#どうぶつのおはなし
作:渡辺茂男・絵:太田大八『どうぶつたちのおかいもの』
こどものとも、1976年の5月号。
祖父母の家の本棚にあった、おきにいり。
タイトルの通り、どうぶつたちがおかいものをする。
それぞれのお店の店構えが、なんとも言えずわたし好みだ。
かみやさんも、おせんべいやさんも、はなやさんも、すてき。
ぱんやさんのショーウィンドウには「純フランス菓子」と書いてある。
くまはそこで、おおきなケーキを買う。
どうぶつたちとお店のひとの会話も、ここちいい。
「こちらは、 ほうそうが おききになれるだけでなく、
おすきな ばんぐみや、ごじぶんの こえを ろくおん できる
さいしんがたでございます。はい」
これは、でんきやさんの台詞。
はい。この相槌がお店の人っぽくて、いい。
「それに しましょう」そうこたえて、ぞうはラジオを買った。
おかいものをした日の夜は、外国の動物園に引っ越すカモシカ一家のお別れパーティー。ここでもう一度、どうぶつたちのおかいものを振り返る。
ネクタイに、帽子に、よだれかけ。千代紙やおせんべい、ラジオにカメラ、クシとブラシと乗り物酔いの薬まで。ぜんぶ、カモシカのお父さんとお母さんと赤ちゃんを、そして彼らの長旅とこれからの生活を想ったプレゼント。
お別れパーティーで、おおきなまるいテーブルを囲むどうぶつたちの表情をみてほしい。みんなそれぞれに、うれしそうで、どこか誇らしげな顔をしているから。
・・・・・
今日は5月4日。
オードリー・ヘップバーンの誕生日。
祖父をはじめ、今日が誕生日という友人知人が、数人いる。
そんな友人の一人は、オードリー・ヘップバーンが好きなお洒落さん。きっと彼女のウエディングドレスは、オードリーのドレスにそっくりのはずだ。いっしょにどろんこになって遊んでいた友人だけど、『ティファニーで朝食を』を読んでいても、観ていても、彼女のことをおもいだしてしまう。
彼女とは小学校低学年のときの同級生。家が近かったこともあり、放課後もよく遊んでいた。そして、いっしょにいろんないたずらもした。
わたしたちがした、いたずらのひとつ。
彼女の家に遊びにいったある日のこと。わたしたちはなにを思ったのか、絵本を積み上げた。そして、その上に立ってみる。安定がよいはずはなくて、絵本はずるずると崩れていった。崩れかかった絵本の山に、滑りながらも登ろうとするのがたのしくて、大はしゃぎした記憶がある。
そうしているうちに、彼女のお母さんに見つかった。
絵本は踏むものではありません。そうひとこと叱られて、その遊びはおしまい。
いけないと知っているのに、叱られると知っているのに、やってみる。
それが、いたずらの醍醐味かもしれない。
絵本をめぐる、思い出のひとつ。
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