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令和阿房列車論~その12'『実歴阿房列車先生』より(5')

はじめに

先回の令和阿房列車論で『実歴阿房列車先生』のお話をしめるつもりでした。

ところが、本書文庫版の解説を書かれたエッセイストの酒井順子さんのことを少し書いただけで終わってしまいました。そのため今回の令和阿房列車論は前回の続きということで、「'」とさせていただきました。

前回の記事は以下のリンクで読むことが出来ます。

で、酒井さんの書かれた『実歴阿房列車先生』の解説について私の感想を今回書いていこうと思います。

酒井さんの『阿房列車』論

この本は平山三郎さんの作品なので『阿房列車』の解説というよりも平山先生の解説のウエイトが多いのか?と思うとさにあらず、百閒先生の回顧のような解説も少なくありませんでした。

酒井さんにとっての『ヒマラヤ山系』のイメージは、百閒先生の弟子でもあり秘書でもある存在と例えるあたりは的を得ていると思いました。愛弟子だからこそ百閒先生の私財で平山先生を大学に行かせたのであろうし、秘書のようでもあったからこそ何度も百閒先生の旅行のお供ができたのでしょう。

あと、酒井さんが注目していたのは八代の『松濱軒』です。松濱軒は百閒先生が阿房列車で八代に行った際のほぼ常宿になっていた旅館で現在は国の名勝として公開されています。酒井さんは松濱軒に実際行かれたそうです。

最後に百閒先生の哲学とも言えることですが、東海道新幹線が着工された頃のある座談会で「スピードアップ」を憂慮する発言について、いまで言うリニアモーターカーに憂慮することは私も同感です。

目的地への所用で移動するのであれば新幹線や航空機のように瞬時に移動するのもありですが、百閒先生のように目的地がある訳でなく移動手段が目的であればゆったりと走る汽車がいいと私も思います。

#令和阿房列車論 #実歴阿房列車先生 #内田百閒
#平山三郎 #酒井順子

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