オイルラインを考察する
エピソード49
令和6年10月
エンジンのオイルの流れる経路ですが、ZRXは最初にエンジンを開けた時に全て確認しました
エンジン内のオイルラインを大幅に変更する事は出来ません
基本の経路はエンジンの設計段階で決まるので、出来る事は広げる、埋める、整えると
稀に新設したりも有ります
何故、オイルラインをいじるかと言うとオイルの供給不足による油膜切れを防ぐ為です
エンジンブローの王道、"足が出た"
と言うのも子メタルの油膜切れによるメタルブロー→コンロッド骨折→ケース突き破りといった事です
つまりオイル穴加工は前にも話した攻めと守りのうち、守りのチューニングです
ZRXのエンジンを見てみると、オイルラインはエンジン真ん中から左右2経路に分かれ、コンロッドへは6つ有るクランクジャーナルの2番目と5番目からクランクシャフトの中を通り、1,2番、3,4番へ振り分けてオイルが流れるようになってます
この経路だと子メタルへのオイルの供給がほぼ均等に油圧が掛かるように思われます
4輪の直4でエンジンのフロント側にオイルポンプが有り、1つのラインで順番にジャーナルにオイルを供給するタイプ等はコンロッドの4番は油圧の低下が起き、チューニングを進めて行くとどうしてもオイルラインの遠い4番の子メタルがブローしてしまいがちです
昔、4番子メタルばかりがブローして悩みました(笑)
そこで流量を増やす為にオイル穴を加工するんですが、穴を広げて沢山流れるようにするか?穴を絞って圧を上げるか?
そこはチューナーの技量です
もちろん油圧を上げる為にリリーフバルブにシムを入れて油圧を上げたり、それに伴いオイルポンプギアを強化したりもします
さて、ZRXの方ですが先程も話した通り、子メタルへのオイルの油圧はほぼ均等と思われるのでクランクケース側は整えるに留め(ポートの段付きを取るのと同じ)
回転するクランクシャフトのオイルの受け口を少し早く受け取れるように加工します
ファンネルと同じように沢山入れる為ですが、広げるのは開き始め側だけです
この加工は子メタルのブロー対策に有効です
コンロッド側のオイルの出口は広げても大した効果はないのでそのままです
クランクケース側はオイルがスムーズに流れるため段付きを取ったりオリジナルの仕上げの悪さを改善しただけです
リリーフバルブも前回の時からシムを入れて油圧を上げる事はしていません
ここで私が最近購入したダエグのオイルラインを見てみましょう
コンロッドに行くラインはZRXと同じ様に振り分けられて1,2番と3,4番のコンロッドに行ってますが、子メタルに入る2つを含めた5つの親メタルに行くラインが3経路から枝分かれしてます
油圧のバラ付きが微細ですが有るような気がします
ヘッドへ行くオイルラインも片側から奥へ伸びてます
カムのかじりが心配です
開けてないので分かりませんが、ひょっとしたらカムに行くラインの穴の大きさが手前と奥で違って対策をしているかも分かりませんが...
ZRX400はヘッドへのオイルラインは真ん中から上がり両端へ振り分けられています
クランクのジャーナルは6ヶ所です
ダエグは5ヶ所です
これはカムチェーンが真ん中にあるか端にあるかの違いによる物ですが、親メタルが6ヶ所なのとオイルラインだけの素性はダエグよりZRX400の方が良いように思います
今日は地味な守りのチューニングのオイルラインの事を話しましたが、オイル穴加工はまだエンジンの他の場所にも多数行ってます
エンジンの構造を理解しエンジンが動いているのを頭の中でイメージすると自ずと分かってくると思います
皆さんも頑張ってエンジンの構造を理解しては如何でしょうか?