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詩 / 夏、突然に
久しぶりに太陽を浴びたので
身体はみるみるうちに溶けていった
セロトニンが剥き出しになって
わたしは陽射しにうっとり目を細める
乱暴な日光に晒された白磁のようになめらかな両腕
指先から手首、肘をめぐってひんやり脂肪の詰まった二の腕まで
てらてらと光る様を誰彼かまわず見せびらかして歩きたい
─梅雨が明けたらさぁ
ここ1ヵ月何百回何万回と繰り返した約束は
もうすでに果たされたような勘違いだけ残して
去年でも今年でも来年でも
死ぬ前に思い出せる夏があればそれでいい
汗が首筋を伝う
肌がちりちりと焦げはじめる
景色が鮮やかさをぐんぐん増している
嘘みたいだ
雨がやむなんて
嘘なのかな
夏が来るなんて
身体だったものをそのままにしていたら
生ぬるい風が真ん中をなでていくのがわかった
実感を伴って身体が季節に追いつく
内側からも外側からもつくり変わる
すごいスピード
すごい彩度
すごい
夏だ