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相棒3 第11話「ありふれた殺人」感想
『相棒』屈指の名作かつ鬱回
中学生時代『相棒』にガチハマりする前、小説版でこの話を読んで1日引きずった。
もうね、感想や考察が意味を成さないレベルで可哀想過ぎるんよ…。
殺人事件を解決できなかった場合、遺された遺族がどう生きるのかを強く訴えかける作品でもあり、また我々が日々ニュースで見ている殺人事件も実は何かが隠蔽された中で報道されているんじゃ無いかと身につまされる感覚もある。
ただ、陰謀論者は大嫌いなのでそこは誤解なきようにお願いします。
【あらすじ】
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20年前に起きた女子高生殺害事件の犯人・小宮山が自首。
小宮山は命を狙われているとおびえていた。
一方、報道を聞いた被害者の父・坪井が犯人を教えてほしいと訪ねてくる。
時効が過ぎているため犯人は公表できず、たらい回しにされる坪井に心を痛める亀山。
そんな中、小宮山が何者かに殺され、情報がもれたと警察内に緊張が走る。
脚本:櫻井武晴
監督:和泉聖治
【ゲスト】
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今回の被害者①
小見山に娘を殺され人生をメチャクチャにされた哀れなお父さん。
演者の上田さんは『ウルトラセブン』のシャドー星人のスーツアクターと声をやっていたとの事。
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今回の被害者②
娘を1人にした事を後悔し続けているお母さん。
上田さんもだが、静かに喋っているが目は哀しみと力強さに溢れているのが本当に凄い。
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ゴミofゴミ
コイツが過去に欲望のままに殺人を犯して多くの人の人生が狂ってしまった。
死んで当然のクソ野郎よ。
演者の信太さんは現在まで悪役系で様々なドラマに大活躍中。
今回も小見山が悪い奴に見えなかったら物語が崩壊していたので、本当に良い役者さんだと思います。
【感想】
《ありふれた殺人》
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2004年当時、殺人罪の公訴時効は刑事は15年で民事でも20年だった。
よって殺人犯は20年逃げれば罪に問えず自由になるという法律である。
今回の物語はそんな時効制度の無惨さを描いている。
因みに2023年現在、殺人罪の時効は撤廃されている。
まずは小見山がゴミofゴミ過ぎる。
高校生だった坪井里子さんを殺した小宮山は、20年間逃げ続けた。
そして時効成立後に警察へ自首してきたと思ったら「命を狙われてるから助けて欲しい」と頼んでくる始末。
更に被害者遺族への謝罪は拒否し、警察が名前を出そうものなら告訴するとまで言い出すおまけ付き。
厚顔無恥のクソ野郎とはまさにこの事。
右京も暴力を振るう亀山を叱ったり止めたりしなかったので、マジで業腹だったんだろうなと推測される。
そんな小見山はそんなゴミ人格のせいで殺される事になる。
まさしく因果応報。
しかし気になるのは小見山の命を狙われていたって話。
過去の罪の意識からノイローゼ気味の妄想…もしくは逮捕の恐怖に怯え過ごしていたから鈴木の僅かな殺意を敏感に察知していたのかもしれない。
ただ時効が過ぎてから強迫観念に駆られていたって事を考えると、個人的には聡子の怨念だと考えている。
鈴木に殺され無かった場合、永遠に命を狙われ続ける妄想に取り憑かれて彼に安寧の日々は訪れなかった。
恐怖に怯えて急に命を奪われる…クズにはお似合いの死に方だと言える。
[大河内春樹]
ありふれた殺人事件として、発表するんですか…
今回のサブタイトルは「ありふれた殺人」
この秀逸過ぎるサブタイに心から感心する。
小見山が警察を頼って来たのに過去の殺人が原因で救いを拒み、みすみす殺させてしまった。
どんなに相手がクズでも救いを求めているなら助けなければいけないのが警察の本質である。
だが小見山のようなクズのせいで警察はダメージを負いたく無いって気持ちも分かる。
なので波風を立てずに終われる様に小見山の死を"ありふれた殺人"として、淡々と処理する。
小宮山が坪井聡子殺しの犯人である事、亀山が坪井親子宅を訪ねた事、港が小見山を説得しに行った事…全てを闇に葬り去る。
その結果として港刑事は免職ではなく交番へ異動、亀山は免職から減俸となった。
救いとまでは言えないが、熱い人間性を持つ人達だけが損をする事は避けられ、かつ警察も守るという官房長渾身の一手。
カバーの仕方が完璧で惚れ惚れする。
まぁ坪井親子という犠牲は出ている訳だけど。
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[杉下右京]
あの姿を我々は忘れてはいけません
そして可哀想なのは坪井親子。
娘の聡子は殺され、母親の幸子は自殺未遂、父親の貞一も悲しみの中に生きている。
20年も失った痛みと自責と後悔と憎しみを持ち続けるのは本当に悲しい事だと思う。
また、恐らく聡子の服装が乱れていたり小宮山が殺そうとした場面で聡子の股の間に足を挟んでいた事から、恐らく強姦殺人であった事も想像できる。
たらい回しにされた末に特命係へ通い詰める日々…。
しかも最後まで犯人の名前は教えてもらえず、彼等は残りの人生を永遠に死んだ小見山の事を知る為に費やすんだと思うとツラ過ぎる。
そして最終的には警察からも見捨てられる…。
それを考えると官房長のやった事は良くない。
個人的には加害者よりも被害者の人権を守って欲しい。
ただ罪も無き加害者家族が過度な批判の対象にされるべきでは無いとも思う。
なのでこういった例の時は容疑者の血縁関係を調べて天涯孤独なら実名公開とかにするべきだと考える。
まぁ調べるコストとかを考えると無理だからこそ、時効は撤廃されたんだろけどね。
《足立区女性教諭殺人事件》
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また日本でも本作と同じ様に時効後に犯人が自首してきた足立区女性教諭殺人事件というものがある。
①1978年、女性教諭のIさんが用務員のYにより殺害される
②YはIさんの遺体を自宅の床下に隠し、家をブロック塀で囲み有刺鉄線を付け始める
③2004年、Yは自首する
④自首の理由は行政の立ち退きを断りきれなくなり、遺体発見を隠せなかったからである
⑤Yは遺族へ謝る気は無く、時効を良い事に名前を出したら訴える事まで言う始末
⑥2005年、遺族はIさんの遺体隠匿でWを訴訟
⑦2009年、Yに4,255万円の支払命令を下す
⑦2010年、時効が撤廃された
本作が2005年に放送されている事から、恐らくこれがモデルになった事件だと思う。
現実世界では犯人が遺体を隠し続けた事で一部制裁を加える事ができたが、本作では遺体は残されていたのでよりどうしようもない状態となっている…。
また右京の言う通り、時効制度に限界が来て撤廃された事でS9「過渡期」という鬱回も生まれた。
『相棒』で法改正の歴史や法律の荒さを知る事もできる。
《今回のMVP》
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優しい大河内さんがMVP
亀山君の処分について3日間の猶予を与えた功労者。
この3日間のお陰で免職から謹慎&減俸と処分が軽く済んでいる。
まだ神戸君加入前なのにここまで優しいのは素直に良い人。
近年神戸期以外で特命係に対しても厳しくなったのは首席監察官になったからかなと邪推している。
【小ネタ&雑感】
•部長も出社時はスーツなのか
•捜査一課二係は継続捜査担当
•テレビよりも先に遺族へ報告すべきなのでは
•大久保キャップ初登場?
•伊丹「特命係のいつもいつも勝手な事をする亀山!」
•いつかやらかすと思ってた三浦さんと、亀山はそこまで馬鹿じゃないと思っている伊丹の差が好き
•汚名は返上するのを覚えてる伊丹
•亀山「弁護士になっても警察を目の敵にしないでね⭐︎」
•同僚達の前で港さんを糾弾するなよ
•何故コンボボリュームのつまみに指紋があったのか
•暇な上に休みまでもらえた亀山君
【次回】
相棒season3 第12話「予告殺人」感想