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会えているようで会えていないあなたへ

昨年度から、誕生日や折にふれて 大事な人たちに何冊も本を贈ってきました。
「おすすめの本はなに?」という問いがなによりも苦手で、絶対に続けられないだろうと思っていたのに、いつの間にか、本を選んだり探したりするのが楽しくなっていきました。

「本を贈る」ということには、相手の趣味や興味、「こんなのがすきそうだ」といういろんな思いを馳せながら、本屋さんをくるくると回ることから、楽しみがあるんだと思います。何気なく読んだ本から、「この本、○○さんが好きそうだ」とふと思いを馳せることも多くて、つくづくすきな人にしか贈れないな、と思うようになりました。


旧友、というか今とっても友だちだと思ってる人に、「あなたがもし、さみしそうな顔をしていたら どんな本を手渡すか」を思ってかこうと思います。


会えているようで会えていないあなたへ

久しぶりに会って、あなたがさみしそうな顔をしていたら 自分はきっと胸がぎゅっとなってしまうだろうな、と 想像するだけで悲しくなりそうです。

COVID-19の影響で今年度になってからゆっくりあうこともできないまま、授業のブレイクアウトルームで話し合いをするときにちょっと顔を合わせたり(オンライン)、ラインやお手紙でゆるやかにやりとりをしたり。「全くあっていない」わけではないけれど、何となく「超会ってる」わけではない感じのあなたが、慣れない実習やら今までにない夏にすりへっているんじゃないかなあ、と ひそかに(密かに?)心配しています。

今あなたに、本を手渡せるとしたら、この本を贈りたいなあと思って、このnoteをかこうと思いました。

「ちどり亭にようこそ」という小説。
自分はあなたに、この本を読んでほしいなと思ったんです。

京都のちいさなお弁当屋さんのお話です。店主の花袖さんとアルバイトの「ぼく」の周りで起こる、お弁当屋さんを舞台にした物語です。誰かのことを思って料理をしたり、丁寧に作業をすることの暖かさややさしさがあふれている、京都の小路で本当にお弁当を買いたくなるような、やさしくなれる小説です。

自分から見てあなたは、いつもニコニコきらきらしていて、真面目で頑張り屋さんの すてきなすてきな後輩です。
でも、というか だからこそ、「息がつけますように」と思うんです。それはひとりになることで叶うかもしれないし、おいしいご飯を食べることで叶うかもしれません。

「生活をすること」って、当たり前のようでいて、ぺいっと軽んじさせてしまうこともできる。自分はこの小説を初めて読んだとき、「おいしいご飯がたべたい」と思いました。

いつか、生活がどうでもよくなってしまうときがあったら。しんどそうなときも、楽しそうなときも、ごはんを食べ、眠り、好きなものを愛で、たのしくしていることが難しいのは 誰だってそうだと思うからこそ、「暖かいご飯を丁寧に」食べられる場所があるといいなあと思うんです。
そしてその「ごはんを丁寧に食べる」場所の選択肢のひとつに、自分もいられたらいいなあと 少しだけわがままに思ったりします。

実習が「楽しくなってきた」といっていたのが最高にかっこいいなと思いながら、あと少しの期間にすこしでも楽しいことがあったら、とか 終わってから ゆっくりご飯を食べに行きたいねとか 「息がつける」生活の一つに、「丁寧なお弁当」や人のかかわりを思い浮かべられたらと思ったので、この本を贈ります。

どうかあなたが、無理の少ない「生活」の時間を過ごせますように。
自分はいつでも、ここにいます。

自分もあなたのかえる場所のひとつでありますように。


このnoteは、このnoteをきっかけに書き始めました。


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