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改正漁業法の覚書

おはようございます。
アクティブな引きこもりのあいモンです。

8日未明に、漁業法など水産改革関連の改正法案が参院本会議で可決され、成立しました。

改正法は年内に公布の見込みで、その後2年以内に施行となります。

そこで今日は、自分の頭の整理のために、改正漁業法の概要を少しまとめたいと思います。

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◆改正の背景

漁業従事者の減少があります。

漁業従事者の推移は次のとおりです。

1961年には70万人 1993年には32.5万人(50%以下へ減少) 2017年には15.3万人(さらに50%以下へと減少)

こうした漁業生産を取り巻く変化に対応するため、国内水産業を大きく改革する必要性が指摘されてきたことが、水産政策改革と今回の法改正につながってきました。

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◆水産政策改革とは?

水産政策改革で、日本の漁業が直面している以下4つの課題を解決するとしています。

(1)資源管理:

資源の維持や増大をして、より安定した漁業の経営を目指す。また、国際交渉を通じて、周辺水域の資源も維持、増大させる。

(2)養殖・沿岸漁業:

安心して漁業経営の継続や将来への投資が可能にする。また、需要増大にあわせて養殖生産量を増大する。

(3)遠洋・沖合漁業:

良好な労働環境の下で最新機器を駆使した若者に魅力ある漁船を建造し、効率的で生産性の高い操業を実現する。

(4)水産物の流通・加工:

流通コストの削減や適正な魚価の形成により、漁業者の手取りを向上させる。

これら4点の改革をするためには、具体的な手立てとして新たな措置の導入やこれまでの規制の見直しが必要になってきます。

そのためには、現行の漁業法を大きく変更しなくてはなりません。

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◆漁業法とは?

漁業法とは、日本の漁業生産に関する基本的な法律のことです。

つまり、海での漁場を「誰に」「どう使わせるのか」を定めた制度です。

現行の漁業法は、第二次世界大戦後の1949年に新たに制定されました。

その目的は「漁場を総合的に、また高度に利用する」ことと「漁業の民主化」の2つです。

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◆漁業法改正のポイント

大きく4つ挙げます。

◇その1:IQ制度の導入

今回の法改正では、新たにIQ制度(魚種ごとの漁獲量の割当制度)を正式に導入するとしています。

全体のイメージとしてはこんな感じです。

TAC国が資源評価を基に漁獲可能な量を決める (例:サンマ25万トン) → IQ漁船ごとに漁獲枠を割り当てる (例:◯◯丸 2%、△△丸 1%) → 水産庁に実際の漁獲高を報告

この制度では、割り当てを決めるときに、制度導入前の漁獲実績等を考慮するとされています。

これまでの漁獲実績を根拠とするとなると、大規模漁業に有利な配分が起きやすくなる可能性があります。

◇その2:漁獲量の割当の移転

新たに導入されるIQ制度に伴い、個別に割り当てられた漁獲量の割合を、別の主体に移転(譲渡)することが可能になります。

この譲渡は、船舶の譲渡等とともに行なわれるなど一定の条件を満たした場合に限定されます。

日本では、漁業の実態を踏まえこうした売買行為などは出来ないようになっています。

条件付きの譲渡とはいえ、今後売買による拡大の可能性も懸念されるところです。

◇その3:沿岸漁場の保全活動について

漁場を保全する手立てとして、漁協などが都道府県の指定を受け、活動を実施する仕組みが導入されることになりました。

この点については、法改正が行われたとしても以前とあまり変わらないのが実態です。

◇その4:漁業権の扱い

漁業権は、定置漁業や養殖業などの漁業を行なう主体が一定の海面を独占的に利用することを許可する免許です。

漁業権の免許は、紛争なく、安心して沿岸漁場を利用するために必要なものです。

これまでは、この免許の交付にあたっては、地域社会などに配慮した優先順位が設定されていました。

しかし、今回の改正でその優先順位は廃止されることになります。

従来の順位が廃止されることで、今後は

・従来の漁業権を持っていた者で「適切かつ有効」に漁場を利用している者

・免許の内容たる漁業による漁業生産の増大並びにこれを通じた漁業所得の向上及び就業機会の確保その他の地域の水産業の発展に最も寄与すると認められる者

に免許を交付されます。

しかし、この2つの基準はいずれも客観的基準にならず、判断材料として不明瞭です。

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◆漁業法改正の賛否

以上の4つが改正漁業法のポイントになろうかと思います。

今回の法改正の一番の問題点は、国としての大規模な改革であるにもかかわらず、漁業生産者はもちろんのこと、沿岸地域関係者やその他の関係者に対して、透明性ある対話の機会や、そのためのプロセスが欠けていたように思われます。

また、県知事の采配に重きを置いているため、県知事周辺の人たちが恩恵を受けやすい体制になっているという、個人的な感想もあります。

施行までの間に、国と既存の漁業関係者との溝をどう埋めていくのか、今後の動向を注視する必要がありそうですね。

では、今週も笑顔でよろしくお願いします♪

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