禁酒旅行記3
前作はここから
Day5 新たな作業はなにもない
朝ごはんからスタート
酢漬けした魚を揚げたものが出てきた。あんまり美味しくない……?というか変な感じ。魚なのに、油っぽい。
貧富の差が激しくて、その日の食事に困る子が街を歩いてるのを見るなかで、ご飯が食べられる幸せを感じるから、味が変でも、正直もう何も気にならないんだけど、それにしても、変な味で、うん?ってなった。もちろん完食。
すぐに労働へ向かう。
だんだん高くなってきて、コンクリートを入れるのも大変になってくる。
3日目ともなれば慣れた手つきでコンクリートを流し込める。手袋に染みるコンクリートが少し鬱陶しい。
コンクリートに触れると、浸透圧の問題か、指先がしわしわになる。軍手をしていても、ブロックの中にコンクリートを入れる作業ではつい軍手越しに触ってしまい、手まで沁みてしまった。セメントの粉塵も、なるべく吸わないようにマスクをして作業をしていたが、あまりの暑さにマスクを取ったりして吸ってしまったりした。
その一方で現地の大工さんたちは、軍手をあまりしていなかったり、そもそもサンダルで作業しているし、マスクなんてせずにセメントを混ぜるし、健康状態が心配になる作業着だった。
海外でこういう変なポーズ取ると、だいたい「Ninja?」て言われる。そうですと返す。
壁についてはもう慣れた作業の繰り返しだから、全然コメントとかない。大工のおじさんと仲良くなって「タタイ!(ぱぱ!)」って呼んで困った時に助けてもらってるくらい。
朝のスナックはパスタ。トマトソースに見えるけれどこれは、バナナケチャップのソース。
バナナしか使ってないのにトマト味という謎のケチャップがあるのだ。トマトは入っておらず、スパイスでバナナの甘味をトマトの甘みに変えているらしい。
日中は普通に34°くらいあるので、喝を入れて塩分を取りガブガブ水を飲む。水は信じられないくらい飲んでるんだけどトイレの頻度はいつもより少ないから、おそらく汗とかに消えてる。
そういうわけで、鉄筋を伸ばしブロックを重ねコンクリを流し込みまた鉄筋を……と繰り返して壁が完成した。
同じ作業を繰り返したのでほとんど写真もない。みんな疲れていたが頑張った。
全工程が終わり、昼休憩にとうもろこし。おいしい。
ショッピングフリーク
この後、疲労しすぎて酒が欲しくて仕方なくなりスーパーSMへと向かった。
もちろん禁酒ボランティアなので飲めないが、スーツケースに酒が入っているだけで精神状態は良くなる。
これが、多分一番シェア率の高いフィリピン人大好きなジン。ジネブラ サンミゲルと書いてある。内容の情報はこの表のラベルにしかない。ほとんど情報ゼロ。
帰国後に友人と飲んだが、普通のジンよりも爽やかでスッキリした味がする。度数はしっかりあるけれど飲みやすい。
そしてこのジン、現地ではジュースの粉でカクテルにして飲むらしい。
このTANGという粉末ジュースは、すごく安くで売っていた。ジン、魔法の粉TANG、そして氷でシェイクしてみることに。
めちゃやばい色のジュースできた。蛍光色。
味はファンキーだった。ジャンクなジュースの味っていうか。科学的な味。
でも甘くて飲みやすくなってて美味しい。
これが正解だろと思って、ウキウキお酒を飲み切った翌日、フィリピン人の友人から飲みからの動画が送られてきた。
あれ、ボトルごと色ついてる。
あのジュースの粉、それごとジンのボトルに入れるんだ……!
そんな発想なかったので衝撃を受ける。でもたしかに、このジンはすごく安くて何日にもわけで大事に飲むようなウイスキーではない。こうやって粉をボトルに入れて飲むのも理解できる。
次はそうしよう。って思ってたら
飲み口でライターの火をつけ
え、フランベ?????
なぜ?????
わたしがフィリピン酒飲みになる道のりはまだ遠いです。
(この後フィリピン人友人から正式な作り方の動画送られてきた。
どうやらシェイクは、瓶ごとするらしい。
若干面倒臭いのと、そこまで美味しくなさそうなので試してない。)
続いて、フィリピンといえばこのラム!というラム。甘いものが好きそうだから、フィリピン人はよくラムを飲みそう。(勝手なイメージ)
まだ飲んでないので、飲み次第何かを更新します。
ボランティアに参加するだけだから、と思ってファンデーションもリップも持っていかなかったのだけど、食事会などが終盤にあると気づいて急いで買いました。すごく安かった。ファンデとリップでなんと
安い。でもうっかり肌色ちょっと間違った。メイクが適当でも平気な、夜に出かける日に使おう。
続いて食べたアイス。フィリピンはとにかくウベ(紫芋)のデザートが多い。
このアイス、マジで微妙な味で、甘くなくて、これアイス?って感じだった。(たしか90円くらい)
味のコンセプトがわからなくて2回ほど食べてみたんだけどやっぱりよくわからなかった。
あとこのイかれた髪クリップ買った。即決だった。
つけてる姿を友達が撮ってくれた写真が、どこからみてもイカれてるからとりあえずみてほしい。
どう足掻いても変なクリップだけど、めちゃくちゃ髪の毛がまとまるので最高の買い物だった。
頭が悪そうだし、もう使うことはないかもしれないが大切な思い出の品だ。
何度食べても苦手、シニガンスープ
その後ホテルで夕飯。シニガンというフィリピンのトラディショナルなスープだ。
結構大胆に魚が入っている。泥っぽい感じの味の魚だった。多分あんまり魚を調理するのが得意じゃないのかもしれない。朝食の魚は酢漬けの上に揚げてたし。
このスープ、かなり酸っぱい。フィリピン料理は甘いものばかりだから驚いた。少し食べにくい味付けに感じた。酸っぱいナンプラーみたいなのが入っている?
スープに入っていた青唐辛子がアホほど辛くて食べたら喉も舌も痛くて痛くて、急いでマンゴーを食べて癒したのを覚えている。ヒーラー、マンゴー。
食後につまんだ写真の果物、名前が全く思い出せない。名前を知っていた人がいたのかも怪しい。
文旦の味がして美味しかったが、文旦を食べたことない人には伝わらない説明すぎてむずい。文旦美味しいので食べてください。
ここだけ読めばOK バロット挑戦
さて、今回の本編はここ。今までの話は前座です。
フィリピンの食文化は割と謎なんだけど、夜だけに現れる屋台がある。
この屋台で、狙いのものをゲット。
(実際にゲットしてきてくれたのは友人の独眼竜くん。独眼竜には「頼むから屋台の様子いっぱい撮ってきて!」と請い願ったら、いっぱい撮ってきてくれた。ありがとう)
これ、ただのたまごではない。アヒルの有精卵のたまごで、生まれて18日目のものである。
そう、中に孵った雛のいるタイプのたまごだ。中で雛が成形する途中で調理して、それを食べるというもの。フィリピンでは老若男女から愛されるソウルフードらしい。
百聞不如一見(「百聞は一見にしかず」が長いから四字熟語ないかなと思ったらこの「ひゃくぶんふにょいっけん」が出てきた)なので、早速写真で紹介する。グロテスクと感じる人もいるだろうから注意されたい。動物愛護の人は見ないで。命を食べるってこういうことだと感じる。
中に鳥がいるので、普通のゆで卵のように楽には食べられない。まず卵の上を割って中のスープを吸う。鶏のスープっぽい味がする、気がするけれど、どちらかというと生っぽい、くさみがある、鶏の生き汁みたいな味がする。
スープを吸って固形物飲みになったら殻を剥いていく。が、スープはところどころ膜に入ってたりして、ちゃんと吸い切れているか確認する必要があった。箸がないせいでちょっと不便だった。
そして殻がすごく硬い。殻の内側に毛細血管みたいなものが張り巡らされていて、それが殻の強度を増させている。
上の写真、たまごの左上の黄色い部分は黄身だ。黄身の味がする。残りの白身の部分が、ちょっと暴れているというか、ゾンビ化したみたいな見た目になってる。黄身はともかくこの白身は味にクセがあるので塩でいただいた。酢とかでも味が整う。
羽っぽいのが喉にくっつく感じがしたり、骨っぽいものをゴリゴリ噛んだりしなきゃいけないが、不味いわけではなく、けっこう通な味だ。
生臭い感じは否めないけれど、こう、焼酎とかに合うようなイメージ。晩酌でいただきたい味。これも夜にしか売っていないし、多分お酒と一緒に食べるものだろうな……。
ノリノリ食べていると、全然噛みきれないものに到達した。最初は頭蓋骨?と思ったが、頭蓋骨がここまで硬いと思えなくて、本当に謎だった。
食べれないから取り出すと変な形をしている。無理矢理少し噛んで食べたが味もしなくて、噛みごたえだけあるから飲み込みにくい。
タガログ語ではBato(石)と呼ばれているらしい。たしかに石のようだった。
調べたけど、卵白が固まったもの……と出てきてさらによくわからない。これは雛のどこに配置されるのかが知りたい。
こんな感じで、Day5は終了。
Day6 受け入れ先での最終日
壁がほとんど出来上がったので、翌日は植樹をすることに。
何日もボランティアしてきて、だんだん写真を撮るのが面倒くさくなっていき、あんまりもう作業写真がない。とにかく作った壁の隣に記念に植樹をした。
そう言えば私にまつわる記念樹、母が去年植えた「ギックリン」が最初で最後だ。
自分にまつわる記念樹が今まではギックリ腰を記念したものだけだったが、この度、壁を植えたことを記念した世界で二本目の私の記念樹が植った。なんか嬉しい。
植樹後に朝スナック休憩でココナッツをもらう。
ココナッツをいただくのは初めてだった。リゾート地に行ってるインスタグラマーしか飲まないと思ってたし。
上の方を物騒な武器で叩き割ってストローを刺す穴を作る。
こう見るとでかいおっぱいみたいに見えなくもない。
味は結構控えめで、正直いうとそこまでぐびぐび飲みたい味ではなかった。お酒っぽい感じもする。甘くはないので喉が渇かないから、南国で遭難した時にはありがたい味かもしれない。
先ほどの武器で今度は中身を割る。
するとこの白い断面を食べることができる。
ジュースも飲めるし固形も食べれてココナッツはすごく万能な果物だった。だがやはり断面も渋いっていうか他に言いようがない地味で控えめな味でバクバク食べたい感じではなかった。好きな人は好きそうだけど、爆売れしなそうな味。
そういえば、一緒にご飯も出てきた。
現地の人たちは手を使って食べることも多いみたい。若い人はちゃんとカトラリー使ってたけど、カメラマンのおじちゃんは、手で食べてた。
私もカレーを手で食べたことあるけれど、意外と最初は食べにくい。手で救ってもスプーンみたいに上手く口に入れれないし、掴むようにして食べると落ちるせいでなかなか十分な量を口に入れられない。あと熱い。指先が。
スナックの後にはまたワークに戻ったが、その頃にはもう靴もへとへとになっていた。
この靴はフィリピンにて捨てました。
ボランティア終了日の豪華ランチ
昼には、「日本からボランティアが来ただと!?」と駆けつけて市の職員が来てくれた。本当は市長が来るはずだったらしいがドタキャン。
ちなみにこの職員も市長と血縁らしくて、なんとなく腐敗を感じる。気のせいか。
もうこの頃にはフィリピンでの食事に慣れて味にも理解が深まってるから、バクバク食べておかわりもした。
最後に、現地のNPO団体(これまでNGOだと勘違いしていた。そもそもNGOとNPOの違いをそこまで理解してなかった)の方々とラップアップ。
どんな経験から何を感じたかを述べていく。予定終了時間を軽く1時間くらいすぎて正直少し眠かったのを覚えている。ここ数日肉体労働ばっかりしてたから久しぶりに座って話をしてて、そういうだるさがあった。
それにしても本当にボランティアとは名ばかりで、この受け入れ先NPO団体が何から何まで準備してくれていたところに、私たちがヘラヘラとやってきてちょっと仕上げをさせてもらい手柄をもらったみたいなボランティアだった。すごくイイ経験だったけれど、まあ確実にボランティアではない。てか今さっき確認したけど、この参加したプログラム自体がボランティアという名目ですらなかった。ワークキャンプっていう名前で、身体を動かしながら考えて学ぶというタイプのプログラムだった。確かにワークキャンプだった。
こうして受け入れ先NPOを後にした。ありがとうK爺。ありがとう他のスタッフさん達。
市の職員が私たちのスケジュールを聞いて「労働ばっかりで観光してないじゃん!」と気を利かせて、ドライバーに観光スポットに連れていくように手配してくれた。のでちょっと高い場所に登って景色を見た。
てかなんかフィリピンの空気悪すぎて、景色がモヤってる。観光地にはジョギングしている人とかいて、この人たちは普通の生活してる人だろうなと初めて感じることができた。現地の人からはデートスポット扱いをされているみたいでカレカノがいちゃついてるのもたくさん見かけた。
夕飯のホットドック……?
観光地レストランで夕飯をいただく。食前にドライバーが私にこれを奢ってくれた。
何やらお米でできた甘味「スーマン」らしい。
もち米をココナッツミルクで味付けしたものっぽい。ちまきにしか見えないが、甘い。包んでいるのはバナナの皮です。
めっっっっっっちゃおいしくて、その後自腹でもう一本買って食べた。15ペソで破格。これ毎日食べたい。てかココナッツは加工して食べるのが一番うまいな。
そして夕飯。手軽に早く出てくるようにとホットドック頼んだらこれが出てきた。
全然予想と違った。パンじゃないんだ。てか朝ごはんみたいな見た目だし、なんだこれ。
美味しかったが、これはホットドックていう名前で売るのはミスリーディングを促しすぎる。(ホットドックという言葉はソーセージ単体を意味することができるらしいが、それにしてもォ……)
今回は訪れることができなかったが、下町(?)の屋台は人が多くいて活気があった。メガモールとは大違い。
あと工事中の家を見たが、私たちが使ったものと同じセメントが家の外に積まれていた。私たちがしたことと同じことをここの人たちもするんだなと想像できて、誰かの仕事を経験させてもらった感が味わい深かった。
追い買い物
次の日が教会なので、「もう少し化粧品ほし〜な〜」と思って薬局に行く。Mercuryというドラッグストアで、すごく有名なチェーンっぽい。ツルハドラックみたいな感じか。
リップ買おうとしたら4人くらいの店員から「あなた韓国人?」「このリップは?」「こっちの方がマットよ」「イエスマム」と世話を焼かれて、リップを選ばれた。
で、このリップを買おうとして列に並んでたらレジ横に謎の四角いパッケージがいっぱいあって、謎すぎてよくよく見てみたらコンドームだったのでそれも買った。
まず、TRUSTって名前のコンドーム絶対穴あるだろ。胡散臭すぎる。最高だから買った。私には男性器がないので、お土産として。(後日、フィリピンのワークキャンプに仕事で参加できなかった友達にプレゼントして「お土産のレベル高校生かよ?」て喜ばれた)
性的なものは見えないとこで売ったり、コーナーが子供の目に入らないような辺鄙なところにあるかと思いきや、超オープンに売ってるのがツボだった。カトリック国のフィリピンは子どもをおろせない。だからTRUST避妊具が超大事だろうなと思った。てか貧困層でもめちゃくちゃ子ども多いのってそういうのに関係ありそうで調べるのが怖い。
そう言えば哲学者のアンスコムは過激なカトリックおだった(気がする)が、コンドームさえつけないポリシーだったような。
とにかく最終買い物も済んでホテルに戻った。
そういえば忙しく肉体労働してたせいで、ホテルにはプールがあったことを忘れてた。試しに見に行ってみると、イイ感じに人がいない。20時すぎてるからそりゃそうか。ちょっと遊ぶだけなら濡れないだろうと思って靴だけ脱いでプール参戦。
濡れないと思ったんだけどアホほど濡れたわ。この傘のシャワーみたいになってるところ、中は濡れないから入る時と出る時だけしか濡れないし、ちょっと濡れるだけなら楽しいかもと思ってINしたらアホほど濡れた。
濡れたワンピースのまま靴を持って裸足でホテルの部屋へと帰った(結構歩く)。流石に頭おかしかったけれど5歳くらい下のルームメイトは呆れながらも見捨てずに一緒にいてくれた。ごめんねアホなお姉さんで。
禁酒旅行記4につづく