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7. 電車に泊まろう

 長距離の移動手段と言ったら、特急列車や新幹線、飛行機、船などがある。また、夜間に移動して翌朝に到着する夜行バスや長距離フェリーもあるだろう。他の手段として、国内で毎日寝台特急が走っているのはご存知だろうか。その名もサンライズエクスプレスだ。サンライズ出雲は東京から鳥取県の出雲市、サンライズ瀬戸は東京から香川県の高松を結んでいる。今回はある旅の途中で後者の瀬戸号で移動したので、その道中をお届けしたい。


予約方法


 基本駅のみどりの窓口かJR西日本の予約サービス"e5489"のどちらかを使うことになる。乗車日の1ヶ月前の午前10時に一斉で販売開始となる。予約する日にもよるが、私は販売開始の4日後に前者で購入したが、シングルの2階部分は売り切れていたものの他は残席(部屋)に十分余裕があった。ちなみに、ノビノビ座席だけはJR東日本の予約サービス「えきねっと」などでも予約できる。だが、オンライン予約では事前予約対象外で自動的に部屋が割り当てられるシステムだ。基本的に割引はないが、乗車券を長距離にすることや、通常期や閑散期にのることで特急券の加算額を抑えることで多少は安くなる。

設備


シングル下段の室内
小さめのスーツケースはなんとか収まる


 部屋の設備は以下の通りだ。
・ビーズで高めの枕
・ゴムの帯付きで薄めの浴衣
・コンセント一口とテーブル
・部屋は内鍵
・ハンガー1つ、掛けないと揺れで音がするので何か掛けたほうがいい
・分厚目のスリッパ
・身長170cm弱の私がなんとか立って着替えられる高さ
・機内持ち込みサイズのスーツケースが収まる幅

 このサンライズ号には6種類の区画があるが、1番部屋数の多いシングルで1階部分の最も台車から離れた区画をみどりの窓口で予約した。

乗車記


列車外観


21:30 東京駅に到着、乗車
 日本有数の品揃えを有する駅弁屋祭は半数以上の商品が売り切れていた。東海道線のホームに行くと、サンライズ号は既にホームに到着してドアが開いていた。

東京出発

21:50 東京出発
 部屋の電気を消すと都会の光の結晶が窓から流れて見惚れる。前もって用意していたお菓子とジュースを口にしながら黄昏れる。時折ホームすれすれのになり、東海道線や横須賀線などにある普通列車グリーンの1階席と似たような景色を味わえた。

次の横浜に停車中


22:36 辻堂平塚間で検札、乗車券と特急券を車掌さんに見せた。

22:56 二宮鴨宮間でおやすみ放送があり、そのあたりでカーテンを閉めて就寝した。

4:58 京都と大阪の府境付近で列車遅れと接続案内
48分遅れで姫路で新幹線みずほと岡山で特急しおかぜ、南風への接続が取れないこと、乗り換え予定がある人は申し出すること、高松から琴平までの運転を打ち切ることの放送があった。時刻通りであれば、始発便の新幹線や特急への接続があるが、それが今日に限り取られないということだ。

夜は混んでいたラウンジも朝はガラガラ

 岡山で出雲号と切り離しをした後、瀬戸大橋を渡って岡山から香川へ列車は進んだ。朝日と遠くまで広がる島々と青い海が私の心を掴んで離さなかった。そんなことを思っていると列車は終点の高松に1時間遅れで到着した。下車後は駅前のうどん屋にて朝食を取った。麺のコシや弾力やつゆの味わいなど、安心感がありながら非常に高いクオリティのうどんを堪能した。

言葉に出来ない美味しさがある香川のうどん

感想

 加減速による揺れはあったものの、台車の音は全く無かった。私は船中泊を10回経験しているが、乗り物の夜行移動の中でかなり良く寝られたと思う。料金面では少し高めではあるが、この非日常感はプライスレスだと感じた。ただ、6号車と13号車の喫煙区画はかなり強い煙草の匂いがしたため、嫌煙家の人は注意されたい。
 有名な津軽海峡・冬景色の歌詞の冒頭にある「上野発の夜行列車」のように、昭和までは長距離移動の手段として寝台特急が東京や大阪から各方面に向けて運行していた。近年は飛行機や新幹線、夜行バスなどによって徐々に数を減らし、現存する定期列車はこのサンライズ号のみとなった。長距離を移動する割に寝台設備のために利益率が低いらしい。私もあまり利用する機会はないが、移動の手段の一つとして乗って残していきたい。

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