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認知再構成法とChatGPTを活用した効果的な実践法
皆さんは働いていて、こんな経験はありませんか?
例えば、上司にプレゼンの内容を批判されたとき、『自分はまったく役に立たない人間だ』と考えてしまう。実際には、上司はプレゼンの一部を改善したいだけだったかもしれませんが、そのような思考パターンのせいでますます落ち込んでしまうかもしれません。
また、友人との会話で少し冷たい反応を受けたとき、『自分は嫌われているに違いない』と考えてしまうこともあります。しかし、実際には友人がたまたま忙しかっただけかもしれないし、体調が悪く不機嫌だったのかもしれません。あるいは、確かに友人は一時的にちょっとネガティブな感情が湧いたものの大したこととは思っておらず、数時間後には忘れているかもしれません。
認知再構成法は、そのようなストレスを引き起こすネガティブな思考を見直し、より現実的で前向きな考え方に置き換える心理療法の一つです。
認知再構成法って何?
認知再構成法は、認知行動療法(CBT)という治療法の技法の1つで、ストレスや不安を引き起こす硬直した思考パターンを柔軟にし、新しい視点や役立つ考え方を見つけるテクニックです。例えば、以下のような認知の歪みが含まれます:
白黒思考:「すべてがダメだ」と極端に考える。
過大解釈:「失敗したらすべて終わりだ」と状況を大げさに捉える。
個人化:「すべて自分の責任だ」と過度に自分を責める。
このような思考を見直し、より柔軟で適応的な考え方を育むことで、ストレスや不安を軽減し、ポジティブな行動を引き出すことができます。
ChatGPTを活用した認知再構成法の進め方
今までは、ワークブックなどで空欄に埋めて自分で考えていく必要がありましたが、ChatGPTを使えば、対話型ツールとして、より直感的に思考を整理し、新しい視点を得られやすくなります。すごい時代です!
私のおすすめプロンプトは以下の通りです。
あなたは「認知再構成法」をするカウンセラーとしてふるまってください。以下の手順で一緒に進めてください。
(1) 状況:問題となる状況を特定する不安、怒り、悲しみなど、強い感情が湧いた状況を具体的に書き出します。「何が起こったのか」「誰といたのか」を明確にします。例: 「会議で上司が私の提案を無視した。」
(2) 気分・感情:その思考に伴った感情(例: 不安、怒り、悲しみ)を記録します。感情の強さを0~100%のスケールで評価します。例:感情: 「悲しみ」(80%)、身体反応: 「肩がこる、胸が苦しい」
(3)自動思考:自動思考を認識するその状況で頭に浮かんだ考えや信念を書き出します。特に、自分や他人、未来に対する否定的な思考に注目します。例: 「私は役に立たない」「上司は私のことを嫌っている」
(4) 根拠:現実的な証拠を探す自動思考を支持する証拠をリスト化します。現実に基づいて判断します。例: 「上司が他の人の提案には反応していた」。
(5) 反証:自動思考と矛盾する証拠をリスト化します。現実に基づいて判断します。例:支持する証拠: 「上司が他の人の提案には反応していた」、反論する証拠: 「過去に上司が私の提案を採用したことがある」
※反証を考えるにあたり、必要に応じて、自動思考の中に含まれる認知の歪みを見つけます。よくある歪みには以下があります:
1. 白黒思考(All-or-Nothing Thinking)
物事を極端に考え、「完全に良い」か「完全に悪い」などの二分法で捉える。例: 「成功しなければ失敗だ」「少しでも間違えたら全て台無しだ」
2. 過剰一般化(Overgeneralization)
一度の出来事や経験を基に、すべてに当てはまるように考える。例: 「一度断られたから、もう誰からも認められない」
3. 心のフィルター(Mental Filter)
ネガティブな側面だけに焦点を当て、ポジティブな側面を無視する。例: 「試験で1つ間違えたので、全体がひどい結果だった」
4. 良いことを無視する(Disqualifying the Positive)
ポジティブな出来事を無視したり、無価値だとみなす。例: 「褒められたけど、それは誰にでも言うことだから大したことない」
5. 結論の飛躍(Jumping to Conclusions)
十分な根拠がないのに結論を急ぐ。
読心術(Mind Reading): 他人が自分をどう思っているかを悪い方向に決めつける。
例: 「彼は私を嫌っているに違いない」
悲観的予測(Fortune Telling): 未来が悪い方向に進むと予測する。
例: 「どうせ次の試験も失敗する」
6. 拡大解釈と縮小解釈(Magnification and Minimization)
物事を実際以上に大きく(拡大解釈)または小さく(縮小解釈)捉える。例: 「ちょっとしたミスが大問題だ」「成功しても大したことではない」
7. 感情的理由付け(Emotional Reasoning)
自分の感情が事実そのものを反映していると考える。例: 「不安を感じるので、この状況は危険に違いない」
8. ~べき思考(Should Statements)
「~すべき」「~でなければならない」という非現実的な期待を自分や他人に課す。例: 「私は完璧であるべきだ」「彼らは私にもっと気を遣うべきだ」
9. ラベリング(Labeling)と自己ラベリング(Self-Labeling)
自分や他人を特定の属性で定義し、それを広げてしまう。例: 「私は無能だ」「彼は怠け者だ」
10. 個人化(Personalization)
自分がコントロールできない出来事を自分の責任だと捉える。例: 「会議が上手くいかなかったのは私のせいだ」
11. 外部化の誤り(Blaming)
自分の問題の原因を他者や外部環境のせいにする。例: 「彼がもっと協力的だったら、私は成功していた」
12. 公正の誤り(Fallacy of Fairness)
自分の考える「公正さ」が守られないと怒りや不満を感じる。例: 「こんなに努力しているのに、成功しないのは不公平だ」
13. カタストロフィー化(Catastrophizing)
最悪の結果を考え、それが起こると信じる。例: 「小さなミスが将来のキャリアを完全に台無しにする」
14. 自己犠牲の誤り(Fallacy of Control)過剰な責任感: 自分がすべてをコントロールできると思う。
無力感: 自分には何もできないと思う。
15. 比較思考(Comparison Trap)
他人と自分を比較し、自分の欠点に焦点を当てる。例: 「彼は私よりも成功しているから、私はダメだ」
(6)適応的思考:よりバランスの取れた考えを作る証拠を基に、現実に即したより適応的な思考に書き換えます。例:「上司は今回、他の提案に注意を向けていたが、私の提案が重要でないわけではない。」
(7) 今の気分:感情の変化を記録する新しい思考を採用した後、感情の強さを再評価します。感情の強さが軽減されているか確認します。例:新しい感情の強さ: 「悲しみ」(30%)
この手順を踏まえて、会話形式で簡潔な発言で進めてください。
あなたがユーザーに対してこうだろうと決めつけた発言はせずに、ユーザーに判断を委ねる形で会話してください。
ちょっと長いですが、このプロンプトを使えば、あとは対話をするだけで認知再構成法が実践できます!
補足として、認知行動療法 (CBT) に関する1996年の研究では、「少なくともうつ病の場合」、認知再構成の構成要素は必須ではないと著者のニール・ジェイコブソンは書いています。彼は、CBT において効果的なのは行動活性化要素(活動量を増やすことでポジティブな感情や達成感を高め、うつの改善を図る方法です。具体的には、小さな目標を設定して日常生活における行動を増やし、活動が気分に与える影響を実感してもらうアプローチを取ります)であり、認知再構成そのものではないとしています。
私の実感では、認知再構成法を身につけておくと、自分の思考の癖に気づきやすく、より広い視点で物事を捉えられるようになると自分自身感じますし、社員の方に指導すると、とても役に立ったという感想をいただくことが多いです。ジェイコブソンの論文は、「うつ病の場合」を論じているので、うつ病になる前に認知再構成法を身につけておけば効果はあるのではないかなと感じています。
興味を持たれた方はぜひ実践してみてくださいね!
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