広告収益でサイトを運営するのが難しくなってきている
2024年7月20日追記。
この記事を書いてから半年ちょっと経ちました。状況が変わってきてGoogle AdSenseの収益モデルの変更なども発表されました。広告収益で行うのは難しいだろうなぁとは思いつつも、不可能ではないと思っています。広告収益だけではなく、他の収益と組み合わせていくというのであれば運営できると思っています。自分も模索を続けています。
Webメディアやブログ、Webサイトを広告収益で運営するのが難しい時代になってきていると個人的に感じています。
2023年の年末時点での流動的な現象かもしれませんし、そうでないかもしれないです。
以下のような点からそのように感じています。
AdSenseのTCF v2.2への対応必須
広告内容の品質
広告を入れているときの操作性の低下による離脱
AdSenseのTCF v2.2への対応必須
2024年1月16日より、AdSenseを使って広告を入れる場合、TCF v2.2に対応したGoogle認定のCMPを使用することが必須要件になりました。
私も以前は広告収益で運営することを目指したブログを運営していました。多言語対応も行っており、英語で英語圏の読者にも向けていました。そのため、CMPを導入するなど、対応を進めていました。しかし、TCF v2.2に対応したCMPにより表示されるメッセージは長文で、比較的大きなポップアップダイアログのような確認ダイアログが表示されます。
iPhoneで表示した場合には、画面全体を覆ってしまうような表示です。そのため、サイトをそのまま離脱されてしまう場合がありました。また、PCで表示された場合、同意か非同意のどちらにも意思を明示せずに閲覧された場合には、広告が配信されないという問題もあり、収益性が一気に悪化しました。
私の運営していたブログでは1割以下にまで低下しました。
CMPやCDN、サーバー、記事作成時に使用するGrammaryやDeepL Proなど、運営に必要なコストをまかなうのは困難だなと判断しました。
広告内容の品質の悪化
広告内容についても不満がありました。自分でも目を覆いたくなるような、非常に汚い不快な写真が大きく表示されたり、下品な広告などが自分の署名が入った記事に配信されるのは不満でした。
そのブログで、広告収益以上に重要視していたのが、専門的な記事として多くの読者に認識されることです。その記事の中に、上記の様な広告や詐欺まがいの広告が配信されるのは問題があると感じました。
操作性の低下
広告は広告配信業者のサーバーから配信されます。そのため、読み込み時間が遅くなり、テクニカルSEO的な面でマイナスになるだけではなく、読者にとっても読み込みに時間がかかるのはストレスです。
また、広告が配信されることで、元から入れているウィジェットや記事のリンクなどの間に広告が入るので、スマホなどの狭い画面で見ると窮屈な感じになってしまいました。
自動広告も使っていたので、ページ遷移間や画面下から付いてくる広告などもあり、操作性も悪化してしまいました。
サイトからの離脱率の上昇
自分のブログでは、ここまで挙げた事柄により、サイトからの離脱率が上がってしまい、収益性が下がっていきました。
AdBlockを導入する方も増えてきていますし、今後も広告をブロックするための技術は増えてくることでしょう。また、広告の中には本当に悪質なものもあるため、セキュリティ的な観点からも導入される場合もあるでしょう。モバイルユーザーであれば、パケットの削減のために導入している場合もあります。
どのように変えていくか
透明性を高めて、広告を見たくないという意思も尊重する必要があります。そのような状況でも広告収益を上げて行くには、信頼され、PVも確実に成長しているサイトになる必要があります。
では、自分のブログはどうするべきなのかと検討しました。
その結果、以下のような方針で運営することに変更しました。
Web広告をやめる。
事業に貢献するためのブログにする。
自分の作品を紹介するための場所にする。
複数のブログを統合して運営コストを下げる。
Web広告をやめる
アフィリエイトも含めてWeb広告を止めました。同時に、CMPによる同意が必要となる技術も止めることにしました。CMPによる同意が必要となる技術というのは、Google Analyticsのことです。
アクセス解析は代わりにCookieなどを使用していない、Cloudflareのアクセス解析に変更しました。
これにより、サイトが非常に早くなり、テクニカルSEO的観点からもアクセスの増加が見込めますし、読者にとってもストレスが減ります。
事業に貢献するためのブログにする
そもそもとして、ブログはメイン事業ではありません。メインの事業はソフトウェア開発です。
ブログはソフトウェア開発というメイン事業で記録しておきたいノウハウを残すための場所というのが出発点でした。つまり、自分にとっても以下は重要でした。
サイトが早い(素早く内容を確認できる)
自分で何度も見る
内容を何度も更新する
短いメモも残せる
広告が入っていると、自分が見ていることによってPVが不正に上がっているように思われて、ペナルティを受ける可能性があるのではないかと思い、閲覧を躊躇していました。これは本来の目的を考えると元も子もないことでした。
それと、広告の設定の関係もあり、ある程度長い記事が必要でした。そのため、短いメモ的なものは記事にしていませんでした。
自分の作品の紹介場所にする
私はAppleプラットフォームでのアプリ開発の方法など、開発に関する技術書などを執筆しています。ライトニングトークでの登壇や研修講師なども行っています。これらも事業の一つです。
そこで、これらの作品をブログで詳しく紹介し、それを見てもらいたいと思いました。
そのために、今までWeb広告が入っていた、サイドバーや記事下に、自分の作品について書いた記事へのリンクを置くようにしました。
以前よりも紹介記事のPVが増えており、Amazonでのランキングが上がる日が増えたように思います。ちなみに、Amazonのランキングは日々というか刻々大きく変化します。売り上げが上がる度に大きく上昇し、売れていない時間は徐々に下がっていくという動きをします。
統合して運営コストを下げる
メインサイト、テックブログ、英語版のテックブログ、別のブログなど、各ブログやサイトを全て別ドメインやサブドメインで運営していました。そのため、それぞれに、サーバー代やCDN代、SSL証明書の費用、導入しているWebサービス(例えばCMP)などの費用がかかっていました。
また、複数に分かれていることで、オペレーションも複雑になり、メンテナンスには時間もかかっていました。
そこで、これらを統合して運営コストを費用面とオペレーション時間の両面で下げることを目指すことにしました。
こちらについては、2023年末時点では現在進行中です。
また、統合することで、アクセスが1箇所に集まり、PVの増加が見込めます。一部が統合されている状態でも、統合前の足し算よりも現在の方がPVが増えています。
どうするべきかはみな違う
私の場合はブログよりもソフトウェア開発事業に力を入れているので、この記事に書いたようにWeb広告をやめるという選択をできました。
しかし、Web広告の収益のみで運営しているWebメディアは多くあります。それらのメディアにとっては死活問題だと思います。サブスクによる有料のサイトになっていくのかや、運営サイトを増やすなど、メディアごとに対応は異なると思います。
自分自身はWeb広告の収益のみで運営するのは非常に難しい時代に移ってきていると思います。広告のおかげで無料で読めるメディアが沢山あるという時代から、自分で取捨選択して、サブスク契約をして読むという時代になっていくのかなぁと思っています。
英語版の記事
英語版の記事も公開しました。