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大田区の製造業の未来について考えてみた【最終回】

いよいよ大田区シリーズも最終回にしようと思いますが、実際に大田区の町工場を見ながらこの街の未来を考えて見ました。

前回までの話はこちらからお願いします。

これまでに調べてきて分かった事は「大田区の町工場は確実に減り続けている」ということです。そして、行政などを中心に過去から多くの打ち手を講じてきたが、抜本的な解決策に結びつくものはまだ見つかっていない。

なんだか、休日の晴れた朝に工業地域のキレイな街並みを歩いていると、静かに、そしてゆっくりと産業の移りゆく様子がひしひしと五感から伝わってくるのがわかります。

かつて、農業や漁業が衰退していったのと同じような過程を経て工業も縮小を続けていくのは避けられない事実のようです。そもそも大田区を代表する産業である「金属加工」というものはゼロになることは無いとしても、確実に減少していくでしょう。

なぜならば、金属を削って排出物を出すという行為自体に多くの無駄があり、金属だけでなく大量のエネルギーも消費しているのです。そうなると自ずと、積層(いわゆる3Dプリンタ)だったり塑性加工というものに変化していくのです。

モノづくりは時代とともに、しかも結構速いスピードで変化しているのです。

さらに、力と力のぶつかり合いで「力学系」として加工していたものは光のエネルギーで変化させる「光学系」に置き換わっていく、すなわち金属加工のほとんどがレーザー加工に置き換わっていくと言っても過言でないかと思います。

そして、工場のカタチも大きく変わります。一日中キカイの前に立って腕一つで仕上げるような部品加工は大田区の坪300万円もするような場所では成り立たなくなります。自ずと付加価値の源泉はCAD/CAMによる設計工程に移り変わっていくでしょうから、従来のように図面通りに作る下請け的仕事から、顧客のイメージにプラスαの要素をつけてモノに転写する創造的な仕事になります。

恐らく、この10年ほどで大田区の製造業は半減する可能性は非常に高いと思いますが、このままの仕事のやり方で廃業するか、それともプラスαを提供できるのかが分かれ目となるでしょう。

ところで、モノに転写する際のプラスαとはなんでしょう?

これこそ、これまでの自社の長年の経験をベースに構築されるのが良いと思います。ミクロンオーダーの高精度や、表面処理、抗菌処理などでも良いと思います。しかし、それに加えてプロダクトデザインへの徹底的なこだわりが最終的な差別化に繋がります。

設計の裁量こそクリエイティビティを発揮すべき場であって、自社のアイデンティティをブランドイメージに転換すべきだと思います。

幸い大田区には、多くのマイスターがいて、東工大を軸にアカデミア、蒲田にクリエイターやブロダクトデザイナーの卵がいます。同じ志を共にするエコシステムを構築するにはピッタリの場所だと思います。

無理にスタートアップを巻き込んで難しい研究開発はやらなくてもいいと思います。オリジナリティの光る図面が描けるように徹底的に腕を磨けると良いですね。

最近スタートアップブームですが、というか無理くりブームを作っていますが、金余り大企業とそれを売り物にする不動産屋のビジネスに見えてしまいます。

そして、加工は光学系のキカイに転換していく必要があります。3Dプリンタやレーザー加工機、レーザー接合を始め表面処理、カラーリングなどあらゆる加工方法を光エネルギーに転換していくことが求められていきます。

しかし、光学系の機械は非常に高価なので光を共同利用出来るような工場、すなわちFablabを自治体中心に作っていけると良いかと思います。

これからの町工場は従来のような「一国一城の主人」ではありません。腕と知識を結集して一品一葉のプロダクトを生成するラボの一員になっていけるのが良いと思います。日本版のフランフォーファー研究所のように街の中心、そしてエコシステムの中心にFablabがあるべきかと思います。


夕暮れ時の多摩川緑地を歩いていると、多くの人たちが大粒の汗を流しながら黙々と走っています。まずは区内のこのような多くのスポーツや健康を志向する層と産業の未来について会話してみてはいかがでしょうか?

きっと、これからの大田区の製造業の未来が見えてくるのかもしれません。


今日も最後まで読んでくださってありがとうございました。

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