
なぜ僕らの校長先生の話は特級呪物と化すのか?
や、やばいやばい!
ちょっと聞いてくれ!
気づいちゃった…………、マジ、やばいよ?
あの……「校長先生の話」ってあるじゃん?
小学校とかであるやつ。全校集会とかで。
あの話ってさ……
クソほどつまらんじゃん??
ぶっちゃけ、地獄じゃん?正直なところさ。
いや、校長先生には申し訳ないよ?
オレだって、こんな悪口みたいなこと、わざわざ書きたくはないよ?
でも、真実じゃん?
あの時間は、かなり控えめに言っても「地獄」じゃん?
てゆーかもはや、呪物じゃん?呪物の域じゃん?
それも、ただの呪物じゃないね。
特級じゃん?あれは。
あれはもはや、特級の域に達してると思うよ。
「校長先生の話」は特級呪物。
ひとまずこの認識を共有したいわけ。
(「呪術廻戦」を知らない方には、なんのこっちゃでしょうが、ここはひとつ「特級呪物」=「人を殺せるレベルに呪われたブツ」とご理解ください)
まあオレは幸運にも、もう大人だからさ、全校集会とかはないんで、そんな呪物に遭遇することはないんだけど。
それでも、大人になって考えるわけ。
「なぜ校長先生の話は、あれほどまでにつまらなかったのだろう?」って。
「なにが悲しくて、特級呪物と化してしまったのだろう?」って。
一応さ、校長先生だって、頑張って「面白くしよう」とはしてたと思うんだよね。仕事だし。
そして、その努力は伝わってたよ、たしかに!
……でも、その結果はどうよ?
特級呪物でしょ?まちがいなく?
その証拠に、いきなり倒れる女子とかいたもんね?
呪いの効果、すでに出てんじゃん。即効性あるタイプじゃん。
しかもそれでも、「校長先生の話」は終わんねーの。
「ウソだろ……マジかよ?物理的に被害者出てんぞ?」って誰もが思う。
体育館が絶望に包まれる瞬間だよね。
はい、確定です。「特級」確定です。
でもさ、じゃあその原因ってなんだったんだろうね?
「校長先生の話」は、どうして特級呪物になっちゃったんだろうねえ?
校長先生に、そんなバケモノみたいな呪力があるとも思えないしさ。
一体なにが、あの時間を呪物と化したのか?
それは長年の謎だったんだけど……
分かったんだよ。
オレ、分かった。その原因が。
正確には、師匠から教わったんだけどね。
聞きたいっすか?
なぜ「校長先生の話」が特級呪物と化したのか?
その「呪力の源」はなんだったのか?
それはね……
「全校生徒に向けて話すから」
これなのよ。
うん、わかる。
ちょっと論が飛躍したからね。ブラウザバックしたくなる。
でも、そこをグッと堪えてみると、びっくりするんだわ。
これが「真実」なのよ。
そんでもって、とびきりヤバい「大発見」なのよ。
つまりね、それはこういうことなのよ。
呪いの源は、実は「校長先生」じゃなかったのよ。
呪いの源は、「全校生徒」の方だったのよ。
結論を急ぎすぎるのはよくないね。
順番に説明してみよう。
つまりさ、
なぜ「校長先生の話」は、特級呪物級につまらなかったのか?
これが今、オレたちが解こうとしてる謎だ。
で、オレはその「原因」が、「校長先生の側にある」と思ってたんだよ?
「校長先生がつまんねーから、その『話』が呪物化するんだ」って。
でも、これが違った。カン違いだった。
これだと「原因の半分しか捉えられてない!」ってことに気づいたんだよ。
どういうことか?
たしかに、「校長先生の出してくる話題がつまんない」ってのも、原因のひとつなんだ。
それは認める。
でも、それはあくまで「半分」にすぎない。
じゃあ、「もう半分」はどこにある?
ってことになる。
答えは一つしかない。
「全校生徒の側にある」
そう考えるしかない。
すると、謎が一気に紐解けてくる。
なぜ、呪力を持たない「校長先生」が、特級呪物となりえる「話」を展開できたのか?
答えは簡単。
「全校生徒」が、「呪いの源」だったからだ。
つまり、あの状況。
あの「全校集会」という場で、一体なにが行われていたのか?
あの「体育館」という空間で、行われていたのは何だったのか?
それは……
校長先生と全校生徒による、「特級呪物」の召喚
これなのよ。
てゆーかちょっと文字にしたら、想像以上にまがまがしい感じになって引いたわ、せめて太字やめろよ!
でも、そういうことなのよ。
つまり、「校長先生の話」が特級呪物になるのは、「校長先生」と「全校生徒」による共同作業だ!ってことが言いたいの。
ある意味での、「共犯関係」が成立してるってこと。
もっとオシャレに言えば、「コラボ」かな。
校長先生と全校生徒による、呪いのコラボレーション
うん、ちょっとマイルドになった。あぶねえあぶねえ。
つまり「コラボ」なのよ。
これが、あの「なんの変哲もない体育館」での、「フツーのおっさんである校長先生」の「ビミョーな話」が、「すさまじい呪力を帯びる」ヒミツなのよ。
ここから導き出せる結論は、ひとつ。
「全校生徒」という集団そのものに、「呪力」が宿る
これなんすわ。
で、このことをもう少し抽象度上げて理解すると、こういうことになる。
「人間が大人数集まって、ひとつの『集団』を形成すると、そこには呪力が生じる」
これっすね。俗に言う「同調圧力」ってやつ。
「同調圧力」ってのは、呪いですよ。
だって、それが気になって、流されちゃって、人の人生が変わっちゃったりするんだから。
誰だって経験あるじゃないっすか?
別に感動もしてないのに、周りにつられて拍手しちゃったり。
まったくツボに入ってないのに、周りに合わせて笑ってみたり。
それが「同調圧力」のなせる技ですよ。
あなたの意志とは、真逆の行動を見事に引き出してしまっている。
望まない方向へ、本人の意志とは無関係に、行動が変化していってしまう。
それは「呪い」ですよ。
人生を狂わす可能性を秘めています。
で、この呪いである「同調圧力」ってのは、人間が「集団」になると、ほとんどオートマチックに発生してしまうんですな。
これが、現代社会のリアルな「呪い」っす。
まあ、共同幻想ですよね。
みんなで見てるおっきな夢みたいなもんですよ。
「なんかキョロ目で周り気にしちゃう〜」とか。
「SNSの反応を四六時中気にしちゃう〜」とか。
街中で思春期の男女が自意識過剰になっちゃうのも、ぜんぶこれ。
「個人」が、「集団」に飲み込まれちゃってるんですわ。
でも中には、そんな「同調圧力」なんて全く気にしないタイプもいる。
そういう人は、「個体」として強いわけですね。
「集団」が自動的につくり出してしまうイヤ〜な空気感を、自然をはじき飛ばしてしまうある種の「生命力」がある人です。
こういう人は明るい。陽キャですね。虎杖タイプです。
こういう人は「呪い」に負けない。
でも、たいていの人はそこまでのタフネスが無いので、なんとな〜く「イヤ〜な空気」に飲まれて、キモい感じになります。
具体的には、「妙に疲れます」。
そして、「老けます」。
学校はもろにそんな空気感だろうし、「うちのオフィスもそう!」って人も多いんじゃないかな。
あとは、「電車の中」とか。
都会の電車も、かなり呪物ですよね〜。
田舎だったら、知り合いが多ければ和気あいあいとしてくるんだろうけど、都会の電車なんて殺伐としてますからね。
こういうところは、いるだけで体が重くなるし、老けますよ、人間。まじっす。
でも不思議なのは、別にそこに乗ってる人たちは、一人ひとりは「良い人が多い」と思うんですよ。
世の中に悪い人なんて、ごく一握りですから。
9割以上は、基本的に良い人ばっかりだと思うんですよ。
それなのに……
電車内には100%イヤ〜な空気が流れる
なんで!!???
って話ですよ。
それを言うなら、校長先生だって別に悪い人じゃないだろうし、生徒だってふつーの人間ですよね?
それなのに、体育館にはイヤ〜な空気が流れる。
なんで!??
シンプルな足し算で考えたら、異常じゃないっすか?
「フツーのいい人」=「1」として考えます。
1+1+1+1+1+1+1+……+1+1+1+1+1=マイナス27万(!!!!!!!)
みたいな!
どうしてこうなった!!!???
ぜったいプラスになる流れやったやん!!!!
と、ツッコミたくなるところです。
この謎を解くキーワードが「集団」なんです。
たとえ善良な人間ばかりが集まっても、「集団」になった途端、なぜか空気が重〜くイヤ〜なものに変わってしまう。
そして、その空気が「同調圧力」として集団に作用し、個人の行動を変化させてしまう。
これってふつーにあるあるじゃないですか。
ぼくらの生活に、ありふれている風景ですよね。
でも、それによって、人生の方向性が大きく狂わされることもある。
しかも、「知らず知らずのうちに」ですよ。
その最たる例が、
ホロコーストで600万人を虐殺したナチス政権下にあったドイツ国民の空気感
や
太平洋戦争に突入していく大日本帝国の国民の空気感
だとは、よく聞く話です。
まあでも、ぼくは戦争中の空気感はもちろん知らないし、一番誰でもわかる
「校長先生の話のつまんない感じ」か「都会の電車の重〜い感じ」
でイメージするのがいいと思うんですよ。
あれ?ウチら、「集団」になった途端、呪われてねえ?
って。
なんか領域展開はじまってない?って。
そしてこういうが、人類史上、あらゆる都市文明において、くり返されてきたのだとしたら?
はい、話は一気に壮大になります。
でも、ここが一番大事。
なんで戦争がなくならないのか?
歴史の教科書をひらいたら、みんな感じたと思うんですよ。
「ずっと戦争してるやん!!!」って。
世界史Bを開いたら、
「ポエニ戦争」とか「ペルシア戦争」とか「十字軍」とか、もうずっと戦争してる。
仲良くしろや!!!!
と、みんな思ったと思うんです。
暗記が大変だろ!!!!!
って。
「なんでこんなに戦争の名前ばっか覚えなあかんねん眠い」と思ってたでしょうみんな!
その謎を解くヒントが、「校長先生の話」にあったんですよ。
そういう、「集団」に対してオートで働いてしまう、「同調圧力」をつくり出すメカニズムが、僕らにあるのだとしたら?
集まってるのは「ふつーの人間」でも、それが「集団」になることで「呪い」に変わってしまい、人を無意識に動かしてしまえるのだとしたら?
人はそんな「呪い」に囲まれて、ずっと暮らしているのかもしれない。
ゆえに、なかなか「仲良く」できないのかもしれない。
それは情報化社会となった、現代でも変わらずに。
だから結論は……
校長先生は悪くなかった。
ごめん校長!!!あの頃はすげー悪者だと思って見てた!!!
なんで、結局カギを握るのは、
「人がたくさん集まっても、いい感じの空気感で、なかよくするにはどうすりゃええねん?」
ここに科学も哲学も芸術も集中投下して答えを出さないと、21世紀だろうとメタバースだろうと、マジで人類みんな保健室行きだと思います。
五條悟を救出せな。
つづくぅ!!