梨木香歩さんの「ピスタチオ」を読んで
犬、鳥、風、雨
日本、アフリカ
水、蛇、木、呪術、死、物語
様々なことが絡み合って、重なり合って、
生命の根源の物語が流れ始める
そんなお話だなぁと思った。
生命は生まれて、死んでいくもの。
私は今生きているけど、死んでいくその途中。
じゃあ意味が無いのかといえばそうではなくて
だからこそ意味がある。
生まれては死んでいく、
だからこそ生命というものは巡ってゆく、紡がれてゆく。
私が今生きている意味は
私が生きて築いている私の物語を
世界の物語の中に巡らせてゆく、紡がせていくため、、。
水が大地にささやかにひっそりと染み込み、
新たな生命の可能性を生み出す力を秘めるように、
私の物語が、
私が生きているか死んでいるかに関わらず、
世界の物語としてささやかにひっそりと
巡っていき、紡がれていき、染み込んでいく。
だとしたら、
世界の物語に加えられていく私の物語は
良いものであって欲しい。
私の物語が世界の物語のひとつとして巡っていく時、
そこにひとつ希望が加わるようであって欲しい。
そんな思いが
潜在的にも本能的にも
私の中にあることに
気付かされた本であった。
“私”が
生命の循環の歯車のひとつであるのなら、
私の生命は自然になじむものでありたい、と思う。