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『ドラッカーに学ぶ人間学』佐藤等著(致知出版社2022年) -その①-

この著書は、月刊誌『致知』に2019年12月から開始された連載「仕事と人生に生かすドラッカーに学ぶ人間学の教え」に加筆・修正されたものです。
 各章に収められた一つひとつのパートは独立しており、目次を見てピンときたものをどこから読んでも大丈夫。

 ドラッカー初心者の私には、どういう場面でドラッカーのどの著作を読めばよいのかが地図のように展開されていて、とても有難い。
 そして、一読すると難しいドラッカー教授の言葉が佐藤先生の解釈で語るように書かれており、耳から聴いているような心地良さがあります。

 冒頭から、ドキッとする言葉が出てきます。

朝、「鏡の中に見たい自分はいるか」

まえがき P3

 「明日できることは今日しなーい」という甘い方針で生活している私はヒヤリとします。明日の朝、鏡の中に見たい自分でいるために今日できることはなんだろう? 立ち止まって考える契機になりました。

 どんな環境でどんな自分と向き合うか。外の世界を観るためには、精神的な環境=内面世界を整えておく必要がある、と佐藤先生は説かれます。

 そして、ドラッカーがマネジメントの礎とした「真摯さ」

「真摯さはごまかしがきかない。一緒に働けば、特に部下にはその者が真摯であるかどうかは数週間でわかる。部下たちは、無能、無知、頼りなさ、無作法などほとんどのことは許す。しかし真摯さの欠如だけは許さない。そして、そのような者を選ぶマネジメントを許さない」

ドラッカー『現代の経営』

 「真摯さ」の定義は難しい、とドラッカーはいいます。けれど、「真摯さ」の欠如は定義することができるとして、

  • 人の強みよりも弱みに目を向ける者

  • 何が正しいかより誰が正しいかに関心を持つ者

  • 自らの仕事に高い基準を設定しない者

  • 部下に脅威を感じる者

  • 実践家ではなく評論家

と、典型例を挙げて下さいます(P129-130)
 こちらもまたヒヤリ!
ついつい、上司や仲間の弱点が目についたり、後輩の成功に嫉妬したり、真摯さに欠ける自分の行動は、枚挙にいとまがないです!

「人格の錬磨なしに、マネジメントなしと覚悟させられます」(P3)

今、自分には「真摯さ」が欠けていないか、
明日の朝、真摯さをたもった自分を鏡の中に見るために、繰り返し読み返して、問いかけようと思います。

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