家族に伝える経済シリーズ(11):お金を巡る話:借金から始まる経済成長②
そもそもな、国(政府)っていうのは、お金そのものを定義する立場にあるんや。お金を実際に造り出すんは銀行やけど、その根本になる「お金って何や?」っていう定義、それを決めるんが国なんやな。
でな、その定義に基づいて、銀行が「誰かが借りる」っていう行為の中でお金を造り出していくんやけどな。
でもな、その定義をみんなが「これが正しいんやな」って思うには、やっぱりある程度の強制力が必要になるんや。ここが、経済の仕組みがうまく回るかどうかのポイントになるところやね。
ちょっと余談やけど、国にはお金を定義する力があってな、それが何かいうたら「徴税」ってやつや。これ、ステファニー・ケルトン教授(注)とか、三橋さんや中野さんから学んだことなんやけど。
この国に住んでる以上、国民としては「納税」せなアカン、っていう義務があるんやな。この国で暮らす以上は、国に対してお金を払わなあかんわけや。
そのお金を「円」という通貨で払いなさい、って、日本国民、あるいは日本に住んでる人は求められてるわけやな。だからこそ、「円」っていう通貨が日本で使われてるんや。
ちなみにやけど、もし政府があらかじめ〇〇〇円っていうお金を発行して、それが世の中に流通して、そのお金でみんなが納税する…そんな考え方やとしたら、政府が発行したお金の総量がそのまま経済活動の限界になってしまうんやな。
まぁ、お金が回ってる間は経済も動いてるから「それでええんちゃう?」って思う人もおるかもしれんけどな。
でもな、一定量のお金をずーっと使いまわすだけでは、大きな経済成長とか発展は、なかなか望めんもんやろう、って私は思うんや。
注釈
ステファニー・ケルトン教授について
ステファニー・ケルトン(Stephanie Kelton)教授は、アメリカの経済学者であり、現代貨幣理論(Modern Monetary Theory, MMT)の代表的な提唱者です。ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校の教授として経済学を教えており、MMTの視点から財政政策や中央銀行の役割について積極的に論じています。彼女の理論では、政府が自国通貨を発行できる限り、財政赤字を過度に心配する必要はなく、むしろ公共投資や社会保障などを積極的に行うべきだと主張しています。著書『The Deficit Myth(財政赤字の神話)』は、MMTの概念を一般読者にわかりやすく解説したもので、世界的にも注目を集めています。