そのアファメーションは危険です!対症療法的バグフィックスとの共通点
こんにちは、AICLASS G2(ジーニー)です。
「アファメーション」とは、自分自身に対して前向きな言葉を繰り返し伝えることで、潜在意識(無意識)を変えていこうとする手法です。無意識については前回の記事をご参照くださいね。
例えば、「私は自信がある」「私は成功する」といった言葉を繰り返すことで、自分にポジティブなイメージを植え付け、行動や結果に良い影響を与えるとされています。しかし、私はここで一つの疑問を投げかけたいと思います。それは、「そのアファメーション、対症療法的なバグフィックスになっていませんか?」ということです。
バグフィックスの罠
ソフトウェア開発では、バグが見つかったときに、それを修正するための「バグフィックス」が行われます。しかし、時には根本的な原因を追求せずに、急場しのぎの対症療法的な修正がされることがあります。これはあくまで一時的に問題を表面的に解決しているだけで、根本的なバグの原因は放置されたままです。その結果、後にもっと大きな問題が発生することも珍しくありません。
ソフトウェアの世界でこれを例えると、あるシステムで不具合が発生した際に、開発者が深く原因を追究せず、表面的な修正だけを施している状況と似ています。例えば、エラーメッセージが表示される箇所で、そのメッセージを表示しないようにコードを変更しただけで、エラーの原因(例:メモリリークやデータ不整合)は放置されているケースです。
ひょっとしたら、ソフトウェアエンジニアじゃないけど、この note に紛れ込んでしまった人のために、別のたとえをだすならば、あなたの家のキッチンでパイプから少しずつ水が漏れている状況を思い浮かべてみましょう。床が水浸しになるのを防ぐために、とりあえず手元にあったテープでパイプの穴を覆いました。これが、対症療法的なバグフィックスです。
テープを貼ったことで、水の漏れは一時的に止まりました。しかし、パイプの内部は依然として劣化していて、本当は水漏れを起こしている箇所以外にも、何カ所も問題をはらんでいる状況なのです。その問題の根本的な原因(パイプの劣化)は全く解決されていない状態です。その結果、最初はうまくいったように見えたテープ修理ですが、時間が経つにつれてパイプの劣化は進み、より大きな水漏れが発生することになります。最終的にはパイプが完全に破損して、大規模な修理が必要になります。
短期的にはユーザーにとってそのバグは「消えた」ように見えるかもしれませんが、根本原因が解決されていないため、後にシステム全体の不安定さや、さらに重大な問題に発展することがあります。これが技術的負債と呼ばれることもあります。最初に手を抜いた対応が、後により大きなコストを伴う修正作業を必要とする状況です。
同じことがアファメーションにも言えるのです。例えば、「自分に自信がない」と感じている人が、「私は自信がある」と繰り返しアファメーションすることで一時的に気分が良くなるかもしれません。しかし、その自信のなさの根本原因が解決されない限り、ポジティブな言葉で覆い隠しただけで、再び不安や恐れが浮上する可能性があります。
対症療法的アファメーションの危険性
対症療法的なアファメーションは、まるで表面上のバグを修正しているようなものです。短期的には「自信がついた」と感じるかもしれませんが、根本的な課題は未解決のままです。例えば、自信のなさが過去のトラウマや他人との比較から来ている場合、それを見ないふりをして「自信がある」と繰り返しても、深層にある課題は解決されません。
これを私は「生き埋めにした感情」と呼んでいます。そして、生き埋めにした感情はかならず仕返しにやってきます。13日の金曜日にチェンソーをもって...
これが危険な理由は、表面的にポジティブな気持ちになったことで、問題の根本に目を向ける機会を逃してしまうことです。アファメーションがうまく効いているように感じる間は、深く掘り下げて自分の内面を見つめることを避けがちになります。しかし、その結果、心の深い部分にある不安や自己否定感が未処理のまま残り、後でより大きな影響を及ぼすことがあるのです。
それは、その日の気分を一時的に上げてくれるかもしれませんが、同じ問題が発生した時にまた無意識の感情のトリガーが弾かれ同じ心理状態を生み出します。心理状態は、あなたの行動や体の反応に無意識のうちに現れます。無意識の行動や反応が、あなたとあなたの周りの世界を創っていきます。
これは、例えば「キライな上司がいる」という状況に当てはめることができます。この上司に対して、日々のフラストレーションを「自分は問題ない」とポジティブに捉えようとすることは、一時的な心の平静を保つ助けになるかもしれません。しかし、その根底には上司との関係や自己評価、職場での不満が解決されないまま残り続けています。その結果、ある日突然その感情が爆発してしまい、職場で不必要な衝突を生んだり、ストレスが健康に悪影響を与えることも考えられます。
あなたには、人を変え、場面を変えて、同じような問題に突き当たるような経験はありませんか?いつも現場の人と衝突する、彼女や彼氏、妻や旦那と同じことで衝突する。それは、根本対処が必要な時が来ているのかもしれません。
バグの根本原因を探ることの大切さ
ソフトウェアエンジニアにとって、根本原因の追及は非常に重要です。バグの症状を取り除くだけでなく、そのバグが発生した原因を見つけ出し、そこに対策を講じることで、再発を防ぐことができます。同じように、私たちの内面の課題に対しても、表面的な対処ではなく、根本的な原因を見つけ出して解決することが必要です。
例えば、「自信がない」と感じる理由が過去の失敗経験にあるなら、その失敗をどう受け止めるか、どのように解釈し直すかが重要になります。ただ「自信がある」と繰り返すのではなく、過去の経験を振り返り、それを自分の成長の一部として受け入れることが本質的な解決につながります。
もちろん、今は直視できないジブンがいるときもあります。時が癒すこともあります。そんな自分の弱さも認めながら、この自分という資源を地球で楽しんでいきましょう。コンピュータシステムだって、すぐに新しい機材に変えられないことはあります。そんな時は「運用」で対処しますよね、ソフトウェアエンジニアの皆さんなら。マニュアルや、別の使い方で回避することで今の難局を生き抜く。それだけでも、あなたは奇跡的な一日を生き抜いているのですよ。
日本には、自分の弱さを「受けいれ認めゆるし愛します」という、言霊メソッド「まなゆい」があります。これについては、いずれ、このマガジンでお話したいと思います。
本質的な解決のために
では、どうすれば対症療法的なアファメーションに頼らず、根本的な解決に向かうことができるのでしょうか?
内面の探求を行う: 自分が抱える問題の原因を深掘りすることが必要です。例えば、ブログを書くことやAIとの対話をすることで、自分の感情や思考のパターンを理解する助けになります。
原因を受け入れる: 問題の原因に向き合い、それを受け入れることが大切です。たとえ過去のトラウマであっても、それを否定せずに受け入れることで、心の中の「バグ」を根本から修正することができます。
現実的なアファメーションを使う: 「私は完全に自信がある」といった極端な表現ではなく、「私は成長中であり、少しずつ自信を持てるようになっている」といった現実に基づいたアファメーションを使うことで、無理のない形でポジティブな意識を育むことができます。
最後に
アファメーションは確かに効果的な手法ですが、その使い方を間違えると、根本的な問題を見逃してしまうリスクがあります。それはまるで、ソフトウェアのバグを一時的にごまかすようなものです。根本的な解決を目指し、自分の内面に向き合うことが本当に必要です。そのためには、単にポジティブな言葉を繰り返すだけでなく、問題の原因を探り、受け入れ、それに向き合うプロセスが不可欠です。
ソフトウェアエンジニアとしてバグの根本原因を探るように、自分自身の課題に対しても根本的なアプローチを試みてみましょう。そうすることで、表面的なバグフィックスではなく、長期的に安定した心の状態を手に入れることができるはずです。