アキレスと亀 (2008)

北野武フィルムは
結構観てきてますが


まだまだ名作が尽きないなと
改めて思いました。












彼の著書か何かで読んだんだけど
数学的に映画を撮ってるんだって。



たとえばヤクザがぞろぞろやってきて
その中の1人を主人公が殴り倒したとして

その後のカットで
倒れてる他のヤクザたちを
パン、パン、パン、と映すことで

主人公が殴り倒した×ヤクザの人数

が成り立つ、というようなことでした。



思えば
菊次郎とさきを
テレビドラマで観てたとき
たけし役の塚本高史は
大学に数学を勉強しに行ってたな、と。


つまり、たけしは数学人なわけで。






アキレスと亀 というのも

数学的なパラドックス問題らしく。


映画の冒頭で語られるので
詳しくはそちらを。








芸術家を目指し続ける男の一生を軸に
話が進むんですが

最終的に世の中に必要なのは
愛なのかなぁと思いました。




主人公はおそらく

とにかくずっと孤独で

心の拠り所が芸術しかなくて

そうならざるを得ない
幼少期を送っていて。



唯一の理解者が
妻となる女性なんですが

この妻役の樋口可南子が
めちゃくちゃ素敵です。

セリフもだけど間とか視線とか
たけしとのやり取りがもう絶妙。



劇中でも語られるけど

どんなに芸術を語ったり
芸術を生み出そうとしても

貧困の地で
おにぎりとピカソが並んでいた時

誰もが間違いなく
おにぎりを選ぶはずで。




それでも人は芸術を語りたがる。
芸術に触れたがる。
芸術を欲してしまう。
世の不思議。


芸術とは何だろう、を
たけしさんはちゃんと考えてる人だなと
思いました。



劇中に山ほど絵画が出てくるけど
全部たけし作ですって。

すごい。

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