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lebeauphoto
18歳
「18歳」
さよならも上手く言えずに
僕らは次の街へ行くだろう
あのきらきらと光る電車にも
僕らは乗れないだろう
目の前に広がる世界の数は
視界の先にしかない
だから僕らは、旅に出る
ひとつ
ふたつ
世界を探しに
そして
次のさよならを言うために
僕らは次の街へ行くだろう
_______
「ゆびさき」
触れたものは何だろう
丸くて
堅くて
柔らかくて
あったかいもの
触れたものは何だろう
小さくて
尖って
刺さると思わず声を出してしまう
少し、悲しいもの
触れたものは何だろう
胸が苦しくて
息が弾んで
会いたくて仕方なくて
夜の闇にぼんやりと浮かぶもの
まるで真っ白に光る
飛行船のように
浮かぶ
浮かぶ
そして
沈んでいく
______
「おとと、こえ」
おっとおっと
そこを通ります
ちょっとちょっと
ここは通行止めです
そんなそんな
ここ以外に道はないです
なんでなんで
そんなことはありません
回り道をして
遠回りをしてください
ちょっとちょっと
通らせてください
おっとおっと
それはだめです
なんでなんで
すぐに終わります
そんなそんな
それは困ります
他の道を
探してください
そしていなくなった