ほうれん草の無農薬栽培の経験談、土作り 成長不良の原因、病気や害虫

春まきと秋まきを両方楽しめる葉物野菜。しかし虫も付きやすく、ほったらかしにしてしまった、という苦い経験を持つ方もいると思います。
また、採れすぎて家族では食べきれず、とう立ちさせてしまったり、収穫しても冷蔵庫に入れっぱなしにして痛ませてしまったり、なんてことも。私もいまだにやってしまいます。
葉物野菜の中でも、ほうれん草は虫が付きにくく、茹でてしまえば冷凍して保存ができる野菜です。
ほうれん草は、安売りの時以外は比較的高値のイメージがあります。その割に特別おいしいわけでもなく。家庭菜園で収穫したものを一度食べてしまうと、濃厚な味に厚みのある葉の食感に驚き、買って食べることに躊躇してしまいます。そして無農薬有機栽培で栽培したほうれん草は、しっかり汚れを落とせば赤い軸までおいしく安心して食べられます。

栽培には押さえておくポイントもあります。昨年大収穫で成功した私のほうれん草栽培についてまとめてお伝えしたいと思います。
ちなみに、私の住んでいる地方は、10月以降極端に寒くなる雪国で、ほうれん草は春まきで植えました。地域によって調節してみてください。

① 無農薬でほうれん草を栽培するために

葉物野菜は虫が付きやすいイメージがありますが、それはキャベツや白菜等アブラナ科の葉物です。ほうれん草はアカザ科(根菜のビーツと一緒)で、独特のにおいのせいか、害虫は他の葉物より少ないです。
しかし気を付けなければいけない点もあります。

・植え付け前に、有機石灰を他の野菜より少し多めに漉き込む
・本葉が出てきた後は、しっかり間引きをし、そしてしっかり土寄せをする
・真夏を避けて栽培する
・春まきの場合、早めの収穫を意識する

上記を守れば育ちます、と断言はできませんが、7割がた育つでしょう。
逆に守らないと、うまく育たないとも言えます。
重要ポイントを中心に、私なりの栽培方法をお話しします。

② 土作り、植える場所のポイント、植え付け時期

ほうれん草の土作りでは、石灰を多めにする、ということが重要です。酸性土壌を嫌うのです。その為、石灰が必要のない野菜(イモ類など)を近くに植えるのは手間になるので避けます。葉物野菜の為、インゲン以外の豆類(エンドウ・枝豆)とうまく混作すると、マメ科の窒素固定をする性質の恩恵に預かり、成長を促します。
石灰が多めの割に、元肥のみで追肥はせずとも育ちました。
また、水はけの良い土を好むので、多少高畝にするか、日当たりがいい場所(ただし気温に注意)に植えます。日当たりがよくないと、生育が遅れ、結局間引いてしまった事もあります。
筋蒔きにして土を軽く抑え、発芽まで水やりを、とよく本には書いてありますが、ほうれん草の種は水やりするとびっくりするほど流れていきます。はじめに土にたっぷりと水を含ませ、その後に種まき、という流れの方が、安心して種まきできるのでおススメです。

植え付けの時期は、春まき秋まきとそれぞれ違いますが、どちらも真夏の一番暑い時期に育てることを避けることが重要です。春まきの場合、暑くなるほどとう立ちし、秋まきの場合、発芽しにくくなおかつ生育不良に陥りやすいのです。

③ 間引きと土寄せ

販売されているほうれん草を見ると、一束ごとは弱々しく見えます。しかし実際に育ててみると、こんな小さな種からこんな大きい株に育つのかとびっくりさせられます。
しっかりと間引きして、最終的には15センチ以上間隔を空けて育てましょう。生育が良いようなら、もっと思い切って間引いても良いかもしれません(去年の私の栽培の反省点でもあります)。
また苗が小さいうちは、しっかりと土寄せしないとすぐに倒れてしまいます。まっすぐになるように強めに土寄せをします。

④ それでも生育不良もあった

石灰を多めにいれ、間引きもしっかり行い、土寄せもして、それでも生育不良のこともあるでしょう。私は、一部のほうれん草を畑内で少しだけ場所を離して育てたのですが、生育状況が別物でした。
まず、大きく違ったのは日当たりです。やはり日当たりは良ければ良い方がいいようです。また、その一部を植えたのは畑の隅の方でした。畑の隅だったので、石灰が十分に漉き込まれていなかったのかもしれません。また、あまり目につかない場所だった為、小さい雑草も割と多かったのです。

どんな環境でも育つとは決して言えない、虫は付きにくいけれど目を配る必要がある野菜だと痛感しました。

⑤ 病気や害虫について

前述のとおり、ほうれん草は虫の付きにくい野菜です。多少気になったのは、蛾の卵をまとめて植え付けられる点でしょうか。ものすごく気持ちの悪い光景ですが、孵化してもほうれん草の食害はほとんどありませんでした。それよりも収穫の時に嫌な気持ちになるので、早めに取り除いてしましましょう。
また、少しでもとう立ちが始まると、一気にアブラムシが付きやすくなりました。

病気に関しては、モザイク病という葉の色にムラが出る病気になりましたが、そのころにはもう収穫時期。その部分だけ取り除いて収穫しました。いろいろ調べてみると、夏の暑い時期に起きるようです。春まきで真夏に当てなければそこまで気にするほどではないと考えます。

⑥ 収穫の注意点

春まきの場合は、とにかく早め早めの収穫をします。特に夏の気候になると、小ぶりのものも一気にとう立ちします。食べられないわけではないですが、葉は固くなり、それまで最小限だった虫が発生します。
また、夏前に一気に収穫ということもあります。茹でて冷凍しないと食べきれない量になることもしばしば。時間にゆとりを持って収穫にあたることをおススメします。

以上が私のほうれん草栽培をやってみてのポイントです。虫が付きにくいという点では、他の葉物に比べとても育てやすいですが、予想以上に大きくなりあわてて間引きしたりと、虫以外の手間がかかりました。
しかし採れたてのほうれん草は、湯がいただけでご馳走です。是非栽培して味わってみてください。

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