回言えばよかった」は人が死に、
夕暮れに、手をつなぐ。side音
音を謎の人物として捉えると、このドラマの位相は大きく変わってくる。
音は積極性に欠ける人物として描かれていた。どこか受け身で、だからセイラの存在も受け入れた。
創作に対しては頑固かもしれないが、彼は誰に対しても優しい。セイラにも。磯部真紀子にも。響子には従順で爽介には憧れていた。だが、それは本当の優しさなのだろうか。
状況が滞りなく進むことを何よりも優先しているように思える。すべてを肯定するの
夕暮れに、手をつなぐ。side空豆
夕暮れに、手をつなぐ。
複雑で、ビターな味わいの幕切れだった。
空豆と音が積み重ねてきた轍をおもえば、ふたりは結局、ピークで結ばれることはなかったのだと気づかされる。
まわり道、ではなく、喪失。それを受け入れることで、二人は一気に老けこんでしまった。
ラストカットの空豆と音は、もはや老後。
すれ違いの代償は、邂逅のときめきをもってしても、どうにもならなかった。
お互いの諦めの上に、今が
初めて平野紫耀を見た日と翌日のメモ。
「クロサギ」。第1話だけ観た。
わたしは平野紫耀に一切の先入観がない。なので直裁に語るが、かなり変わった役者で、そこが面白い。声も芝居もファニーで、二枚目じゃない。役柄的にメリハリはあるが、ダークネスもかなり浅漬け。
オリジナル「クロサギ」を演じた山下智久とは全くタイプが違う。ジャニーズの中でも異形。スタア性はほぼ封じられていて、演技アプローチはバイプレイヤー的、さらに言えば芸人が起用された時の
オッドタクシーは世界を冷笑しない。世界とbuddyになろうとしている。
オッドタクシーのキャラクターたちが希求している関係性はbuddyもしくはpartnerである。小戸川を中心に、ドブ、剛力、柿花、山本、そして白川。ヤノは関口、ドブ、二階堂にとっての山本、馬場。柴垣をめぐる馬場、長嶋。
黒田、タエ子、今井、樺沢、呑楽は不特定多数のセカイと相棒になろうとしてる。
わたしたちがこの素晴らしきアニメーションに親近感をおぼえるのは、動物キャラによるものではなく、単一の関係
無邪気で、用意周到で、屈託がなく、抜け目なく、あからさまで、謎めいている。「クロサギ」の平野紫耀について。
「クロサギ」。2006年の人気作(山下智久主演)のリメイクだ。
父親が詐欺に遭い、一家心中に追い詰められ、九死に一生を得た少年が成長、シロサギ(詐欺師)を騙すクロサギとして、復讐の詐欺を繰り広げていく。
詐欺師のみを標的にする策略の痛快さ。一方で、家族を壊滅させた男たちを追い詰めていく主人公の絶望的リベンジが凝視される。
軽やかさの底辺に激情が仕舞い込まれた物語には、普遍性がある。詐欺の手口は年々