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「数学的思考」で取り組むがゆえの、小4の算数チャレンジ

今日もまた、息子は塾の算数クラスからなかなか出てこない。最近ずっとそうだ。授業は6時半でとっくに終わったはずなのに。

他の子供たちはどんどん出てきて三々五々帰っていく。10分経ち、15分経ち、さすがにちょっと心配になって塾に電話を入れると、「今まだ算数の教師と、分からないことがあるからと話をしています。」とのことだった。いつもすみません、こちらは構いませんでが、先生のご迷惑にならない範囲でよろしくお願いします、と伝える。30分経ってようやく小4の息子が出てきた。算数は得意だし、自分で宿題はあっという間に終わらせているし、しかも答えはあっている。「また何か先生に聞きたいことがあったの?」というと、消化不良な顔をして説明してくれる。「それで、納得したの?」と聞くと、首を横に振る。最近ずっとこの調子だ。それから塾のビルの前のベンチに座って、更に30分話を聞き、時間をかけて説明する。帰りのバスの中でも話を続け、やっと少しすっきりした顔をしてバスを降りてくれた。彼の最近の質問は例えばこうだ。

・仕事算の問題で、仕事中だけでなく仕事完了後に休憩するかどうかが問題に明確に書かれていない。それによって答えは変わってくる。
・2÷2/3は計算して答えを出すことは簡単だが、そもそも分数で割るとはどういうことなのか理解したい。
・3÷6.7も答えは出せるが、本来3の中に6.7はいくつあるかと言われても存在しないので、この式が何を意味するかを理解したい。
・40/5という仮分数を帯分数もしくは整数に直せと言われた場合、8になるのはわかるがなぜ7と8/8ではいけないのかを知りたい。
・円周や面積などの定義の再確認をしたい。
・0分の0は何かを知りたい。

日常生活に便利で必要なのが算数だとしたら、これらの質問は数学の概念の話だ。幸いなことに、彼の塾の算数の先生はとても良い方で、授業中に時間をかけて答えてあげられないからと、授業の後に説明してくれていた。けれども毎週消化不良な顔をして出てくるので、塾の先生に相談したところ、上記のような質問の一つ一つに、メールでまず丁寧な解説を書いてくれた。その上で、下記のようなアドバイスも頂いた。

「さて、ご質問の回答が一通り終わりましたがこうしてみると、定義に関するものもそうですが、計算の原理に関する質問も多いように思います。まずは「(なぜかは分からないけどとりあえず)計算できる」ようになってもらってから、その後、一部の数的感覚の鋭い生徒や好奇心旺盛な生徒にこういった原理を教えることが多いです。しかし息子さんの場合、その「とりあえず」が我慢できないのでしょう。ですから、順序を逆にして、こういった原理から教える方が有効かと思います。」塾の先生は、授業中ではカバーできないけれども、ちゃんと話を聞いて答えてあげたい。自分の言葉でノートに知りたいことを書いて提出してくれたら、宿題とは別にちゃんと説明してお返事するのでそれでやってみましょう、とオファーしてくださった。ありがたい話である。

先生が一つ一つメールで解答くださった内容を息子に伝え、これからも知りたいことは先生聞いてくださるって言っているよと伝えた。そして、何かこうして欲しいっていうリクエストはある?と尋ねてみた。すると少し考えて、「ちょっとChallengingな(難しい)文章問題が欲しいんだ。1つか2つでいいから。宿題とは別に、じっくり色々な解き方を考えたり、プレゼン方法を考えたり、言葉のDefinition(定義)を調べたりしてみたい。」

このことも相談すると、「次の金曜日から、任意の課題として、別にプリントをお配りすることにいたします。宿題のノートと一緒にご提出いただければ、そちらも私のほうで添削してお返しします。」とお返事をくださった。

息子が欲しいと思っている問題はいったいどこにあるんだろう。先生が下さるプリントだけでなく、良い教材があるのなら探して入手してあげたい。クラブハウスで知り合った算数・数学教育に詳しい先生にも相談した。(息子の質問にも答えてくれただけでなく、おすすめの書籍も紹介して頂いた。)。Amazonレビューを何時間も読みながら良さそうな問題集もオーダーしてみた。オンラインで入手できる問題を紹介してくださる方もいた。どんな教材に「面白い!」と言ってもらえるかは分からない。色々与えてみるしかない。お腹を空かせた雛においしい餌をあげたい。そして、”この数学的思考で算数を解こうとするがゆえに頭を悩ませ続けている息子”のための教材探しが始まり、とある大学生の男の子に行きつくのだが、この話はまた次回。