認知症の始まりと家族が気づいたのは祖母の常同行動だった #1
祖母は100歳になるまで、とても元気でした。
とあるリゾートホテルのレストランを貸し切りにして、100歳の百寿のお祝いをした時は、足腰が弱っていたもののとても元気で椅子に2時間余り座って食事をしながら、妹、子供、孫、ひ孫たちと歓談をしたり写真を撮ったりもできていたのが良い思い出として残っています。
その時にはそこにいた誰もが、その後に祖母が認知症になるなんて想像できなかったに違いない。
もちろん私もそのまま元気に長生きしてくれると思っていて、疑う余地さえなかったのです。
なのに、突然まさかのその時はやってきました…。
ある日の早朝4時頃に、家の中に大音量のテレビの音が鳴り響き、隣の部屋にいた私は、何事かと思って飛び起きました!
なぜか、大音量にもかかわらず、ボリュームが落ちることはなく、まるでクラブにいるかのような騒音が数分間、家中に響き渡っていました。
高齢で聴力が落ちているとはいえ、補聴器が必要な状況ではなかったのにです。私は慌てて隣の部屋に行き、「音が大きいよ!」と言って、テレビのボリュームを下げました。
そこから、私たち家族の「闘争」そして「逃走」の日々が始まったのでした。
テレビのボリュームを下げた後、少ししたらまた大音量になる。
さらにテレビをつけたり、消したりする。
あまりにも唐突なことで、一体何が起きてるのかわからずに早朝だったこともあり、私は「まだ朝早いんだからテレビ消して!」とイラっとしながらテレビのリモコンを取り上げて消してしまいました。
その次の日も、またその翌日も同じ…。
早朝4時頃になると、大音量でテレビをつける。
「音が大きすぎるよ!」と言っても「うるさいよ!」と言っても、理解ができない様子。これまでそんな大きい音でテレビを見ていたことなんてない。
私が起きてボリュームを下げるとまた祖母はボリュームをあげる。
そして、テレビをつけたり消したりの繰り返し…。
私は何が起きてるかわからなかったものの、「認知症」には結びついていませんでした。とにかく、「異常な行動をやめてほしい。」という思いだけがありました。
けれども、しばらくすると別の異常と思える行動が始まりました。
それは、「電気を点けたり消したり」を繰り返すこと。
祖母の部屋の電気は、ベッドに寝た状態で電気を点けたり消したりできるように電気の紐を伸ばしていたのですが、その紐を引っ張って永遠とも思えるほど「点けたり消したり」を繰り返すのです。昼でも夜でも。
「パチ」「パチ」というような音が鳴り続ける日々。
間もなくして、昼も夜も区別がつかなくなった祖母。
そこでようやく私は「認知症」を疑ったのです。
私は隣の部屋で生活していたので、睡眠不足となりイライラする日々でした。しかも、急に意思疎通ができなくなってしまったのだからツラかったです。(そのツラさはほんの序の口ですが…)
「音がうるさいよ。」と言ってもなんのことか分かってもらえない。
不思議なもので、聴覚にも異常が起こっていたのでしょう。音が大きくても本人はうるさいと思えないのですから。
そして、「テレビを点けたり消したり」することも「電気を点けたり消したり」することも、いっこうに辞めてくれる気配はありません。
本人も無意識にやり続けている感じで、見ているだけで心が締めつけられました。
「どうやめさせるか?」
とにかく、悩む日々でした。
まずはネットで検索。
常同行動について書かれている記事をみつけても、テレビや電気を点けたり消したりという行動の方について書かれた記事は少なかったので、どうしてよいか分からず途方にくれました。
続く…