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相棒2 第20話「1/2の殺意」感想
この話を再視聴したのは10年ぶりで、当時は吉本多香美さんの美しさに目を奪われていて内容は殆ど覚えていなかった。
でも今回再視聴したら超超面白い!!!
双子ならではのトリックに姉妹の愛憎劇とミステリーとしても人間ドラマとしても完成度が高い!!
何でこの話をここまで忘れてたんだと自分で自分を叱りつけてやりたい!!
再視聴はこういう新たな発見があるからやめられない。
ただ合成班大変だったろうなぁ…
【あらすじ】
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青年実業家の坪井が歩道橋の階段から落ち、重傷を負った。
彼を突き飛ばす女を見たオカマバーのママ・ヒロコが似顔絵を作成。
右京と薫は捜査一課は別で女を追う。
後日、特命係と捜査一課が女を連れてくるが、2人は一卵性双子の姉妹…岡村留奈•留美だった。
脚本:深沢正樹
監督:和泉聖治
【ゲスト】
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今回の犯人
一人二役はただでさえ難しいのに服も髪型も生き方も似ている双子という超難役をこなしている。
吉本さんは初代ウルトラマンである黒部進さんの娘で、『ウルトラマンティガ』レナ隊員を演じたのも印象深い。
マジでレナ隊員は幼稚園時代の初恋。
最近コロナ後遺症で寝たきり生活になっていたらしいので早い回復を願っています。
【感想】
《2/2の殺意》
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実業家の坪井にお金を奪われ心と身体を弄ばれた岡村姉妹は、復讐を決行。
双子ならではの力使った完全犯罪を目論む。
今回何が凄いかって、殆ど完全犯罪を達成していたって事。
•1人は事件を起こし、1人はアリバイ作り
•目撃されても顔が同じで不明
•DNAが同じだから遺留物からも不明
•事前に同じ席を利用し両名の指紋を付ける
•アリバイの内容は事前に擦り合わせる
•仲違い作戦はそもそも信用しない
事前準備も抜かりなく、メンタルセットも完璧、警察側の作戦も先読み…シリーズでも最上位に入る難敵。
面白いのは犯人は絶対に留奈か留美のどちらかであるはずなのに、そこが絞りきれない事。
協力しているという証拠があればとりあえず犯人隠避で2人とも送検出来るが、2人が口裏を完璧に合わせてるからそこでもボロが出ない。
まさに法律の穴を突いた奇策。
2人の策が崩れたのもただの偶然。
雨が降っていた事…カップルが喧嘩をしていた事…彼女側が傘を間違えてしまった事…これらが全部揃っていなかったら敗北していた。
この偶然までしっかり追って証拠を突き出すのは流石の杉下右京なんだけど、もし雨が降ってなかったら岡村姉妹を攻略していたのかは非常に気になる。
でも今回のアリバイ崩しはかなり王道のやり方で、騙し討ちや邪道を好む右京の中ではかなり丁寧。
やればできるじゃん杉下右京。
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[坪井真治]
離せよ
お前とも本気だった訳じゃない
一度双子の両方と付き合ってみたかったんだよ
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クソみたいな男の夢を叶えたゴミ。
そりゃ殺されるべき。
動機は坪井に姉妹共々弄ばれた事による怨恨。
でも素敵なのは姉は妹を思って殺害を決意し、妹は姉を思って殺害を決意した事。
姉妹どちらかが50%で犯人という話ではなくどちらも100%犯人だった。
サブタイトルはミステリー要素で回収しながらも裏をかいてくる手法…嫌いじゃありません。
姉の留奈は妹への劣等感があった事は間違いない。
だから妹のヘマで捕まる事になり逆にスカッとしたのは本音だと思う。
でも妹を愛していたから彼女も坪井に弄ばれた事を察して自分の事以上に怒っていた。
だから不起訴を悔しがる演技の裏で、坪井殺害の資格を譲る事が出来た。
本音の中に嘘を混ぜたら騙されるよな…
妹の留美は姉の想いを知らないまま、表向きは自身の怨恨…裏では姉の復讐として坪井を殺害しようとした。
姉に打ち明ける事ができなかったのは留奈が自分に劣等感を持っていたのを知っていたからで、こと坪井とのについて黙っていたのもは姉のプライドをダメ押しで折る事を危惧してのものだった。
たとえ根底に複雑な思いがあったとしても、家族である事は変わりない。
本当に嫌悪しているのであれば離れるし、部屋をお揃いにしたりはしない。
それだけ2人は通じ合い互いを思い合っていた事の証拠にもなり得る。
亀山と伊丹のように同レベルの似た者同士は張り合うし喧嘩もするが、窮地に陥ったら自分事のように助けてしまう絆もある。
それが双子で姉妹なら絆も間違いなく強い。
右京の言う通り、こんな良い姉妹が坪井なんかの殺害に手を染めてしまう方がよっぽど勿体無い。
多分今回の事件をキッカケに過去の件で起訴されて償う流れになるはずなのでそれがベスト。
最後に2人が目を合わせて頷いたのも、殺さない道を選んだ互いの安心感なんだろうね。
姉はやった事の責任は取らなきゃいけないし、妹も姉に報いる為に全てを告白して自分も罰を受けようという姿勢が立派で美しい。
まぁそれでも部屋が全く一緒なのは気持ち悪いし擁護できない。
《今回のMVP》
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先述した通りこのカップルがあの日あの時間で喧嘩をしたから事件解決になった。
特に彼女側は傘を間違えて持ち帰る超ファインプレーまで魅せてくれた。
ただ男側が浮気をした結果、彼氏以上のクソ男の命が助かったと知った彼女側の心情は複雑だろうな。
次点は悩んだけどたまきさん。
姉妹の演技に騙された特命係に双子の絆を語って彼女達の奥の手を看破させた功績が大きい。
あそこで看破できなければ坪井は殺され留美は殺人犯になってしまった。
因みに余談だけど、幼馴染に双子の兄弟がいて以心伝心っぽいやり取りをしていたのを何度も見た事があるので双子の繋がりについては割と肯定的。
【小ネタ&雑感】
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•ヒロコママが疑われるんかい!
•"花の里"会計って誰が払ってるんだろ
•1発で酔いが覚めるような伊丹の声
•ヒロコママに嫌われた失礼な伊丹
•ヒロコママがいるのに「本当の女か?」は今の時代ならアウトよ伊丹
•ソースは芹沢(なお登場はしない模様
•亀山がやったプライバシーの侵害を指摘しても止めない右京
•中学の頃に双子の片割れに告白するも想い人を間違える課長良き(中学時代に今の奥さんに会ったのにな
•謎の刑事いるが芹沢どこ行った
•捜査情報持ち帰って美和子に見せるな
•伊丹と同じレベルだから張り合う亀山(20年後は伊丹の方が優秀な気がする
•傘を頻繁に間違えて持ち帰る事を謝る亀山君好き