相棒3 第10話「ゴースト」感想
『相棒』初の女性脚本!!
あまり男女差についてどうこう言うのは好きじゃないが、女性脚本でも岩下さんや太田さんや森下さん神森さんなどなど良い作品を輩出するようになったキッカケでもある。
なお、今回の東さんは本作こっきりの模様。
【あらすじ】
人気作家・沢村映子の夫の三原が自殺したとの報道が流れる。
前日、偶然映子のサイン会を訪れていた右京は、映子のすべての著書を読破。
結婚直後に執筆した唯一の駄作が気にかかる。
その作品の中で使われた文章表記には、三原の遺書と一致するものがあった。
右京はその作品が自殺の原因ではないかと映子に疑問をぶつける。
脚本:東多江子
監督:長谷部安春
【ゲスト】
今回の犯人
自分では駄作しか書けないくせに調子に乗って贅沢三昧するどうしようもない人。
筒井さんは後に名作「暗数」で衣笠の妻役として別役再出演している。
表向きは編集者、裏ではゴーストライター
右京も認める文章力が高い編集者…俺にもその能力を分けて欲しい。
春木さんはS13とS17で2度別役再出演している。
【感想】
《会い逢い合い》
今回のテーマは"作品"。
映子はそもそも小説家に強い拘りが無く、有名になる手段として小説家を選んだ。
対して育恵は作品発表の機会に恵まれず、鬱屈した日々を過ごしていた。
そんな2人が手を組んで、小説の執筆担当は育恵、ビジュや外向け担当は映子。
この二人三脚で上手い事やっていった。
途中で映子が結婚して関係解消になりかけたが、文章力や語彙力が無く執筆した小説は駄作で育恵に泣きついた。
近い話だとS20「ディアボロス」もあるが、こっちは苦しんだら良い作品を生み出せる華道家にマネージャーが不幸をセッティングしまくるって内容がある。
S2「蜘蛛女の恋」のような共依存っぽい要素もある育恵が病的に固執しているだけで、それとは少し違うイメージもある。
というか映子側は育恵を利用してるだけなのが切ない。
まず映子が馬鹿でプライドが高く悪辣過ぎる。
•公務員は退屈な人生だと馬鹿にする
•分かりやすく解説されたのに右京の名前を間違える
•小説内で敬語を間違える
•高い着物を2着買ってご満悦(旦那殺したばかりなのに)
•メディアに出るのが大好き
•育恵が執筆中にパーティーに参加
•特命係に付き纏われて喚く
•育恵に殺人を気付かれている事に気付かない
•自分は高い酒を飲むアピール
•育恵を売って自分だけ助かろうとする
それでいて、旦那と離婚する選択肢もあったと言われたら
「あとはどう料理(利用)できるかしか考えられない」
とほざく始末。
じゃあどう利用したのかって言うと話題作り&小説と似たような殺し方をしただけ。
1番話題になった遺書の作成は育恵が思いついてやったので、そもそも発想すら無かった。
最終的に育恵に罪を擦り付けようとする場面は恩を仇で返すを体現している。
まぁ映子は自分が優秀な小説家で育恵はゴーストライターではなくサポート係としか思ってなさそうなので、そもそも恩とすら思っていない可能性が高い。
そこまでして育恵が映子に拘る理由は、沢村映子という人間そのものが作品だったからに他ならない。
子供が自分の指示で芸能界で成長していく事だけを喜ぶ毒母のように、彼女は"沢村映子という虚像をどこまで大きくできるか"というのを生き甲斐にしていた。
だから彼女が名声を得られるようにサポートを惜しまなかった。
個人的には"あう"は"逢う"って表現が好き。
"逢引き"って言葉があるくらいなので恋愛的にオシャレな響きを感じる。
また"会う"は友人家族との約束のイメージ。
今回育恵が使う"合う"は考えてみたら運命に導かれてるような印象があり、映子に対して抱いてた思いとも同じ。
こっからは苦言になるが、映子が旦那を殺した理由が分からない。
女遊びが激しいとか愛想が尽きたとはあるが、殺すまでの理由がイマイチはっきりしない。
献身的なゴーストライターという人間ドラマは悪くない(良くも無い)んだが、肝心の殺人事件が全く面白くない。
映子が強欲でプライドが高い馬鹿なのは分かるんだが、そのくせ最後に育恵の思いを聞いて涙を流したりと小市民過ぎるので殺人に至るまでの激情を持つ過程が想像つかない。
また育恵も育恵で映子に拘るキッカケが弱い。
運命的とはいえ元々小説家志望でも無いのに映子にあそこまで滅私奉公する理由がない。
彼女の何に惹かれたのか本当に分からない。
《今回のMVP》
女性は憧れの女性と同じものを身に付けてマネしたくなるという事を伝えた功績。
それのお陰で洋服に着目して映子が真犯人という証拠まで抑えられた。
嫉妬や憎悪じゃ無く、相手に尽くしたいっていう感情面もしっかり伝えてるのはベスト。
元カレの亀山に愚痴るだけの美和子も少しは見習え。
【小ネタ&雑感】
•育恵も三原も読者の近くで愚痴るな
•自分の書いた物語と同じ展開(「女優」かな
•旦那の遺書が詩的過ぎる
•「第三の女」といえば浅木を思い出す
•亀山「ルールは守りましょうね」(おま言う
•友達の亀山君
•映子「ファンの方は怖いわね、こんな細かい所まで読み込んでるんだから」(『相棒』に対しての俺かな?
•当時のExcelで入力してる右京さん
•10年で自社ビルって凄い(沢村映子頼みらしいし多分潰れるんだろうな
•亀山君を使って脅迫するな
•育恵は映子の世界を理解してるどころか世界を作ったんでしょ
•だから何で美和子いるんや
•倦怠期に鈍いとか亀山君の前で言うな美和子
•たまきさんが学生時代憧れの的だったと聞いて嬉しそうな右京さん好き