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妊娠を祝ってほしかっただけなのに

離婚を経験しただけでも母の知らない体験をしたのだと不思議な気持ちがしたのに、
私はまた母の経験していない出来事にスタンプを押すことになった。

お腹に赤ちゃんを授かったのだ。

そしてこれをきっかけに、思っていたより早く彼と再婚することになった。
授かり婚…という所にスタンプを押したのだ。

順序が違うとはいえ、赤ちゃんを授かったことは素直に嬉しかった。
私はもう34歳だし、結婚はしていないし、もう子供は難しいかもしれないなんて諦めかけていたから。

もちろん、うちの母は最初は動揺して祝ってくれなかった。
私や彼に対して怒ってもいた。
でも、今は楽しみにしてくれているし、見守ってくれている。

父親にも今日話した。
ついでに先日出版された私の描いた絵本も渡してみた。それは母からの助言だ。
嫌いだけど、一応そこはちゃんとした方がいいと思うので、必要な情報はきちんと話をした。
嫌いなのに、少しだけ喜んでくれることを期待して。

まあ、私が望んでいた反応は返ってこなかったけれど。
今回も私は父のステータスを上げるための存在でしかないことが確認できてしまった。
父は絵本の出版にしか興味を示さなかった。
その後、出かけたついでにケーキを買って帰ってきたが、それはきっと出版祝の意味を込めたものだった。
つわりが始まってあんまり食べたくないものが存在することや、お酒を使ったものであることなど、何も考えずに買ってきたようだった。

母が妊娠していたとき、きっとこの人は何も感知していなかったのだろうなと察した。
私が生まれた時も、兄が生まれた時も、父はそばにいなかったらしい。
あぁ、その頃から私たちに本当の意味での興味や愛情なんて存在しなかったんだなと寂しくなった。
母はどんな気持ちでここまでの年月を過ごしてきたのだろう。

やはりいつも私のメンタルを崩してくるのは父のようだ。
私はたぶんずっと父を受け入れられないと思う。

明日、書店に並ぶ私の絵本を探しに行くそうだ。
私もまだ見に行っていないのに。
そして、それは私への愛情ではない。私が作品を描き上げたことを喜んでくれているわけではない。
自分の娘の本が書店に並んでいる…それがただ父の自尊心を満たすからに過ぎない。
私のものは父のものなのだろうと思う。
すごくしんどい。不快。安定していた心が乱れる。

でも、そんな心の不調もきっとお腹の赤ちゃんに伝わってしまうかもしれない。
だから、私は大人にならなければ。
許さないけれど、耐え抜かねばと思う。

もうすぐ引っ越しだし、それまでの辛抱。

私は両親にどんな反応を求めていたのだろう。

母に関しては、まずは驚かせて心配かけてしまうことになるだろうと思っていた。だから、すぐには喜んでもらえないかもしれないことは覚悟していた。
でも、やっぱり最終的には祝福してほしかったのだ。
そして、それはちゃんと叶った。
本当に母には感謝している。愛情を感じる。

祝ってほしかったのは、許せなくても父に対してだって同じだ。
最終的には祝福してほしかった。
絵本ではなく、赤ちゃんができたことの方を。

上手くはいかないものだ。

私は、お腹の赤ちゃんが産まれたら、ちゃんと愛情が伝わるようにしたい。

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