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【介護エッセイ】食事について② ~好きなものを思いきり食べることの是非~
これまで家族のなかでも最も健康だった母は、4年前に間質性肺炎という難病を患い、2022年6月より在宅酸素療法(鼻にチューブ入れて常時酸素を吸っている状態)を行うようになった。
その後、2023年の1月、突然自分でトイレに行けなくなり、あれよあれよという間に私と父の介護生活が始まった。
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母親がケーキが好きなことは、【介護エッセイ】食事について① 〜母、ショートケーキからの復活劇〜で、書かせていただいた。
ショートケーキからの復活劇後、徐々に、朝食、昼ごはん、おやつ(ショートケーキ)、晩ごはんと少量ずつではあるが、食事が摂れるようになってきた母。
特に好きなものは、イチゴ、ねじりパン、お菓子(何かと甘いものが多い)。時々「お腹がすいた。固形物(だいたいねじりパンを指している)をください」と隣の部屋にいる父親の携帯に、電話をかけてくるまでに元気になった。
今は何よりも、ケーキを好んでいる母。ふと「若い頃は健康診断の検査結果を気にしていたけれど(中性脂肪が常に高かった)、あんなもん気にせんでもよかったんやな・・・」と、真剣にこぼすのを聞いた。
こういう言葉を聞くと、好きなものVS身体に良い物論争が私のなかでいつも始まる。
食事が摂れないとなると、多くの人(特に介護を経験した人)は、栄養価の高いゼリーや飲み物、○○入りの健康に良い食品などを勧めてくる。だが、申し訳ないが一様に「薬臭」かったり、「なんか味が変」だったりすることが多い。そして、そういった食品に対しては母曰く「お腹が通る(下痢するの意)」と、かたくなに食べないのである。
私は「身体にいいんだから食べないとダメだよ!」とは言えない(だよね美味しくないもんねと思ってしまうから)。体に良くない(とされている)けれど美味しいと思うもの、身体に良いと(されている)けれど美味しくないもの、いったいどちらが本当に身体(精神も含めた)、にいいんだろうかと思うからである。
薬臭い食べ物を平気で勧めてくるということは、きっとその人は「身体にいい」という理由で「薬臭い」食べ物でも頑張って食べちゃう人なんだなと思う。でもそれって頭で食べているよね、身体が欲しているものとは違うよね、と思うが、無理してでも食べる人はかなり多いように感じる。
食べるって、何なんだろう。
ただ栄養を取るだけの行為ではないはず。母親を見ていると「ケーキだよ」と言うと、しんどそうにしていてもすぐに起き上がる。息が多少苦しくても、ニコニコ食べる。自分が食べたいと思うものを食べられる楽しみ。暴飲暴食はいけないけれど、好きなものを食べるという行為自体が、エネルギー源になっているんじゃないのかなと、母を見ていて思う今日この頃である。
ちなみに、父に上記の質問をしてみたら、回答は、
「わしは、食べれるもんなら何でも食べる」
だった。
恐れ入りました。
戦後の食べる物のない貧しい時代を過ごしてきた父。そうか、ベースが違えば、考え方も異なるよねと妙に納得したのである。
答えは、出ない。
※この記事は、2023年2月から約半年間、父と実家で母の介護をした時に書き溜めたものを加筆修正したものです。