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東京ジャーミィ見学!① 〜壁に描かれたカリグラフィーが語りかける、「昨日と同じ日を過ごすな」。

こんにちは、aicafeです。
40代、人生時計で14:00頃に差し掛かったところです。
これからの人生の午後の時間の過ごし方を模索中です。

先日、いつものシンガポール国立博物館のガイド仲間と一緒に、東京ジャーミィに見学に行ってきました。

東京ジャーミイ(Tokyo Camii)は、東京都渋谷区にある日本最大のイスラム教寺院、モスクです。「ジャーミイ」とはトルコ語で「人が集まる場所」を意味し、1日5回の礼拝が行われる大規模なモスクを指します。代々木上原駅から徒歩約5分の場所に位置していて、「代々木モスク」「東京モスク」とも呼ばれるそうです。

井の頭通りの落ち着いた並木道を歩いていると、白い壁の大きく異質な建造物が唐突に姿を現すので驚きます。
土曜の午前に訪れたのですが、信者の方々がお祈りのために集まり、またわたし達のように一般の人も見学に訪れていました。

井の頭通りに唐突に現れるモスク

大きな木製の観音開き扉を手で押して中に入ると、白い大理石の空間が広がり、壁面と床面をまばゆく照らすトルコ式のシャンデリアの輝きに目が眩みます。
入口入って左手にはイスラームやトルコ文化についてのパンフレットが並んでいます。
右側には受付があり、トルコと日本の国旗が配され、トルコと日本の交流についての資料やトルコの調度品が飾られています。
その向かいの一部は、トルコ式なのでしょうか、暖炉を囲むソファスペースがあり、寛げるようになっています。このコーナーがおしゃれで素敵でした。こんなコーナーを家にも作りたい!

暖炉を囲む素敵なスペース

奥のガラス棚には、東京ジャーミィの歴史的場面を映した写真が展示されています。
1917年に起こったロシア革命で、ロシア帝国領内のムスリムたちは帝国外に避難しましたが、その一部のトルコ系のタタール人は日本にも逃れてきました。それから約20年後の1938年に、東京ジャーミィは東京回教礼拝堂として建設されました。当時の日本が領地拡大を狙った地にはイスラム教国もあり、国策として対イスラム宣撫政策がとられていたことから、東京回教礼拝堂の落成式には、松井石根をはじめとする多くの陸海軍の有力者が参列したことを職員の方の説明で知りました。

かつての東京回教礼拝堂
東京回教礼拝堂に集まるムスリム
東京回教礼拝堂の落成式の様子

その後、老朽化から閉鎖が決定し、1984年には取り壊されてしまいます。
モスク再建に向け、跡地はトルコ政府に寄付され、トルコ共和国宗務庁が中心となって基金を募り、1998年に着工、2000年に現在の姿で開堂したそうです。建設にあたっては、トルコ政府から建築資材や職人が派遣され、本場さながらの建設工事により本格的なモスクの建立が実現しました。

東京ジャーミィは、東京ジャーミイ・トルコ文化センターとして、イスラム文化・トルコ文化を伝えるセンターの役割も果たしています。
受付の隣にある多目的ホールでは、イスラム文化・トルコ文化を伝えるイベントの会場になることも多いようです。 

多目的ホールではトルコ文化を伝えるイベントが催される

多目的ホールに入るとすぐに、モスクの最高責任者であるイマームのお部屋がありました。わたし達が中に入ると気さくに手を振ってくださいました。
イマームのお部屋の前には、美しく大きなクルアーンが置かれていました。クルアーンは神聖なので、腰より下には決して置かれません。

クルアーン

この日は、週に一度行われているというカリグラフィ、書道の講座が多目的ホールで開かれていました。イスラームの方も日本人の老若男女が講座を受けていました。

イスラームのカリグラフィはアートのような美しさがあります。

「知識のある者が上に立つ」

イスラームの聖書であるクルアーンの一節を刻んだこのカリグラフィは、「知識のある者が上に立つ」と書かれているそうです。イスラームは知識の習得や追究を奨励することでも有名です。様々な発明がイスラーム圏から生まれたことを示唆するプレートもありました。

イスラーム文化が育んだ発明

そしてこちらのカリグラフィは、「昨日と同じ日を過ごすな」。示唆深い…。

「昨日と同じ日を過ごすな」

アジアとイスラーム世界をつないだ文化の一つに陶磁器がありますが、この陶磁器にイスラーム文化圏でよく描かれたのが「チューリップ」柄です。チューリップは品種改良されて今はオランダが有名ですが、トルコが原産なのです。

陶磁器に描かれるトルコのモチーフ、チューリップ

つづきます。

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