暦と季節のお話〜小暑 初候〈温風至(あつかぜいたる)〉
※熊本、広島、福岡近郊の大雨災害の被害に合われておられる方に心よりお見舞い申し上げます。
2020年7月7日 太陽黄経105度
二十四節気 第11 小暑
六月節(旧暦5月後半から6月前半)
七夕の節句
2020年7月7日〜11日
七十二候 第三十一候
温風至(あつかぜいたる)
小暑になると、いよいよ梅雨明けが近く、暑さが本格的になります。
(今日7月7日の蒸し暑さも、確かになかなかのものでした。)
『暦便覧』には「大暑来れる前なればなり」と記されています。
夏の風物詩、蝉が鳴き始める頃とも言われます。
とはいえ蝉も種類は色々。
市街でアブラゼミが鳴き始めると、いっきに夏!という感じがしてきますね。
●暑中見舞いの頃
小暑あるいは大暑から立秋までの間が暑中で、暑中見舞いはこの期間内に送ります。
暑中見舞いの時期については諸説ありますが、終了時期(残暑見舞いに変わる時期)については、立秋で共通しています。
開始時期については、
小暑、
夏土用、
梅雨明けを以てする
と諸説あります。
●小暑終わりは夏土用の入り口
小暑の終わりごろに夏の土用に入ります。
ですから7日から19日頃までは、現実的なお仕事、作業のチャンス。
夏土用の頃は暑さも本格的。
それまでに、土木関係の決めごとや作業、お庭の整え、大きな決めごとは終わらせておくと良いですね。(これらのことは、土用中はやめたほうが良いと言われています)
とはいえ、すでに夏は始まっていますから、無理せずにね。
なお、
小寒と互いに半年後・半年前の関係。
ちなみに大寒と大暑も同じ関係です。
●七夕の節句
そして7月7日の今日は、七夕の節句でもあります。
『たなばた』の由来
古来、旧暦の7月15日の夜に戻って来る祖先の霊に着せる衣服を機織して,
棚に置いておく習慣がありました。
棚に機で織った衣服を備えることから「棚機(たなばた)」というようになったそうです。
仏教が伝来すると、7月15日は仏教上の行事「盂蘭盆(盆)(うらぼん)」となり、棚機は盆の準備をする日ということになって7月7日に繰り上げられました。
これに中国から伝わった織女・牽牛の伝説が結び附けられました。
天の川を隔てた織姫(織女星、こと座のベガ)と彦星(牽牛星、わし座のアルタイル)が年に一度の再会を許される日と言われるロマンチックな日ですが、本州では大概、雨のことが多いようです。
見えなくても、思いを馳せると感慨深いですね。
●美しく生きる!この時期の養生
梅雨も終盤を迎え、蒸し暑さで夏の訪れを体感していくこの時期。
雨は降っていても気温が高く蒸していると熱中症にかかりやすくなりますから要注意。
今時期からしばらくは消化力が一番落ちる時期。
『暑いから』と冷えたものを摂り続けると、消化の炎を余計に弱らせてしまいます。
また、逆に、高温多湿の日はエアコンを強く効かせた→冷えて乾燥した部屋で長い時間過ごすことも考えられます。
出先や、一緒に居る方に合わせることも多々出てきます。
外気との気温差は心身に体感以上の疲労を残すことがよくあります。
エアコンでの冷却は、熱中症対策に大切なものですが、適温は個人や状況によって違います。丁寧にみていくなら、同じ方でもその日その時によって変わって当たり前ではないでしょうか。
一概に何度何パーセントならOKとは言い難いと感じます。
ですから、
『夏だから暑い』と思い込まず、自分が今、どんな環境にいて、どんな体感か、また、体感できているのか(思ったより冷えていた、脱水していたというのはよくあること)を常に認識し、対処を判断していくことがとても大切です。
これは、体調を整え、良いコンディションを作っていくコツのひとつとなります。
湯冷ましやお白湯、ハーブティーを冷ましたものも、体調やタイミングで取り入れて胃腸を労ると、むくみ防止につながりますよ。
常温水もミネラルソルトとフルーツエッセンスでさわやかで心身を養う水分補給、潤いドリンクになります。
また、ウリ科の野菜は汗で出ていってしまうカリウムを補充し、水分も補います。
食べやすいものが多いですが、冷性の食物なので時期や食べ方に注意と言われますね。
今時期から夏一杯は強い味方です。
(空調で身体が冷えたときは摂り方に工夫するか控えましょう)
キュウリ、スイカなど色々手頃になりますから、食事やおやつに、取り入れやすいですね。
すこしの工夫がより美を輝かせます。
ふだんの食べものも、消化に重くないものがおすすめです。
スタミナをつけようとして脂っこいものや、激辛激熱を多量に食べて、ビールも呑んじゃう!というコースは大概逆効果。
消化しやすいものをゆっくりよく噛んで、味わって頂きましょう。
お酒を呑みたい方は、食前に果実酒を少し頂くのも良いかも知れませんね。
旬の食材も多く、野菜も様々なものがでます。
かぼちゃも出始めますから、アーユルヴェーダの体質診断で、ヴァータと言われる風の質が増えている方には、甘味も補えるかぼちゃは良いかもしれません。
また、カファという水の質が増えている場合、甘味、とりわけ精白糖のような精製した甘味は控えたほうがバランスの回復は早いと言えます。
寝ても寝ても眠く、身体が絞っていないタオルのように重だるく感じたら、カファが増えているときの対策を取って、様子をみてみると良いでしょう。
トリファラのお茶を飲むのも良いかと思います。
五行で考えた場合、
湿度が高くて水滞、水の質が増えている場合、他の要素をサポートしてバランスを整える考え方もあります。
例えば
水氣が多すぎるので
木氣を増顛しバランスをとるなら、
ライム、レモン、梅、すももをちょっとした時間に取り入れたり、メニューにきゅうりを使った献立を入れてみたり、
多すぎる湿度で身中の水が動かない場合は、
かぼちゃで養生したり、温かい(ちょうどよく冷ましたもの)トウモロコシ茶やハト麦茶で流れをよくしてあげたり、
という工夫ができます。
今の自分の心身の状態をよく観じて、良さそうなものを無理のないタイミングで取り入れていくことは、健康づくりだけでなく、上質な美の体現にもつながりそうですよ。
2020年7月7日