板東敏雄(1895〜1973)という徳島県出身の洋画家がいます。今日、この画家の名前を知っている日本の美術ファンは殆どいないのではないかと思われます。何故かと言うと、若くして渡仏し、そのまま現地の女性と結婚して二度と帰国することが無かったためです。ただ、フランスでは一定の知名度があるようで、ウィキペディアの項目が存在します。まず、出身地の徳島県立近代美術館の公式サイトにある板東敏雄のプロフィールを引用致します。
次に、『毎日新聞』1996年11月2日「四国のびじゅつかん64」に掲載された板東敏雄《ヴァイオリンを持つ婦人像(仮称)》に関する江川佳秀氏(徳島県立近代美術館学芸員)の文章を引用致します。
私が板東敏雄を知ったきっかけは、栃木県立美術館の企画展「ゆく河の流れ ―美術と旅と物語―」(2012年10月27日〜2012年12月24日)にこの画家の《風景》(栃木県立美術館、制作年不詳)という作品が出品されたことです。
この作品を見て「良い絵を描く画家だ」と思い、気になってグーグル検索したのですが、当時は後述する板東敏雄の公式サイトが存在しなかったので殆ど情報を得られませんでした。
その後、板東敏雄の未亡人からカタログ・レゾネの制作を託されたJACQUES BOUTERSKYという画商の手による公式サイトが制作され、その日本語版も存在し、それにより、この画家の詳細を知ることができるようになりました。
その中より「アーティスト紹介」と題された項目の文章を引用致します。
次に、板東敏雄の公式サイトに掲載されている作品を数点紹介致します。
これらの作品を見ると相当に才能のある画家であることが分かりますが、残された作品の大半がフランスにあることもあって日本での回顧展の開催はおそらく無理なのでしょう。一応、徳島県立近代美術館に板東敏雄の回顧展の開催の可能性があるかを尋ねましたが、「板東敏雄は徳島市の出身であり、徳島出身の作家の中でも特筆すべき足跡を残した作家であることから、本館では開館直後からパリの御遺族と連絡をとり、調査を継続しております。」という回答が返ってくるのみでした。
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