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相棒2 第4話「消える銃弾」感想
ファンの間で砂本3部作と呼ばれている中の1発目。
兎にも角にも超面白い!!
特殊改造銃で放たれる消える銃弾ってだけで男心がくすぐられまくるし、更に弁当屋スナイパーっていう絵面も面白すぎる。
やっぱSeason2最高だよ。
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そして芹沢慶二初登場回!!
ここからトリオ•THE•捜一として、そして三浦さんが抜けてからは伊丹とコンビになり、そこから出雲が加入し現在まで新トリオとして活躍するという『相棒』に欠かせない名バイプレイヤー。
というかこの登場時に昇進試験を受けようとしてるけど、ここから12年昇進しないのはヤバい。
【あらすじ】
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雑誌記者の有賀が何者かに狙撃され死亡した。
狙撃された場所は推測できたものの、なぜか硝煙反応が出てこず特定できない。
しかも、体内に残っているはずの弾丸も発見されず、銃弾の線状痕を調べることもできない。
銃で撃たれたことは間違いないのに、銃の特定もできない。誰がそんな魔法のような銃を使ったのか…?
鑑識課の米沢からこの事件の情報を得た右京は改造銃にくわしい苫篠に会いに行く。
小さな町工場を経営している苫篠は、右京の突然の来訪に不快感を露にする。
脚本:砂本量
監督:大井利夫
【ゲスト】
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下條さんは以降も『相棒』に2度出演されている事やエディ•マーフィーの吹き替えをされてた事が印象深い。
あと調べて驚いたのがアトムという名前は本名で、しかも『鉄腕アトム』の放送前に名付けられていたって事。
しかも小学生時代のクラスメイトに、ウランちゃんもいたってのも凄い。
【感想】
《魔弾の射手》
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父親が元テロリストと雑誌で暴かれた事で仕事と婚約者を失った青年が自殺。
彼を慕っていた弁当屋の女性が特殊銃で彼を自殺へ追いやった連中へ復讐を果たそうという物語。
•銃声も硝煙反応も無く、弾は撃てば消える銃
•息子を想う父親と歯止めの効かない弁当店員
このトリックとミステリーの2つが綺麗に噛み合っているのが本当に面白い。
まず銃については空気銃なので銃声も硝煙反応も出ず、弾丸はスペアリブの骨を削った事で命中時に砕けて被害者の骨と混ざる事で消えたように見える。
何この発想!!
空気銃ってだけでも充分に奇抜なのに、そこに弾丸を骨にするっていう奇抜の重ねがけって!
どんな生き方をしてたらこんな発想がでるのか尊敬しかない。
またこの銃だからこそって演出が多いのも魅力的。
特に銃声が無いから十和田がガラス越しで撃たれてたシーンや、コンデンサのエンジン音の中で晴美が銃を構えるシーンは神。
前者は事情聴取が終わり空気が緩和してた中で一気に緊張感が走るからその落差が凄い。
後者は狙撃の場面は普通静かで張り詰めた空気になるものだけど騒音が響くのが新鮮だし、なのに晴美だけは鼻歌しながら心穏やかっていう対比が凄い。
『相棒』で"銃"にフォーカスが当てられる事件は貴重なので、それも含めて堪能させて頂きました。
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[杉下右京]
銃は嫌いです
銃を使えば血が流れるし、相手に致命傷を与えます
警察もいつまでこんな野蛮で旧式な武器を使っているんでしょうね
弾もタダではありません
税金の無駄遣いです
杉下右京が拳銃という武器に対しての考え方が見える貴重な回でもある。
恐らく過去に銃で部下達を失った経験がある事から、銃に対して忌避の感情があるのだと思う。
そんな右京が導き出した答えが"致命傷を与えず血も流さないスタンガンのようにショックを与えるだけの安全で安心な銃"というのは本当に右京らしくて好き。
残念ながらこの回から20年以上経過してもなお、日本や世界はスタン銃を採用せず志が果たされる事は無さそうだけど、こういった夢物語を持ち続ける事が大事。
因みに亀山は今回でも分かるように銃の扱いは上手いし、神戸も警備部出身で銃の射線が分かるほど慣れてるし、カイトも交番勤務時代に撃ちそうになったり「ボマー」で拳銃で防衛を働いたし、冠城も後半は銃を使わない美学を見出すも法務省時代は銃で犯人を殺そうとしたってのがあるので"相棒"側は銃への忌避感情が少ないってのが共通点かもしれない。
だからこそS22「男の花道」で捜査一課が拳銃を使うのを良しとするのに違和感があるんだよなぁ…。
《夏休み》
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麦わら帽子は もう消えた
たんぼの蛙は もう消えた
それでも待ってる 夏休み
姉さん先生 もういない
きれいな先生 もういない
それでも待ってる 夏休み
この歌は吉田拓郎さんが少年時代を懐古して作詞されたという事。
晴美がこの歌を好きだったのは、描写から考えると孝一から教えてもらったという思い出の曲という可能性が高い。
そして作劇としては"夏休み=孝一"と比喩して、彼と過ごした夏の素晴らしさや彼を失い彼を形作るものも全て"いない"と考える晴美の無念が強く伝わる。
それでも死んだと分かってても死体が出てこないから"待ってる"という悲しみ。
朝と帰りの挨拶程度でも片想い相手だとそれを楽しみにしているってのも凄い分かる。
相手が可愛いと朝に挨拶して返ってくるだけでも凄い楽しいよね…。
しかもそこで明確に相手が異常な状態になってるのが分かったのに勇気が出せず救えなかったってのも後悔の感情として分かる。
孝一の異常に気付きながら救えなかった後悔。
孝一を追い詰めた十和田達への憎しみ。
孝一の死体が出て来ず諦められない愛情。
これが全部混ぜこぜになって晴美は壊れた。
そこで出てくるのが笘篠武が作った改造銃という明確な復讐手段が現れてしまったのも運が悪い。
晴美は理性も含めて壊れているので実行に対してのタガが外れている。
笘篠については父親として息子を死に追いやった十和田達を恨む感情が勝るのは否定できない。
でも心のどこかで自分が元テロリストだったから孝一は死ぬ事になったという負い目があったからこそ銃を作りはするも弾丸は作らず殺人を実行しなかった。
笘篠の詳細は分からないが、逮捕されてから改心し右京から"安全安心な銃"を作ってくれる職人と認識されるような存在になっていた。
過去の罪を悔いているからこそ、凶行を起こす事なく、ギリギリで踏み止まれたと思う。
でも結局は、溢れた狂気を晴美が見つけて実行してしまうという悲劇…。
まぁ晴美は改造銃とか無くても復讐に動いた可能性高いので、それを考えると笘篠さんが余りにも不憫。
2人に共通するのは"孝一にまた会いたい"という無償の愛だったので、こういった愛ゆえの復讐殺人はどうしても犯人寄りに見てしまう。
ただ笘篠の過去の詳細が分からない事は残念。
まずは右京との関係。
過去に学生運動をしていて右京が逮捕したのだとしたら年齢的に厳しいし、右京が逮捕していないとしたらどこで笘篠と出会ったのかが分からない。
右京は孝一を知っていたっぽいし、安全銃を依頼したのはいつで、今回の再会は何年振りなのかなど関係性がイマイチ分からない。
また笘篠の奥さんも不明。
獄中で奥さんが死んだのか、それとも別のタイミングなのか…。
ここが分かれば父子2人で生きてきたから絆が強かったとか、そういった想像の余地がある。
笘篠と孝一が会話をしてるシーンも無いので、ここに強く感情移入が出来ないのが残念。
《今回のMVP》
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伊丹が嫌いという理由で右京に全情報を横流し、空気銃の完全再現、骨が弾丸に使われてる事の裏どり等々の面倒事を全部やってくれたという最高の有能っぷり。
青木も土師も益子も好きだけど、やっぱり米沢さんなんだよなぁ…
次点は初登場の芹沢。
車から引き摺り出されて初の情報提供を亀山に行い、また現在ケイコがいる場所を伝えたのも素晴らしい。
ただ監視と護衛をするのは良いが、特命係がいなければ晴美の凶行を止められなかった。
あと20年ある、頑張れ芹沢…!
【小ネタ&雑感】
•亀山は銃の扱いが上手い(因みに毛利小五郎は初射撃で20発全弾真ん中に命中させた天才)
•紅茶を持ち運ぶ右京さん(しかも高い所から注ぐ
•野蛮で旧式の武器の銃は20年以上経つ現在でも使われてる
•右京「そんな事…思ってませんよ」←思ってそう
•課長のコンタクトコントに笑う
•初登場なのに首寝違えてる芹沢w
•特命係は捜査一課から見て下の階の隅っこの日当たりの悪いジメジメとした場所
•当然だけど捜一に課長がいる!!(金子を思い出す
•友達が多い(仮)右京
•人権無視したゴシップ記事は本当にクソ
•髪型褒めたら調べてくれる美和子優しい
•十和田のパーテー呼びにジワる
•規制解除後の現場に血痕残ってるの嫌すぎる
•孝一の自殺現場ロケ地どこだろ
•亀山君の乗ってる車S1から変わったな
•亀山君お腹減り過ぎだろww
•今では特命係に誇りを持ってる亀山君
•苫篠は総理大臣殺そうとしたの!?
•美味しい食べ物と愛なら世の中を変えられる
•女の子とデートをしてました(アリスか!?
•参事官のハンカチでメガネを拭く部長
•特命係も組織人w
•どう見てもBGがヤクザ
•芹沢を窓から引き摺り出すなw
•芹沢の"相棒"が女性警官
•肛門にコンプレッサー刺して空気入れて死ぬみたいなアホ事件あるからな
•タツミ開発とタッちゃんだ!!!
•タツミホールって何だよw
•亀山君のドライビングテクニック凄い
•木の枝を亀山君に投げ渡すテクニック!
•課長の青いカラコン本当に好き
•亀山君の指が入ったお茶を飲みかける右京さん