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認知症の始まりと家族が気づいたのは祖母の常同行動だった #2

同じことを繰り返す「常同行動」は「前頭側頭型認知症」の特徴の1つとして挙げられることが多いようです。私の祖母は、「レビー小体型認知症」タイプの症状が多く現れていたものの、常同行動もいくつか見られました。
認知症のタイプ、主な症状を知っておくことはとても役に立ちますが、それ以外の症状も現れる可能性が十分にある、ということも知っておいていただいたほうがいいかと思います。

前頭側頭型認知症は、脳の「前頭葉」や「側頭葉前方」に萎縮が生じるために起こると言われています。脳の機能がこれまでとは違った働きをするのですから、人の行動に変化が見られるのは当然です。

とは言え、単純に「脳の萎縮を元に戻せばよい。」ということにはならないわけです。それが簡単にできるのなら、多くの人が救われることでしょう。

私の場合、何かあったら「なぜそうなったのか?」ということを考えるのですが、常同行動は目にしたことはあっても、毎日目の前で繰り返されるということが未知の世界であったため、「なぜ祖母は同じ行動を繰り返すか。」ということを日々考えていました。

脳の萎縮が原因だとしても、その行動には「何かの欲求があるのではないか?」と思えたのです。私はライフコーチとして、コーチングという手法を使い、仕事や人間関係、家族や生き方などについてのお悩みをお聞きして、前に進むお手伝いをしていましたので、表面に現れている問題に対して真の問題は何だろう?と考える習慣がありました。

なので、祖母が四六時中ベッドに寝た状態で電気を点けたり消したりする行為に対し、その策として、母が「電気の紐を短くして届かなくする」という解決手段に疑問をもちました。

そうすることによって、何か「大きな精神的ストレスが生じるかもしれない。」という恐れがあったのです。また、そのことによって、「別の症状が出るかもしれないし、精神が不安定になるかもしれない。」と思い、すぐには賛成できませんでした。

母は、食事のために祖母がベッドを離れた時に実行。
結果、祖母は「電気の紐が短くて届かない。お父さん(私の父のこと)に長くしてって言っといて。」と私に言ってきました。
当時の祖母は昼と夜の区別がつかない、寝る時間が乱れてきている、常同行動をする、程度の認知症の症状があるくらいで、会話もまともにできましたし、一人で身の回りのこともある程度はできていました。
ですから、「電気の紐が短いと電気を点けたり消したりすることができない。」→「紐を長くしてくれる人=父に依頼する必要がある。」という判断ができたわけです。

私は「なぜテレビや電気を点けたり消したりするのか。」という行動について考えてわけですが、どうやら祖母は、テレビも電気も点けたいという気持ちがあり、テレビや電気を点けるものの、実際に点いてる状態なのかが分からなくなっていて、「点けたり消したり」する行為を繰り返していたように思います。
きっと、テレビを大音量にしたのも、テレビが点いているか分からなくなり、音を大きくすることによってテレビが点いているかを認識したかったのでしょう。(不思議なことに聴力からもテレビが点いてるかの認識ができなくなっていたようでした。)

まだまだ認知症の初期ですが、本人にとっても、かなりのストレスがかかっていたと思います。
「昼と夜が分からない」ということが分かる。
電気もテレビもついてるか消えてるか、が分からない。

脳が機能していれば、分からない場合は「聞く」という行動に移ります。
なので、昼と夜が分からないので、「いま朝?いま夜?」などと毎日聞いてくるようになりました。本人が何か行動することによって判断できる材料がなかったので、質問することによって答えを手に入れようとしたのでしょう。

ところが、テレビや電気は点けたり消したりするにはこれをすればいい、という記憶が残っており、なぜか脳の異なった働きによって、人に聞くという行動が省かれ、その結果、繰り返す という行動に至ったようにみえました。
ただ、本人には何十回、何百回も繰り返しているという認識はなかったように思います。
一瞬、一瞬「分からない」→「試す」→「分からない」→「試す」という、条件反射にも似たような状態に置かれていたように思います。

つづく。



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