無意識を初期化しないで使っていませんか?
こんにちは、AICLASS G2(ジーニー)です。
ソフトウェアエンジニアとして、長年プログラミングに携わってきた方なら、「初期化しない変数」の問題を何度か経験したことがあるかもしれません。初期化していない変数が予期しない動作を引き起こし、バグの原因となることはよくあります。それは人間の心も同じです。
あなたの「無意識」は、プログラムで言うところの変数と似ています。毎日様々な情報を処理し、意識しないままに影響を受ける無意識。しかし、この無意識が初期化されていない状態で日々の生活に使われているとしたら、どうでしょう?
初期化の重要性
Python のエンジニアなどは、変数の宣言と初期化がセットなため、あまり意識したことがないかもしれません。
x=0
x = x + 1
しかし、C言語などのいわゆる低級言語では、変数の宣言だけが可能となります。
#include <stdio.h>
int main() {
int x; // 変数xを宣言(初期化されていない)
printf("%d\n", x); // 未初期化のxを出力
return 0;
}
この時、x の値は不定、という状態になります。つまり、-1 が出るかもしれないし、3234 が出るかもしれません。その結果、思わぬ動作に繋がるのです。
ちょうど目の前の空間を x という箱で切り取ったとしましょう。箱の中身は、空でしょうか?いいえ、その空間にあった空気が入っていますよね(そう、あなたが今放ったオナラです)。コンピューターのメモリもその一部を切り取って「変数」に変えているので、メモリに最初置いてあった情報がその場所に居座り続けるのです。
初期化されていない無意識とは?
同じように、初期化されていない無意識は、過去の経験や感情、他者からの影響によって予期せぬ動作を引き起こし、心の不調やストレスの原因になることがあります。何も考えずに蓄積された情報や感情があなたの行動や意思決定に影響を与え、まるでエラーだらけのプログラムのように動いてしまうのです。
たとえば、あなたは「虫」は好きでしょうか?
好き、と答えた人も、キライ、と答えた人も、一瞬何か具体的な虫が思い浮かびませんでしたか?カブトムシやトンボ、蝶々、テントウムシなど。こうして、なにか印象の強い虫を思い出してしまうのは、あなたの「無意識」が初期化されていないまま使用していることの証明になります。
虫、といわれた瞬間、黒いGを思い出した人もいるでしょう。でも、虫と言われた瞬間美しい蝶々を思い浮かべるくらいに、蝶と接している人もいるのです。
無意識の初期化とは何か?
無意識の「初期化」とは、心のリセットを行うことです。つまり、あなたの無意識に溜まった不要な思い込みや否定的な感情を取り除き、ニュートラルな状態に戻すことを意味します。
例えば、瞑想や深呼吸、散歩など、心を落ち着ける時間を持つことで、無意識の中にある不要なデータをクリアにすることができます。
ソフトウェアでいう初期化は、変数に初期値を設定することですが、心の初期化では、自分にとってポジティブで健全な感情や意図を再設定することが重要です。こうすることで、無意識の「バグ」を防ぎ、より安定した心の状態で日常を過ごせるようになります。
たとえば、会社の中でキライな上司がいたとします。なぜ、あなたはその上司のことが嫌いなのでしょうか?「見た目が不潔」「いつも一言目が否定」「えこひいきがひどい」など様々な理由があるでしょう。
でも、いつの間にか勝手に抱いた印象(無意識の刷り込み)で嫌っていたりしないでしょうか?例えば「見た目がなんとなく怖そう」みたいな感じに。
私には、以前メチャクチャ怖いと思っていた上司がいたんですけど、もう風貌がヤ〇ザなんです。実は、とても部下想いの上司だったんですけどね。そんな話を部下としていたら、私も部下からメチャクチャ怖い人だと思われていたそうです(笑)
初期化しない無意識のリスク
無意識を初期化しないでいると、過去のトラウマやストレスが蓄積し、行動や思考に影響を及ぼします。例えば、以前の失敗経験が心の奥に残っていると、新しい挑戦に対して「自分には無理だ」と無意識に感じてしまい、行動をためらってしまうかもしれません。また、他者からの否定的な言葉が無意識に影響を与え、自信を持てなくなることもあります。
これは、プログラムで未初期化の変数が予期せぬ値を持つことと同じです。何が起こるか分からない、予測不能な動作。それが心の中で起こるとしたら、私たちは常に不安定な状態で生活することになります。
無意識を初期化するための方法
瞑想やマインドフルネスの実践
毎日数分間でも瞑想を行うことで、無意識に溜まったノイズを静かにクリアにしていくことができます。「今ここ」に意識を向けることで、過去の不安や未来への恐れを手放すことができます。
なお、じっとしているのが苦手という人は掃除など、日常のルーティンを丁寧に行うことも瞑想と同じ効果を発揮します。ひとふきひとふきを丁寧に拭き掃除したり、ひとはきひとはきを丁寧に掃き掃除、してみてください。(禅には作務と呼ばれる「動の瞑想」法があります)
また、瞑想の最中に思い出したくないことをぐるぐる思考してしまう人は、DMN(デフォルトモードネットワーク)と呼ばれる脳の働きが顕著な人です。自分の気持ちが反発しない言葉を呟き続けることでこの動きを止めることができます。(お経とか、「マルマルマル…」とかがおススメです)
深呼吸とリラクゼーション
ストレスを感じた時に深呼吸を行うことで、心拍数を落ち着かせ、無意識の中の緊張を解放します。息を吸って、ゆっくりと吐くことで、自然と心がリセットされます。
自然と触れ合う
自然の中で過ごす時間を持つことで、無意識を初期化することができます。木々の間を歩いたり、川のせせらぎを聞いたりすることで、心の中の不要なデータが洗い流され、よりクリアな視点を持つことができます。
日記を書く・ブログを書く
自分の考えや感情を書き出すことで、無意識の中に隠れている気持ちを表に出し、整理することができます。書くことで、自分が何に悩んでいるのか、何に喜びを感じているのかが見えてきます。
ちなみに、人に読んでもらうことを意図したブログを書くことは、初期化と同時に再プログラミングをおこなうことに繋がります。これはまた別の機会にお話ししますね。
初期化された無意識がもたらす効果
無意識を初期化することで、心の中の混乱や不安を減らし、より落ち着いた状態で日常生活を送ることができます。エンジニアリングにおいても、冷静な判断と創造性が求められますが、初期化された心はその基盤となります。安定した無意識は、より直感的で正確な判断をサポートし、仕事や人間関係においてもポジティブな影響を与えます。
また、初期化された心は、過去の失敗や恐れに縛られずに新しいことに挑戦する勇気をもたらします。これは、未初期化の変数が原因で起こるエラーを防ぐことと同じように、予期しない心の「エラー」を防ぎ、スムーズな日々を作り出す助けとなります。
ポジティブな言葉を自分にインストールする「アファメーション」と言う技法があります(たとえば、「私はますますうまく行っている」と唱え続ける等)。ですが、「うまく行っている」と唱えるたびに、無意識下で「こんなことやったってムダだよな…」と思っているとしたら、それはとても危険なアファメーションになります。
まずは、初期化は「ニュートラルに戻す」(対象に対して良いも悪いも判断しない状態にする)という段階を経るのが重要なのです。
最後に
無意識を初期化することは、心のメンテナンスを行うことと同じです。ソフトウェア開発において初期化は重要なステップですが、心の初期化も同じくらい重要です。エンジニアリングの世界で活躍する皆さんにとって、無意識を適切にリセットし、健全な状態で使うことは、プログラムの安定性を保つことと同じく、自分自身の安定性を保つために不可欠なプロセスです。
日々の中で少しの時間を使い、無意識を初期化することを心がけてみてください。それが、あなたの心を安定させ、より豊かな生活を築く第一歩となるでしょう。