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第46回 沖縄やくざ戦争(1976 東映)

 さて、『ベスト・キッド2』では盛大に間違った沖縄をご堪能いただいたわけですが、平等の理念に基づき今度はリアルな沖縄でお楽しみいただきましょう。

 もっとも、私の言うところのリアルは決して綺麗事ではないというある種の露悪趣味を内包しています。要は下世話なほどリアルというわけです。

 というわけで、沖縄社会の裏面をこれ以上なく下品かつ生々しく描いた実録ヤクザ映画の最左翼『沖縄やくざ戦争』でお送りします。

 千葉ちゃんが、松方弘樹が、そして渡瀬恒彦とピラニア軍団が中島貞夫監督の下で暴れ狂うという、もうどうしようもない(誉め言葉)映画です。

 日本一凶暴な沖縄ヤクザの生き様、モデルが実際にやったというおぞましい拷問の数々、歴史に翻弄されてきた沖縄という島の人々の悲哀、何処を切っても東映イズム全開です。

 あまりの内容に過激さに沖縄では公開できなかったという曰く付きの一本でもあります。そして、千葉ちゃんの暴れぶりヤンホモぶりは必見です。そして、裏の主人公ピラニアのドン、室田日出男なのです。

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真面目に解説

沖縄ヤクザという人種
 ヤクザに地域性があるというのは『ダイナマイトどんどん』以来何度か紹介したことですが、沖縄ヤクザは特にヤクザの中でも特異な生態を持っています。

 というのも、沖縄というのは法的には日本でも文化的には日本とは全く別であり、戦前は組織だったヤクザというものが存在しなかったのです。

 戦後になって基地へ忍び込む泥棒用心棒に生活の糧を見出した空手家によって作られたグループが現在まで続く沖縄ヤクザのルーツです。言うなれば、沖縄ヤクザは内地で言う所の愚連隊なのです。

 従って古い世代は空手の使い手が多いのが特徴です。喧嘩が強いというのはヤクザにとって大事な条件であり、千葉ちゃんがキャスティングされるのは当然の帰結です。

 そして、沖縄ヤクザを沖縄ヤクザたらしめるのは何といってもその凶暴さです。一般人だろうと警察だろうとお構いなしに攻撃してしまうのです。

 何しろ任侠道なんてものは最初から持ち合わせていないません。刺青や指詰めの風習がなかった事が描かれるのも興味深い点です。

 また、米軍基地が沖縄にはあるわけで、武器の調達も簡単です。拳銃が女房に護身用に持たせる程有り余っている有様で、いきおい喧嘩は過激になります。

 オープニングロールはマシンガンあり、斧ありの午後のロードショー風味の過激な戦闘シーンで景気が良いですが、これは決して誇張とは言い切れないのです。


抗争の方程式
 構造的な問題もあります。一般にヤクザというのは一つの組織に複数の組がピラミッド状に組み込まれていて、喧嘩が起きたら格上の組が適当なタイミングで仲裁に入って手打ちになるのが普通です。

 ところが、沖縄ヤクザは組一つでお終いの単純な構造になっている上、内地の組織とも交流が希薄なのでのでひとたび喧嘩になれば仲裁してくれる組がなく、泥沼の大喧嘩になってしまうのです。

 そんなヤクザ独立地帯に関西の大組織(早い話が山口組)が手を伸ばしてきた事がきっかけで起こった大抗争がこの映画のテーマなのです。

 しかし、沖縄ヤクザは山口組の侵攻を退け、広島と並んで数少ない山口組の勢力の及ばないヤクザの治外法権を形成しています。そりゃあこんな映画公開できるわけがないのです。


ヤマトが憎い
 映画は本土から進出してきた居酒屋のチェーン店を国頭(くみがみ)組のボスである国頭正剛(千葉真一)が襲撃するという東映ならではの導入で始まります。

 迷彩ズボンにランニングシャツとサングラスで決めた千葉ちゃんが例のオーバーアクションでビール瓶を叩き切り、店長をボコボコにするわけですが、襲撃の理由が縄張りとかみかじめ料とかではなく、「ヤマト(本土)が憎い」というあまりにしょうもない私怨なのがポイントです。

 モデルになった親分は本当にこんな理由で養老乃瀧を襲撃したそうです。程度はともかく、沖縄の人々には内地への敵対感情があったわけです。そして、こんなクレイジーな役を演じられるのは千葉ちゃんをおいて他にありません。

 幹部で保身しか考えない小者の石川(地井武男)がにやにやと見物を決め込む中、慌てて止めに入る兄弟分の中里(松方弘樹)

 松方弘樹が止める側というのがこの映画の狂いっぷりを物語ります。暴力のハイパーインフレが起こっているのです。


島から島へ
 そんな狂った兄弟分に悩む中里のもとに、同じ久米島出身である子分の二郎(尾藤イサオ)が同級生の宏(渡瀬恒彦)を組に引き込んできた所で一応の陣容が整います。沖縄ヤクザは恐いという感想しか出てこない取り合わせです。

 宏は異常性欲の与太郎ですが、渡瀬恒彦なので車の免許はなぜか持っています。千葉ちゃんが空手をやる以上、渡瀬恒彦がカーアクションをやらないとお客さんは許してくれないのです。

 中里組の若頭で氷屋をシノギにしている具志川(室田日出男)は久米島グループが4人に増えたと嬉しそうです。

 沖縄社会において本島以外の出身者は仲間意識を持ち、また本島の人間から有形無形の差別を受けるという悲しい現実があるのです。


狂犬の発情期
 この映画はトリプル主演のような形になるわけですが、松方弘樹はむしろ抑え気味で、千葉ちゃんと渡瀬恒彦のイカレぶりが見どころです。

 宏は頭は弱いですが性欲は病的に強く、女と見れば欲情して襲い掛かる有様です。具志川に「早くハニーを見つけんとな」と言われ、二郎に二郎の女であるスミ子(宮前ゆかり)の仕事仲間の信子(ひろみ摩耶)を紹介されます。

 ひろみ摩耶と言えば芸能界の薬物汚染の片棒を担いだことで有名です。しかし信子はそれなりに芯の通った中々の女であり、スミ子は最後は二郎を捨てて兵隊とマリファナキメちゃうオメコ芸者なのが今見るとブラックジョークです。

 その仕事が軍人相手の売春婦であるのが沖縄の偽らざる哀しい現実なのです。プライドの高い信子はタダでは寝ない方針ですが、宏の押しの一手とパンツにタオルを詰め込んで男らしさを強調する戦術に負けて結局良い仲になってしまいます。

 この二人と中里の妻である照美(新藤恵美)が一応ヒロインなわけですが、何しろ東映実録映画は女の扱いが雑なので、映画はいきおいホモ臭い方向へと進んでいくのです。


熱帯魚ピラニア
 千葉真一、松方弘樹、渡瀬恒彦と揃って監督が中島貞夫とくれば、当然脇を固めるのは皆大好きピラニア軍団になるわけです。

 拓ボンだけは『河内のオッサンの唄』の方で忙しかったのか不参加ですが、後の主だった面々はほとんど顔が見えます。ちなみに中里の子分の鉄夫(千葉二郎)の母親を演じる岡島艶子はサイレント時代のスター女優で拓ボンの義母です。

 そしてこの映画は実録映画の中でも死亡率が抜群に高いので、盛大に殺し合って死んでいきます。皆ピラニア軍団が可愛かったということなのでしょう。

 特にピラニア軍団第三の男、志賀勝の凶暴さは群を抜いています。国頭の子分の恩納を演じ、ピラニア軍団の仲間達におぞましい拷問を加えて共食いの限りを尽くします。

 千葉二郎の腕をぶち折って殴り殺し、片桐竜次達に穴を掘らせて殺して埋め、もうやりたい放題です。

 数年後に宏や大阪の大物の海津(梅宮辰夫)に率いられ、片桐竜次と一緒に『マッドポリス』として権力側について同じような事をやるのですが、それはまた別の話です。


たっくるせ!
 ピラニア軍団の中でも室田日出男は陰の主役というべき別格の活躍ぶりです。twitterの方で室田日出男をやたら前面に押し出したのはこのための仕込みでもあったのです。

 室田日出男の真骨頂は頼れないリーダーとサイコパスですが、本作では両方やってくれるのです。

 最初はピラニアの仲間達を引き連れて氷屋の親方としてハートフルに過ごしていた具志川ですが、困窮に耐えかねて独断で縄張りを侵してしまいます。

 しかし、そのせいで国頭の怒りを買い、なんと志賀勝にペンチで男の大事な部分をちぎられてしまうのです。本当にこの拷問は行われたというので血の気が引きます。

 バイクのエンジン音が鳴り響く中、暴れ狂いつつも志賀勝に会心の顔芸で去勢される具志川。それをアイスキャンディーを食べながら見物する国頭。映画史に残るバイオレンスシーンです。

 これ以降具志川は正気を失い、室田日出男もう一つの顔であるサイコパスとして「たっくるせ(ぶっ殺せ)」を連呼するクレイジーサイコホモに変身してしまうのです。

 沖縄方言、それも古い人のそれは事実上の琉球語であり、映画で再現しようと思うと大変なので方言についてはこれだけです。はなから捨ててかかっていますが、それが却ってこの言葉を際立たせて有名にしました。

 後に室田日出男は全部沖縄方言という尖った総集編が作られた大河ドラマ『琉球の風』島津の殿様を演じましたが、こんなところに伏線があったのです。


戦争だーいすき

 内ゲバしている間に関西の旭会が沖縄に手を伸ばしてきます。海洋博で利権が沢山出来たからというのが実にリアルです。

 そんな折に工藤(曽根晴美)という旭会の幹部が遊びに来て、クラブで国頭と一緒になります。上手とは言えない旅姿三人男を歌うのが気に入らなかったらしく国頭は歌を妨害し、服を脱いで三線を弾かせてテーブルの上で空手の型を披露する奇行を見せます。千葉ちゃんの趣味としか思えません。

 そして、飲み屋に必ず三線があり、一人くらいは弾ける奴が居るというのは実に沖縄チックで個人的には大好きな演出です。

 そして工藤をホテルで襲撃し、車で何度も轢いて殺してしまうのです。曽根晴美もピラニア軍団ではないですが実録ヤクザ映画には欠かせぬ男なので良い役もらえたわけです。

 沖縄ヤクザ達は戦争になると頭を抱えますが、国頭は「戦争だーいすき」「俺達は何十万のアメリカ軍と本当の戦争やったじゃねえか」と絶好調です。

 沖縄人の反本土感情にあの戦争が暗い影を落としているのは言うまでもありません。こういうところがこの映画は実は結構良く出来ているのです。

 そして、国頭の尻ぬぐいで中里が関西へ謝りに行くのが笑いを誘います。松方弘樹は他の映画では常に拭ってもらう側なのですから。

 そして国頭を見限ってしまう沖縄ヤクザの連合会の幹部が折本順吉と成田三樹夫です。もうこのメンバーである時点で沖縄ヤクザはもめる運命としか言いようがないのです。


さあ戦争だ
 案の定この一件は侵略の口実になり、翁長(成田三樹夫)は脅しに屈して関西についてしまいます。

 その一方国頭は中里がヤマトにすり寄ったと怒って二人は決別し、具志川が二郎と宏に拳銃を渡して国頭暗殺を命じます。

 これが拓ボンなら失敗間違いなしですが、渡瀬恒彦なので流石に強く、本当は仲直りするつもりだった国頭の油断もあって暗殺は成功します。

 銃弾を食らって金をばらまき、目一杯抵抗した挙句福本清三が立場を失うレベルの奇怪な海老ぞり(三点倒立)をかましてぶっ倒れる国頭。千葉ちゃんが天国東映に移籍した暁には名シーンとして何度も流れる事でしょう。

 死ぬ前に店の女に乗せられて琉歌を歌っていたのも見逃せない点です。捕虜の悲哀を歌った「PW節」というスタンダードナンバーです。下品極まる暴力映画でありながら、並の映画よりずっと的確に沖縄文化を描いています。

 これを機に沖縄に血の雨が降ります。室田日出男のサイコパス芝居が大爆発です。

 照子の雑なトルコへの身売り劇も挿入されます。沖縄のソープは安くて女の子が可愛いので有名ですが、新藤恵美で30万円はいくらなんでも安すぎると思います。

 そしてその30万円を志賀勝に拷問で殺された挙句奪われてしまう鉄男。千葉二郎を殺せるほどピラニア軍団はポジションを高めていたという事です。感慨深いものがあります。

 ピラニア狩りの末に中里は海津に土下座して石川暗殺を約束して資金を引き出し、ジープと武器を仕入れて本作最大の見せ場である人間狩りが始まります。

 ハンドルを握るのは勿論渡瀬恒彦。当時はCGも使えないので本当にカーアクションの出来る渡瀬恒彦は大活躍できたのです。ジープに皆で乗り込んで銃を乱射する様はまさに男の子の夢です。

 警察署の目の前で銃撃戦したりしちゃいます。当時の沖縄の警察官は拳銃を持っておらず、取り締まり力が弱かったのも沖縄ヤクザを増長させた一因でした。

 石川もみっともない死に様を晒して盛大に死に、具志川も迫真の演技で景気よく死に、どんどん人数は減っていきます。どっちの死に方も見事です。地井武男はこういうのが得意なのです。

 最後は中里と宏の二人で釣りをエンジョイする翁長と海津をボートで襲撃して血祭りにあげ、渡瀬恒彦は船もイケるという所を見せて琉歌と共にこの映画は終わるのです。

 とにかくこの戦争で沖縄への本土組織の侵入は阻止できました。しかし、沖縄ヤクザはその後もその凶暴ぶりを満天下に示して幾度となく戦争を起こしつつ今に至るのです。

BL的に解説

国頭×中里
 二人とも総攻め俳優ですが、この場合強そうな方が攻めになるわけです。千葉ちゃんを受けにできる役者など世間に何人もいません。

 そもそも中里は国頭の為に二人も殺して刑務所に入ったのです。コザの縄張り半分という恩賞があったとはいえ、本命は国頭への愛であったのは明らかです。愛は治外法権なのです。

 明らかに国頭は中里を愛しています。居酒屋襲撃も石川は止めようがないのに中里が駆けつければ国頭は思いとどまるのです。

 復帰のおかげで中里は恩典が貰えたと石川が嫌味を言えば謝罪を求めて襲い掛かろうとし、石川が中里暗殺を持ち掛ければやっぱりブチ切れます。

 侍らせていた女を突き飛ばして鬼の形相で「チンピラを何百人殺そうが屁とも思わねえが兄弟にだけは手を出すな」と凄まじい寵愛ぶりです。

 しかし、国頭は基本的にアホなのでコザの半分という約束をなかなか履行せず、中里の子分たちは困窮して縄張りを侵し、具志川を去勢してしまうのです。

 そして、国頭はこの事件でついに中里に縄張りを渡す決意をするのです。石川は当然止めますが、「兄弟になら殺されても後悔しねえぞ」とめまいのするようなことを言っちゃうのです。

 中里も中里で工藤殺害の尻ぬぐいに行って「指を十本残らず切られても文句はありません」愛のシーソーは震度7で揺れます。

 指詰めとは元は遊女の心中立てであるとどこかで解説しましたが、これも中里の国頭への愛の形なのです。本物の遊女は死罪人の指を買ってきて客に渡すオメコ芸者ばかりだったそうなので、この二人の愛の重さがうかがい知れます。

 しかし、国頭はヤマトの者に頭を下げたというので怒り狂います。「ヤマトの腐れ外道の手を借りねえと俺を殺れねえのか」と鬼の形相で中里をぶん殴ります。

 ここで注目すべきは、国頭は中里に殺される分には本当に構わないと思っている点です。二人の愛は第七艦隊でも阻止不可能なのです。

 コザからの退去を命じられて国頭暗殺が決行されますが、国頭はすぐに思い直して仲直りしようと中里を探します。しかし、それがあだになって居場所が判明し、国頭はすれ違いの末に宏の前に倒れるのです。

 何と悲しい悲恋物語でしょうか。「今夜は兄弟と夜明かしさ」と言っていたというのに、ほんのすれ違いで二人は殺し合ってしまったのです。

 ジープで人間狩りを始める段になった「死んだ国頭の親父さんにそっくりですさ」とよいしょした子分を殴り倒すあたりに中里にも未練があったのがうかがえます。これで琉歌ができるレベルです。

 

国頭×石川
 なんで石川はあんなに中里に意地悪したのか?いうまでもなくホモのジェラシーです。石川は自分だけを見ていてほしいのに、国頭の眼には中里しか映っていないのです。

 そりゃあ石川は面白くありません。意地悪して何とか中里を追い落とそうと、ひいては暗殺しようとします。しかし、国頭は激怒して頑として承知しません。

 中里に縄張りを割譲するのにも強硬に反対し、「国頭派をここまで大きくしたのはこの俺だ」と理詰めで責めますが、国頭の返事はゲンコツでした。

 ついに策に窮した石川は「俺か中里かどっちか選んでくれ」愛のシーソーゲームを挑みます。「俺無しでやっていけるならこの場で俺を殺してくれ」と先制攻撃を仕掛けますが、なんと国頭は「言うたな」と拳銃を取るのです。

 「文句があるならさっさと出て行け」と言われて完全にKO負けした石川は、国頭の上を行くヤンホモとして暴走を始めてしまうのです。

 国頭暗殺を機に石川一派は中里一派を徹底的に殺しにかかります。「兄貴の仇を討たん限り俺は理事長になれん」とは石川の弁ですが、明らかに兄貴を殺した中里が許せんという私怨が前面に出ています。

 しかし、みっともない死に様を晒して石川は具志川と中里にタマを取られてしまうのです。


宏×二郎
 二人はかけがえのない親友として固い絆で結ばれています。そして、二郎は宏を崇拝しています。喧嘩をすれば一番、走りも木登りも天才的という中里への売込みが小学生男子風でキュートです。

 異常性欲の宏が酒場で金髪の姉ちゃんに欲情して襲い掛かり、黒人の兵隊と喧嘩になった時も二郎は大慌てで駆け付けて消火器をぶちまけて助けるのです。

 島でもこんな調子だったとすれば、二郎は宏をなだめる為にそれなりの対策を講じなければいけません。そう、尻を差し出すのです。

 自らハニーになったとすれば二郎の宏愛は説明が付きます。そうでなければこの後の二人の行動は説明できません。

 国頭暗殺に成功した宏は信子と自首前の一発をかまし、二郎の事は黙って一人で自首します。宏はアホなのにハニーを守ったのです。

 そのハニーもスミ子を使って拳銃を仕込んだ弁当を差し入れし、宏を脱走させます。そして宏を逃がして自ら車ごと川に飛び込み、顔中やけどを負いながらも愛に報いるのです。

 顔を酷く火傷したせいでスミ子に捨てられた二郎は生きて帰る見込みのない大城暗殺に打って出て、大城の命と引き換えに蜂の巣になって死にます。

 スミ子に捨てられて自棄になったというのはノンケの発想で、私は宏への嫉妬と見ます。

 宏はこの抗争のナンバーワンの功労者です。その一方二郎は脇役であり、釣り合いが取れないのです。ハニーとしての沽券にかかわります。だからこそ最後に勲章が欲しかったのです。

 二人は地獄でお互いの手柄を語らいながら、二人きりの世界に耽るのです。信子は芯の通った中々の女なのでこの際コンドームを免除しますが、スミ子など使用済みコンドームに付いた性病の菌しかありません。


久米島ホモ島説
 久米島閥のホモ臭さは本作でも群を抜いています。注目すべきは受け率の高さです。

 中里は国頭の小姓であり、二郎は宏のハニーである一方で宏は中里のハニーでもあり、具志川は去勢されて強制的に受けになってしまうのです。

 去勢された具志川と、駆けつけるもタッチの差で間に合わなかった中里が向き合うシーンは何気のこの映画の最大のBLシーンかもしれません。

 「俺、悔しくて…」と自分の息子よりも中里と兄弟分を思う具志川。中里はその場でケツ掘って慰めてやりたいくらいなのに、立場上それも出来ず、具志川を殴り倒して「見損なったぜ」心にもない事を言う中里。

 任侠映画そのものです。国頭が縄張りを譲り渡したのは二人の愛にほだされたからに違いありません。

 思えば久米島が生んだ最大の有名人と言えばBLCDの女王、新垣樽助です。久米島にはやたら背の低いイケメン海軍パイロットが休暇の度に通っているとしてもおかしくないのです。久米島はグースの群生地なのです。

 それに氷屋もある意味アイスマンですし、アイスマンが森川のバージョンもあります。この件についてはタランティーノも賛同してくれるはずです。

お勧めの映画

 独自の統計(主観)に基づきマッチング度を調査し、本noteから関連作品並びに本作の気に入った方にお勧めの映画を5点満点にて紹介します

『ベスト・キッド2』(★★)(間違った沖縄と空手)
『実録外伝 大阪電撃作戦』(★★★★★)(同じような面々が大阪にて)
『激突!必殺拳』(★★★★)(千葉ちゃん大暴れ)
『県警対組織暴力』(★★★★★)(弘樹大暴れ)

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