相棒3 第13話「警官殺し」感想
まさかの阿部貴三郎再登場!!
知らない人に説明すると、阿部は亀山君が捜査一課時代に追っていた強盗犯。
阿部は飲食店で亀山君に確保されそうになり、拳銃で逆に彼を人質に取り立てこもるも、右京の作戦で逮捕される。
亀山はその後TVで人質として中継される失態を犯した事を理由に特命係へ送られてしまう。
ある意味亀山薫を特命係に送り込んだ張本人。
また今回の美和子は良い。
S3は基本的に彼女へのヘイトが溜まる一方だったけど、前回と今回とで少々挽回した。
亀山と別れても仕事としては真摯な距離感で接するのは理解だし、正義を持って大久保キャップに立ち向かったのもカッコいい。
内容としても、特命係•捜査一課•組織犯罪対策部•部長•大河内•官房長•美和子と全員が活躍がしていて超面白い。
【あらすじ】
住民の信頼厚い交番勤務のベテラン巡査・長谷川が銃殺される。
右京は凶器の銃が現場に残っていたことに疑問をもつ。
一方、目撃情報から、過去に長谷川に逮捕されたことのある阿部の名が挙がる。
捜査一課の調べでは、阿部は事件の3日前にも長谷川から職務質問を受け逃亡していた。
一課は、怨恨による殺害とみて阿部を逮捕する。
脚本:櫻井武晴
監督:長谷部安春
【ゲスト】
今回の被害者
警察組織からの命令とと良心の呵責に追い詰められてしまった心優しき警察官。
江藤さんは水谷さんと同じ年齢のイケおじ俳優で『相棒』には別役で以降2度出演されている。
今回の犯人
都内の交番を取り仕切る地域部の部長。
以降の作品でも地域部長にスポットが当たる事は無いので貴重な気持ちがある。
今回の戦犯
「被害者だろ」って意見が多数かもしれないが、後述する理由で個人的には完全に戦犯。
先述の経緯から亀山との因縁は深いキャラなので是非とも再登場して欲しい。
因みに武野さんは蕎麦屋をやっていたらしく蕎麦好きとしては嬉しい。
木場署地域課課長
長谷川さんの上司だったが、彼を救う事はできず上の指示に従った中間管理職。
山崎さんは北九州出身なので川原さんとの同郷でもある。
【感想】
《変わらない男》
刑事部×地域部×組織犯罪対策部
そして特命係…
組織内の権謀渦巻く警察官殺人事件。
地域住民にも同僚達からも慕われる交番勤務の長谷川さんが銃殺され、表向きは犯人探しに燃える警察組織。
だが裏では刑事部と組織犯罪対策部が地域部へ貸しを作るチャンスと躍起になっている。
この組織内のイザコザが抜群に面白い。
容疑者である阿部をどこが確保するかというタイムアタック。
組対は刑事部を出し抜こうと拳銃売人のルートを独自に辿り、刑事部は組対にスパイを送り情報を引っこ抜く。
大小コンビや芹沢も盗み聞きしまくるなど互いに牽制し合っている。
そして地域部は地域部で後述する真実が発覚しないように奔走する。
ぶっちゃけ誰も長谷川さんを悼んでいない。
そんな中でただひたむきに長谷川さんの真実を追い求める特命係がカッコいい。
特に亀山君は長谷川さんと親交や容疑者の阿部との因縁もあり普段以上に熱い部分がクローズアップされている。
そして右京は亀山の熱は"正義"なのか"感情"なのかを説いて導いていく。
対照的な"相棒"の良さがコレでもかと発揮されている。
そんな特命係が導き出した真実は長谷川さんは自殺していたというもの。
長谷川さんは更生した阿部を見かけ再会を喜び声をかけると、何故か阿部は逃走。
慌てて追跡する中で白井のおばあさんにぶつかり死なせてしまう。
上層部に自首するが隠蔽を指示されてしまい、罪悪感に苛まれ自死を選んだ。
"警官殺し"の犯人は警察組織というオチ。
罪悪感を持ち続けて生きるのはツラいから死を選んだ。
警察を裏切って死ぬのはツラいから殺人を装った。
どこまでも愚直で正しい警察官であり続けようとした長谷川さんの最期が切ない。
亀山君は「死ぬ必要は無い」と言っていたが、長谷川さんは生き方を変える事が出来なかった。
そして美和子に言われた通り亀山君も変わらないし変われないのがシンクロする。
S7「最後の砦」では警察組織に追い詰められて目の前で自殺した警察官を思い、思い悩んでしまった。
そういった意味では亀山も長谷川と同類な気がする。
そんな亀山を支えるのが杉下右京。
長谷川の真実を暴く事は、彼の名誉を毀損し白井家からの評価を貶めて傷付ける覚悟が必要。
先述した通り、亀山に"感情"ではなく"正義"をもって対処にあたるようにするのが本当に素晴らしい。
人情面では亀山が請け負い、捜査面は右京が請け負っているように見えるが人情側である亀山を導き共に進もうという優しさが見える。
最終的には官房長の作戦で十河を悪人にし、内村をヒーローにする事で警察組織としてのダメージを最低限に抑える事で着地。
それをマスコミの前で糾弾する事で自浄作用がある事も示した。
そんな訳で世間が大騒ぎ状態になる中、真実を明らかにした特命係はお昼ご飯をどうするかでジャンケンしてるほのぼの感。
やっぱ現場の特命係、後処理の官房長って流れが非常にしっくりくる。
大体阿部が悪い
そもそも阿部が長谷川さんに声をかけられ逃げなかったらこんな事にはなっていない。
阿部は自分を人間扱いしてくれた長谷川さんを慕っていたにも関わらず、声をかけられたら彼だと分からず咄嗟に逃げてしまった。
「警察官の顔見たら逃げてしまう」ってふざけんじゃねぇ。
阿部は自身を堅気と自称してるが、そもそも一般市民は自身を堅気とは言わない。
違法な事はしてなくとも脱法行為はしてそうだし、問い詰めたら余罪に溢れてそう。
組織内の権力闘争は面白いんだが、阿部が逃走したのが全ての始まりにも関わらず彼は哀れな被害者みたいな扱いで、100%警察が悪いみたいな着地点とされるのは遺憾でもある。
長谷川さんの葬儀に行った程度で許されると思うな。
というか葬儀に行くだけでも足りないのに亀山を見て逃げるとか長谷川さんの件から何も成長していない…!!
阿部が逃げなければそもそも今回の悲劇は起こらなかった。
というかコイツは白井家に謝りに行かせるべきだし、真実を知った白井さんが何を語るかで長谷川さんの評価も変わるので、そこは逃げずにやって欲しかった。
余談だが特命係の昔の知り合いマジで可哀想説。
今回は亀山君と親しかった長谷川さんだけど、S5「裏切者」の北村しかり、S21「逃亡者 亀山薫」の塩見さんしかり恩人がどんどん死んでいってる。
右京も上司の小野田や先輩の金子や片野坂とも対峙していたし、神戸君も元上司に反抗したり、カイト君も根津に堀江さんと仲が良い先輩と対峙した。
他にも米沢さんは上司と戦ったしね。
みんな芹沢ほどじゃ無いが悲惨。
《今回のMVP》
長谷川さん自殺の証拠を右京に献上するファインプレー。
また内村部長が特命係を謹慎にしようとするのも組織論の中で正当性を持って婉曲に否定するのも流石の手腕。
まぁ官房長がいればどうとでも便宜を図ってくれそうな感はあるが、特命係のような劇薬じゃ無いが警察官として警察組織を正したいっていう志を持っているのは素直に惚れる。
今回特命係を"奇跡"と称していたが、S7で険悪になりS11時点では"諸刃の剣"と例えるほどに彼等の危険性を認識するのはまだ先の話。
次点は杉下右京
この台詞は個人的『相棒』最高傑作であるS4「冤罪」にも関わってくる。
選出理由は長谷川さん関連の捜査を全部やった事と、亀山を導いた事。
ただ残念ながら官房長の言う通り全て状況証拠の域を出ない。
マイナスな訳では無いが、決め手に欠けたのでMVPからは外れました。
【小ネタ&雑感】
•人質籠城が5年で出所できるの!?
•大小コンビが盗み聞き
•亀山君(確か)3度目のスーツ
•キャップのマスゴミムーブ酷い
•永遠に鑑識に居座る右京さん
•亀山君の貴重な捜査一課時代話
•300万円の貯金だけど年齢を考えたらもっとありそうな気がする
•亀山と阿部の会話エモい
•後ろの面会監視員こっち見るな
•白井留美役の長谷部香苗さんは『あぶない刑事』の瞳ちゃん役で、長谷部監督の娘さんやね
【次回】
相棒season3 第14話「薔薇と口紅」感想
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