01: Welcome to our family! ~Tomのはなし~
ディズニーでは入社時にトラディションという研修があります。
この研修ではディズニーの哲学から歴史、サービスの理念的な部分を学ぶ3日間のトレーニングプログラムになっています。
このお話は、
まだ私が船に乗る前に、オーランドのセレブレーションにあるディズニークルーズライン(DCL) のオフィスで開催された研修での出来事です。
私が大好きで大切にしている一生の宝物のお話です。
DCLのPresidentからの質問
DCLのPresidentのトム・マッカフィー(当時の一番トップの人)。
彼がこのディズニートラディションで、
私たち乗船前の新人のクルーのためにセッションを開き、
貴重で忘れられない素敵なお話をしてくださいました。
トムは、
「今、ディズニーワンダー号は、
世界のクルーズ業界でナンバー1のクルーズ船だと言われているんだよ。
それにはちゃんとした理由があるんだけど… なんだと思う?
それではみなさん、
他のクルーズ会社の船とディズニークルーズの船ではどんな違いがあると思いますか?
ひとりずつ答えてください。どうぞ。」
と私たちに質問を投げかけました。
みんなそれぞれ、
キャラクターが乗っている。
船がおもしろい形で、ミッキーがついている。
寄港地に、ディズニーのプライベートアイランドがある。
といったようなことを発表しました。
しばらくして、トムがこう話し始めました。
「いいね!みんなこの数日の間に、DCL のことをよく学んでいたんだね!
本当に嬉しく思うよ。素晴らしい意見をありがとう。
でも、
他の船にもプライベートアイランドはあるし、
キャラクターのある船だってあるのを知ってるよ。
他の船には距離の長いウォータースライダーがあったりするから、もしかしたらDCLの船よりも豪華なアトラクションがあるかもしれない。」
「皆さんの意見は、どれもとってもいい意見なんだけど、
これらよりも、もっともっと、感じられる唯一の大きな違いが実はDCLにはあるんですよ。
ゲストが乗船してみないとわからないことがね。
何だと思いますか?」
と、また新たな質問を投げかけたのです。
DCLにしかない唯一のものとは何か?
私たちは、質問にそれぞれ積極的に答えていきました。
ミッキーがあちこちに描かれている。
素敵なミュージカルがある。
花火がある。
ご飯がおいしい。
などと答えました。
するとトムはこのように話し始めました。
「そうだね。そういったものは、確かに実際に乗ってみないと知ることはできないよね。
でもね、
もっともーーーっと大きくて、かかせない唯一のものがこの船にはあるんだよ。
他の船が真似することができない大きな違いがある。
なぜゲストは何度も何度もリピートして、ディズニークルーズに戻ってくるんだと思う?
ミッキーに会いたいからかなぁ?」
私たちはいよいよ何も思いつかなくって、静かになりました。
DCLのPresidentは穏やかにこのように私たちに説明しました。
「他の船にはないディズニークルーズにしかない唯一のもの。
それはね…
You!
あなたたちのことなんだよ。
他の船が真似できないことは、
ディズニークルーズにいる950人のクルー全員が、
みんな笑顔でフレンドリーに丁寧で親切にゲストと接する。
これは他の船では絶対に真似ができないもっとも大切なことなんだ。」
「ゲストが船に乗った瞬間から、
クルーは満面の笑顔でゲストを大きな拍手で迎える。
ダイニングルームに入ると、
自分のテーブルの担当のサービスクルーはもうすでにゲストの名前を知っているんだ。
はじめてクルーがゲストに会ったときに、
Hi, Tom,,, nice to meet you! とゲストの名前で語りかけてくる。
次の日には、
Hi, Tom,,, How was your day?
Did you take a picture with mickey mouse? と話しかけてくる。
するとね、
次の日に、トムが会いたいのはミッキーマウスじゃないんだ。
ゲストが会いたいのは、あなたになるんだ。
僕はね、こんな素敵な船の一員であることが本当にうれしくてたまらないんだよ。
君もこの船に乗って、
同じようなことを思ってくれることを願っています!
Welcome to our family! 」
たった10分ほどの会でしたが、
すごく心に残っています。
ミッキーに会いにきたゲストが、あなたに会いたいから船にまた戻ってくる。
今でもすごく印象に残っていて、私の気持ちを躍らせます。
ゲストは私を探しに来る
ゲストは本当に私を探しに毎年乗船されました。
オリビアちゃんとモーガンちゃんは、
私と一緒に折った折り鶴がクルーズで何よりも一番の思い出だったから、
お母さんとお父さんに良い子にするからまたAikoのテーブルをリクエストしてほしいと毎日お願いをしてくれていたのだそうです。
夏休みに船に乗った瞬間、船中を走り回り、ブッフェのレストランで働く私を見つけたときは泣きながら駆け寄ってきて、その時に折った折り鶴を見せてくれたのです。大切に大切にとってくれていたのです。
このようにゲストが私を探しに戻ってくることを体験すると、いつもあの時にDCLのPresidentのトムさんがお話ししてくれた、It's You.のお話を思い出していました。
終わりに
いかがでしたか?
今日お話したこのエピソードは本当に序章です。
DCLでのお仕事はとても過酷で大変なもので皆さんの想像を絶するかと思います。
今後シェアしていくお話は、美しい話ばかりではないかもしれません。
でも、私が出会った素晴らしいDCLの仲間たちのことについては沢山シェアしていきたいなと思っています。
ぜひ感想もお聞かせください♪
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