きょうだいが生まれるということ

2歳後半の息子がどこまで理解しているか不明だが、母のお腹の中に「ばぶちゃん」が存在しており、時たま動いていて、最終的には出てくる、ということは一応分かっているらしい。
「ばぶちゃーん、おきてるかーい?!」
「ばぶちゃん…だっこしたいんだけどぉ」
「ばぶちゃん、でてくるかなぁ」
等と語りかけながらお腹を撫でたりチューしたりおもちゃを見せたりしてくれる。
私はお腹に話しかけたりするタイプではないので、親よりも親っぽい。
かと言って、遊び場等に行った時に特別よその赤ちゃんを可愛がったりする様子もなく、ばぶちゃん=赤ちゃん、またその赤ちゃんはこれから長い間ずっと一緒に生活することになる……ということはよく分かっていないのではないかと思う。

先日、魚の骨が私の喉に刺さったが幸いすぐに取れた、という会話を夫婦でしていたところ、
「ほねどうした?」
と言うので、
「飲み込んでお腹にいったから大丈夫だよ」
と答えたが、にわかに顔が曇り
「おなか?ばぶちゃん?」と心配しているようだった。
赤ちゃんに骨が刺さると思ったのだろうか。
「ばぶちゃんとは違うところに行くから大丈夫だよ」と伝えると、少し考えこみ、
「……ここ?」
と腕をモミモミしていた。
子どもの発想は本当におもしろい。
「ばぶちゃんいまここいる?」
と、ふくらはぎを揉んできたこともあった。
人体の認識がはちゃめちゃだ。

また別の日。
お腹に向かってお気に入りの車を見せてくれていたので、つい出来心で
「ばぶちゃんが車貸してほしいって言ったら貸してくれるの?」
と聞いてみたところ、
「かしてあげる……あーん!だめ!かしてあげないの!!」
と半泣きで訴えてきた。
その後も何回も不安そうな顔で
「ばぶちゃんかしてあげるの……(貸してあげなきゃダメですか?的なニュアンス)」
と呟いているので、貸したくなかったら貸さなくていいと都度伝えているが、プレッシャーになるようなこと言わなければよかった…と少し後悔している。
まぁ実際、大きくなっておもちゃで遊ぶようになったら貸してあげてほしいとは思うんだが。
その頃にはトミカは卒業しているんだろうか。

きちんと理解していないかも知れない、でももしかしたらすごく深いところで理解しているかも知れない、とも思わせられる最近の言動である。
仲良くしてほしいけど、兄になるというプレッシャーを与えたいわけではないのだ。
これまでずっと甘やかされ、何も言わずとも誰よりいちばんかわいがられるのが当たり前だった息子の、最後の一人っ子生活を大事にしてあげたい(と思いつつ毎日些細なことでブチギレている母である)。

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