『カレーにチョコレート』/掌編小説
隠し味に、ちょっとビターなチョコレート。
深みが出ると聞いたことがあるけれど、僕の場合はもっと単純。なんだか少し、拘っていると思えるから。
いつも使うのは市販の固形ルー。
某人気カレー店が、このルーを使っていると耳にしてからこれ一筋。これだけで十分美味しいのだけれど。
大切な願いを込めて、チョコレートをひとかけら。ぐつぐつと、ジャガイモとお肉とニンジンが顔をだす大きな鍋に、あっという間に溶けていく。
毎週土曜日はパパのカレーの日。美味しいと喜んでくれる子供たちに、
「秘密の隠し味、入れてるからね。」
そう言って笑うためのチョコレート。
明日の分をカゴに入れた。
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