第13夜👀猫の模様のあれやこれ 　　《第2章》模様の変化は生き延びるための戦略?!

相棒たちとの暮らし方

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第1章では、イエネコのルーツがキジトラ模様のリビヤヤマネコだったことや、オレンジ色が強くでる茶トラや、銀色のサバトラ、単色なども遺伝子の突然変異により生まれたお話をしてきました。

「トラねこのトリセツ」東京書籍　より

「トラねこのトリセツ」東京書籍　より

でも、どうして？自然界では目立って敵に攻撃されそうな白い猫などが、
こんなにも多く生き残って来れたのでしょうか。

例えば、同じネコ科のホワイトタイガー。ベンガルトラの中で稀に生まれるホワイトタイガーは、自然界では白い体が目立ってしまい、狩りの成功率はベンガルトラと比較すると低くなるそうです。草原の中で生き残るのは難しそうです。

ホワイトタイガー　https://news.mynavi.jp/article/20141009-a120/

一方、イエネコは自然界で目立つ白い猫なども、こんなにも多く生き残っていますよね。なぜでしょう？

第2章　変化は生き延びるための戦略?!

相棒たちとの暮らし方

1.　いろいろな柄の猫が増える理由

猫専門病院の院長　山本 宗伸（やまもと　そうしん）さんは、猫とヒトの関係性の変化を指摘します。「紀元後からいろいろな柄の猫が増えるのは、カモフラージュしやすい柄でなくても生き残っていけるようになった、つまりより人間と距離が近づき、目立った柄でも生きていけるようになったと考えられます。むしろ、珍しい柄の猫は人間を魅了し保護繁殖されることもあります。」

実際、「猫の詩」という文献には、アユタヤ朝(1350～1767年)の王室でシャム猫が飼われていたという記録が残されています。

シャム猫は、鼻と耳、四肢の先だけが黒くなるポインテッドという特徴的な柄を持ちます。この美しい柄のシャム猫は血統書が付き、1884年に初めてその血統書付きのシャム猫がイギリスに渡り、そしてアメリカを経て1940～50年代に世界中の人気をあつめました。日本では1950年代に人気が高まったそうです。

シャム猫　https://www.petfamilyins.co.jp/pns/article/pfs202112w/

その時代や地域により、人的に繁殖されて血統書付きの猫も生まれています。　しかし、人的な繁殖以外にもイエネコが、これほど多くの模様や毛色に分かれた本当の理由は何でしょう。

もしかすると、猫は『暑い国から寒い国まで、世界中のヒトという生き物との距離を近くして生きる！』という大きな野望を持ち、それを代々受け継いでいるのかもしれません。

２. 　ヒトの影響で変化を遂げたゾウ

とても興味深い変化を遂げた『ゾウ』のお話があります。
アフリカ、モザンビークのゴロンゴーザ国立公園に暮らすゾウには、15年間続いていた内戦により、ある変化を受けました。

たった15年という短期間での変化”牙の無いゾウ”

このゾウの多くが牙を持たないのです。内戦中、現地では資金源となる象牙や、食料となる肉を目当ての密猟により、ゾウ全体の約9割が殺されました。ゴロンゴーザ国立公園に生息するゾウたちは、その数少ない生き残りです。

牙のないゾウは、牙を目当てとする密猟者によって殺されることはありません。牙がなくなったことで、”生き延びる”という生物学的な優位性を持ったのです。

希少な「牙なし」の遺伝形質を持つゾウ　https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/b/111300246/

調査によると、1992年の内戦終結後に生まれた若いメスの1/3が、最初から牙を持っていませんでした。通常、牙なしの個体はアフリカゾウの雌のうちわずか2〜4％しか生まれません。このことからも、1/3は通常の自然界では考えられない数字です。

具体的には、内戦の生き残りである25歳以上の個体の51％が牙なしであり、戦後に生まれたメスでは、牙を持たない個体は32％にのぼりました。

牙のないゾウが増えている　https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/b/111300246/

生き延びるために変化したゾウたち　生存率5倍増

この国立公園の記録では、1972年には2,542個体だったアフリカゾウが、2000年には242個体にまで減少していました。これは、28年間で9％にまで減少したことになります。

研究グループがこの数値を元に、様々なシミュレーションを行ったところ、記録のある28年間では、牙のないメスは、牙のあるメスよりも生存率が５倍以上も高いと推定されました。つまり、メスにとって牙のないことが生存に有利に働いたと結論づけられたのです。

更に、研究グループは、ある特徴を発見します。牙のないメスでは、性染色体のＸ染色体にある１つの遺伝子に突然変異が起きていたのです。この変異した遺伝子を１つもつと、メスは牙がなくなり、オスは胎児のときに死んでしまうことなどが判りました。このオスの胎児が死に至るメカニズムは、まだ分かっていないそうです。

つまり、子を産むメスのゾウだけが突然変異によって、牙を持たない個体へ変化したのです。

牙のないメスのアフリカゾウ　（つくはサイエンスニュース）より

変化の理由とは

わずか15年間で、生き延びるために大きな変化を遂げた”牙を持たないゾウ”。一方、イエネコたちは、古代エジプトという紀元前から私たちヒトと関係を持っていた猫たちの変化の大きさは、そのまま生き延びるための苦労の証だったのでしょうか？いやいや、そんな苦労ばかりでは無かったでしょう。

船荷を守る重要なクルーとして乗船し、陸から陸を渡り歩いた歴史からも、それぞれの土地で生きるため変化だったのかもしれません。

（下のデジタル・アート（マイクロソフトの「Image Creator」）、　　　　　
　ちょっとイメージと違っちゃいました　笑）

荷役責任者のネコ　（デジタル・アート）

一方、我が家の相棒猫の゛ももサン゛はというと。
うぎゃーと声を張り上げながら、私の足をつたって伸びをしてくる”ももサン”を抱き上げると、体全体で私の耳元にスリスリとし、ペロペロと耳を舐めてきます。全身で愛情いっぱいの挨拶を繰り返す相棒です。

”これも生き延びるため⁉”と考えると、ちょっと寂しい気持ちになりますが
スリスリと体当たりするその強さに愛情をしっかりと受け止めております。

スリスリする相棒猫

こんな猫は”もも”が初めてす。個体の特徴か、我が家で生き残るための変化か?!　ともあれ、たくさんの愛情をいただいています。

本題とは少し離れますが。
古代エジプトの猫のミイラを調べていくと、最近の高解像度のCTでイエネコが殺されてからミイラになった可能性が高いことが判ったそうです。

古代エジプトの「ネコのミイラ」は、いかにつくられたのか？ 高解像度なCTスキャナーによる分析で見えた史実

ちょっと見方を変えると、”助ける事が難しい病の猫に安楽死の道を与えて、その後ミイラにした”とも考えられます。
が、事実は未だ判っていません。

4．　ヒトと自然とのバランス

この地球に暮らす動植物の変化を考える時、ヒトが与える影響の大きさを考えさせられます。それは、ネコであり、ゾウでもありました。
また、生き物とは『願えば叶う』という力を身に付けているようです。

ネイチャーポジティブ

私たちヒトは、生物界で捕食されることのない立場です。食物連鎖の頂点にいる私たちは、他の動植物に与える影響の大きさを日常の中でもっと考える時間を持つことが必要ではないでしょうか。

私が勤めている建設会社では、建物をたてる時に”ネイチャーポジティブ”という環境を配慮する建物の考え方を用いています。具体的には。自然生態系への影響の把握や損失の少ない開発、工事や材料などのCo2排出量の削減、などが挙げられます。

ネイチャーポジティブとは『自然生態系の損失を食い止め、回復させる』という世界的な目標で、

https://www.asahi.com/sdgs/article/14816154

日本も国家戦略として２０３０年までにネイチャーポジティブの実現を掲げています。

例えば、2023年11月にオープンした麻布台ヒルズ（東京/神谷町）は”緑あふれる広場のような街”としてオープンしました。

麻布台ヒルズ

麻布台ヒルズのコンセプトは、
”「緑に包まれ、人と人をつなぐ「広場」のような街−Modern Urban Village−」です。
都市の本質はそこに生きる人にあるからこそ、
人間を中心に発想し、誰もが豊かに暮らせる環境をめざしました。
世界が注目するGreen&Wellnessという価値を、東京の中心で実現します。”　

植栽計画からも、緑豊かな空間であることが判ります。

緑に包まれて暮らすことは”生きることの豊かさ”を体現するようです。

更に、麻布台ヒルズは街全体で「RE100」に対応する再生可能エネルギー電力を100%提供するなど脱炭素や資源循環を推進しているそうです。

麻布台ヒルズ「植栽計画」

願えば叶う

猫の模様から『変化』という点でご紹介した”牙のないゾウ”。
この変化は、28年間で9％にまで個体数が減少という、とんでもない極限状態だから起こったことかも知れません。

しかし、生きるために、希望を持って明日を生きるために、変化が出来れば
それはとても素晴らしいことです。

”引き寄せの法則”よろしく、私たちも望む形へ変化して参りましょう。

例えば、希望ある明日を相棒たちと当たり前に生きることを願って。
そして、自分らしい模様に変化して参りましょう。

デジタル・アート

最後までお読みいただきありがとうございました。

≪参考≫

・トラねこのトリセツ (東京出版）– 2018/9/3
大石 孝雄 (監修), ねこまき (イラスト)ほか

トラねこのトリセツ

・オッドアイの猫は幸運を招く？左右の目の色が違う猫の秘密とは：岩田麻美子_2022/06/15：https://allabout.co.jp/gm/gc/446450/

・猫の柄はもともと1種類しかなかったって本当? - 獣医師が解説_　　　　　獣医師_山本宗伸_20150212：https://news.mynavi.jp/article/20150212-a126/

・シャム猫（サイアミーズ）ってどんな猫？美しいだけじゃない、性格や飼い方をご紹介_20230517
：https://www.petfamilyins.co.jp/pns/article/pfs202112w/

・動物園の人気者！ホワイトタイガーの生態や性格について調べてみた_20220310：https://sunshineaquarium-onlineshopwp.jp/post-1215/

・ネコ科・ホワイトタイガーの肉球は何色なのか!? 実際に見に行ってみた_20141009：https://news.mynavi.jp/article/20141009-a120/

・牙のないゾウが増えている、原因は密猟_20181113：https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/b/111300246/

・つくばサイエンスニュース_なぜ牙（きば）のないゾウは増えたのか？　密猟がねじ曲げたゾウの進化_2021111： https://www.tsukuba-sci.com/?column02=なぜ牙（きば）のないゾウは増えたのか？　密猟

・古代エジプトの「ネコのミイラ」は、いかにつくられたのか？ 高解像度なCTスキャナーによる分析で見えた史実_2020822： https://wired.jp/2020/08/22/see-inside-a-mummified-ancient-egyptian-cat/

・ネイチャーポジティブとは？　社会・経済の基盤を守る新たな世界目標_20230117：　https://www.asahi.com/sdgs/article/14816154

・J-GBFネイチャーポジティブ宣言｜2030生物多様性枠組実現日本会議｜環境省 (env.go.jp)

・森ビル　：https://www.mori.co.jp/projects/toranomon_azabudai/

・麻布台ヒルズ公式ホームページ：　https://www.azabudai-hills.com/index.html

・ヒルズライフ_20231216
：　https://hillslife.jp/lifestyle/2023/12/16/sensory-garden/