あかるくてまるい

生活と表象の実験 / TOKYO / DESIGNER / 不器用でよくばりなので、絵を描いてことばを書いてデザインもします

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ご馳走サラダはいつも少しだけ私を大丈夫にする

少し前、家にいもうとが泊まりにきた時の話。 その晩は韓国チキンをUberしてジャンク祭りを催し面白おかしく過ごしたんだけど、さて翌日の朝、いもうとがおもむろに言う訳ですよ。 「野菜、食べたくない?」 そしてサーっと近所のドラッグストアでキューブチーズとナッツを買ってきて、家にある野菜をオリーブオイルと岩塩とであえて大皿にドカンとサラダを作ってくれたんだけど、これがまた美味しくて美味しくて。 普遍的な事実なのに、気がつくと忘れてしまう、野菜の美味しさ。 副菜のくせに(怒ら

    • 馬鹿は面倒くさがらない

      わたしは今朝目が覚めてから、今に至るまでのルートを5つ考えて全てを脳内でシュミレートし、さらには着る服と集合場所と時間、そこまでの逆算でできる家事を選択、よしそれで動こうと決めた頃にはすっかり疲れた。 重い身体を起こして、トイレ、洗顔、コンタクト。 牛乳はレンジで4分、やかんを火にかけて、パンはトースターへ、Tシャツばかりを洗濯機に突っ込んで、コーヒーのフィルターを折っているところで、 "ピピピピピッ" あぁ、タイマーで米を炊いていたんだった、と、気付く。 昨日後輩に

      • 迷子、池袋にて

        仕事で飲食に関わっていると、芝生の綺麗な公園の中につい先月できた小洒落たカフェの、まずいホットドッグとレモネードを飲みながら、採算とか客単価の事なんかを考えてしまう。土曜日の11:40、梅雨の合間の抜群に晴れた1日なのに、だ。 そのうち値段(が高い)と量(がやたら多い)の関係性だったりとか、あぁあるあるとしか言えない流行りの装飾で凝り固まった店内の、細かいディテールのツメの甘さにイライラしだしたりして。 そうこうしているうちに今日の目的だった芝居も見終わって、四人でフラフ

        • 短編小説 / 22時の肉じゃが

          夕方から少しばかり眠ろうと思って、しかし起きたら21時をまわったところだった。 3週間前であれば、よし、ここから22時までにはこの作業を終わらそうと、会社のパソコンに再びしゃんと姿勢を正して向かい直す時間。 (けれど大抵22時には終わらないし、わたし自身もそれを分かっていて、しかしあえての前向きな姿勢である) ただ休職中の今はする事もないので、冷蔵庫の中を見やり、ありあわせの材料で肉じゃがを作る事に決めた。 なんとなしにその事をあなたに伝えようか迷う。 要は、肉じゃが食べた

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          詩 / 1歳の君は-8月

          今日がもう終わろうかという深夜に 君がふぇぇと泣きながら起きたので 急いで駆けつけて手を握ったら すぅっとまた寝入ってしまった その時わたしは世界で一番寂しい生き物になった この完璧に安心しきったかわいい寝顔 遠くからわたしを見つけて駆け寄ってくれたこと、覚えているよ 癇癪を起こしても抱き上げて背中をさするとみせる落ち着いた表情 雨の日に前向き抱っこをしたら傘を一緒に握ってくれたね わたしが咳をすると目がなくなるくらい笑ってた わたしが見当たらないと顔をぐしゃぐしゃにして

          詩 / 1歳の君は-8月

          詩 / 夜明けのチョイス

          すらりと屈託なく伸びていく白い手足と ずっしりと肯定的な重みをたたえた胴体 蓋をするように安らかな顔 黒が点々と滲んでいく様に 気がついてね 探ってね 怖がらないでね よく見て とりあえず握りしめさえすれば良いから 宙のまにまにぐーぱーぐーぱー いつだって夜には置いていかれるのに 夢の端々では恐ろしいことしか思い出せない 掌を解いて 金平糖のような静けさは所詮嘘 彩りよく並んだ静けさは所詮嘘 とにかくわたしは喉が渇いていた 黒が滲んだところは いつも沈みかけていた 言葉が

          詩 / 夜明けのチョイス

          詩 / 1歳の君は-7月

          私が笑うと君は何度も何度も同じことを繰り返すので 私も何度も何度も初めてのリアクションでそれに応えて 何度も何度も繰り返し 何度も何度も笑っては あーこんなに楽しい退屈は生まれて初めての経験です 本当に完璧にできている なんて無駄だらけの完璧な作用 君が笑うともっと笑わせたくなる私と 私が笑うともっと笑わせたくなる君は 何度も何度も一緒だね 何度も何度も一緒だよ 本当に完璧にできている なんて無駄だらけの完璧な愛 なんて無駄だらけの完璧な私たち #詩 #ポエム #自

          詩 / 1歳の君は-7月

          詩 / 夏、突然に

          久しぶりに太陽を浴びたので 身体はみるみるうちに溶けていった セロトニンが剥き出しになって わたしは陽射しにうっとり目を細める 乱暴な日光に晒された白磁のようになめらかな両腕 指先から手首、肘をめぐってひんやり脂肪の詰まった二の腕まで てらてらと光る様を誰彼かまわず見せびらかして歩きたい ─梅雨が明けたらさぁ ここ1ヵ月何百回何万回と繰り返した約束は もうすでに果たされたような勘違いだけ残して 去年でも今年でも来年でも 死ぬ前に思い出せる夏があればそれでいい 汗が首筋を

          詩 / 夏、突然に