風と共に去りぬ 99.9%
倒れそうになっても、倒れて持ち物が散らばって擦りむいてうずくまってしまっても、起き上がって、希望を胸に歩いていく。
そんな湧き上がる力を、この映画は与えてくれます。
「 風と共に去りぬ 」
第12回アカデミー賞で、作品賞・監督賞・主演女優賞など8部門に輝いた不朽の名作。
原作はマーガレット・ミッチェル著「 Gone with the wind 」。1936年に刊行され、ピューリッツァー賞小説部門 ( 現 : フィクション部門 ) を受賞。
各国語に翻訳され、世界的ロングセラーとして聖書の次に読まれているといわれています。
1939年に映画化。
作者 マーガレット・ミッチェルが 生涯で発表したのは、この「 風と共に去りぬ 」だけということにも驚きました。
原作:マーガレット・ミッチェル
監督:ヴィクター・フレミング
出演:
ヴィヴィアン・リー (スカーレット・オハラ)
クラーク・ゲ-ブル (レット・バトラー)
レスリー・ハワード (アシュレ-・ウィルクス)
オリヴィア・デ・ハヴィランド (メラニー・ハミルトン)
舞台は、1860年代のアメリカ南部・ジョージア州。 南北戦争の頃。
目のさめるような美人で勝ち気、やんちゃで世間知らずなお嬢様。 ヒロイン、スカーレット・オハラ。
綿花の大農場を営む上流貴族の長女として誕生したスカーレットは、愛に翻弄されながらも、家を背負い、南北戦争前後の時代を力強く生き抜いていきます。
この戦争によって優雅な生活は一変し貧しさを強いられますが、ピンチはチャンスとばかりに隠されていた商才を発揮して財を成し、家を守っていきます。
時に情を切り離した強引なお商売のやり方は周囲から忠告を受けますが、それでも頼もしくビジネスの駆け引きをするシーンはチャーミングで眩しく、潔く揺るがない決断力や、戦いのさなかにいる人特有の凛とした勇ましき歩き方にも目を奪われます。
しかし時代は、この才能あるキャリアウーマンをよしとはしません。
心から愛してくれている夫レットとはイマイチ嚙み合わず、昔から好意を隠し切れないアシュレーへの想いをいつまでも引きずってはアシュレーに幾度となく迫り、それを拒絶しきれないアシュレーに振り回され、最後はやっとレッドの大切さに気付きますが、時すでに遅し。
結局レッドもアシュレーも去っていき、二人とも失ってしまいます。
映画の後半には、両親と子供、そして親友の死、また、愛する人達との別れといった悲しみがスカーレットを襲いますが、それでも自分の生きる道をみつけそれを貫いていく覚悟に辿り着きます。
どん底から這い上がる姿に勇気づけられ、今ある幸せへの感謝を忘れてはいけないと教えてくれているような・・・そんな気持ちにさせてくれるところが、この映画が好きな理由のひとつです。
でも、やっぱりスカーレットを取り巻く恋模様は気になりますね。
スカーレットの運命を左右するふたりの男性、レットとアシュレー。
率直すぎて敵の多いレットが肉食系なら、おとなしめのアシュレ-は草食系といったところでしょうか。
ピザなら、レットがピリッとスパイシーなメキシカン・ハラペーニョピザ、アシュレーは特に味の差が分からないシェフの気まぐれ3種のチーズピザといった感じでしょうか。
激しい性格のスカーレットが、アシュレーのようなタイプに恋焦がれるのはなんとなく理解できますし、自分と同じ匂いのするレットを心の底では頼っているにも拘らず、毛嫌いするような冷たい態度をとって甘えるのも なんとなくわかるような。
さて、その甘えは、許されるのかな。
レットにもっと優しくしてほしかったな。
実際の撮影現場でも、二人の関係は険悪だったと言われており、それは事実だろうと感じずにはいられないような嫌いオーラが、 ヴィヴィアン・リーから滲みでている場面も見受けられます。
私がこのお二人の婚活アドヴァイザーなら、「 あのお方、えぇ方どすえ。 」と、スカーレットに忠告するでしょう。 ※カッコ内は、山村紅葉さん風でおたのもぅします。
・・たのしそうな舞踏会♪
後半に進むほど状況がどんどん変化していき、個人的には、自由奔放に振る舞うわがままなお嬢様時代より、断然おもしろいと思います。
1939年に制作された映画とは思えないテンポのよさ、名シーンの数々。
アンティークな衣装も、とても素敵。
戦争後、食べるものもままならないスカーレットたちは、なれない畑仕事の少ない収穫物でなんとか生き延びていましたが、所有するタラの農園の課税が大幅につり上げられ、手に負えない税金がスカーレットたちにのしかかります。
長女のスカーレットは、金策に奔走します。
そして、頼みの綱である、当時アトランタで投獄されていたレットと会うシーンが、わたしの一番好きなシーンです。
レットは、南北戦争時、敵国により封鎖された地域に対して、封鎖を破って戦争に必要な武器などを輸送するビジネスが当たり、相当儲けていました。
レットの気をひくためにお洒落をしたいのに華やかなドレスがなかったスカーレットは、機転を利かせ、屋敷のヴェルヴェットの若草色まじるグリーンのカーテンをドレスに作り替え、裕福な寸劇で、レットとしばらくぶりの再会を果たします。
最初は歓喜するレッドでしたが、スカーレッドの手をとりその手のひらを見たとき、いつもとは違う手の荒れを不審に思い、裕福なのは嘘だと一瞬で暴いてしまうんですね。それからは、憎まれ口をたたいて別れるのですが・・・
このスカーレットの農作業によって荒れた手を凝視した時のレットが、ほんとに好きじゃないとしないような表情を一瞬するんですよね。
レットのスカーレットの手のとり方も紳士で、世界中のシンクのお掃除を引き受けて、手を荒らして待っておこうかしら。と思わせるほど。
紳士のこういう所作は、素敵ですね。
名シーンは他にもたくさんありますが、あとひとつだけ選べるとしましたら、乳母のマミーに、コルセットをしめてもらうシーンも、とても憧れます。
ウエストが細い筒のようで、コルセットは体によいのかしら ?
スカーレットを思ってマミーが発する愛ある言葉や掛け合いも、楽しいんです。
映画のラストは、
父の遺志を継ぎ、タラの地を守っていく覚悟をもち、スカーレッドがそれを茜色の空の下で誓う姿は、心に灼きついて離れないラストシーンです。
そばにあるアンティークな大木も、いい味です。
アメリカン・フィルム・インスティテュートによる「 アメリカ映画の名台詞100 」では、スカーレットのラスト言葉 "After all, Tomorrow is another day. (概訳 : 明日は明日の風が吹くわ ) " は、31位でした。
ちなみに、レットがスカーレットに放った " Frankly, my dear, I don't give a damn. ( 概訳 : 俺には関係ない ) " という台詞が、1位。
すべてを失ったからこそ、今まで自分が見下してきたものがどれほど大切だったかにやっと気付くことができた、ひと皮むけたスカーレット。
「 風と共に去りぬ 」
スカーレットの口癖で、
「 いやなことは全て風と共に去る。 」、そして、この言葉には、明日は明日の風が吹くとの希望がこめられています。
スカーレッドは、この後ほんとうの幸せをみつけることができると確信します。
長文にもかかわらず最後までお読みいただきまして、まことにありがとうございます。
令和6年 5月 24日
デバイスの故障の影響により、投稿が遅れてしまい、大変申し訳ございません。
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