瘴気は、男の顔を白く染め、心を黒く塗りつぶした。
「犯罪都市」と呼ばれる街の片隅で、ひっそりとつつましく暮らしている心優しいコメディアンがいました。
いつか、テレビの向こうのスターのようになることを夢みて、仕事をして、たった一人で母親を介護する毎日を過ごしていました。
そんな男が、様々なものから虐げられ、心は踏みにじられて、よどんだ空気は彼の心を蝕んでいきます。
徐々に押し隠せなくなる葛藤。そしてついに、男は超えてはいけない一線を超える。
脱げたはずの道化の面は、やがて彼の顔と一体となり、街の負の象徴へと化していくのだった…
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と、映画「ジョーカー」の粗筋をおおげさに書いてみました。
この映画で久しぶりに「呑まれる」感覚を味わいました。
4Kだろうと8Kだろうと3LDKだろうと味わえない感覚です。映画館の指定された席にいるはずなのに、なぜか画面の中に自分の意識がいます。
そんな感覚を味わいました。
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作り物にしては、一人の人間が壊れていく様を上手く描きすぎています。
あまりにも完成度が高いがゆえに、社会情勢が不安になると、表舞台に出てこなくなる作品だといえます。
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劇場で観た当時と自分と社会の情勢があまりにも異なるので、もう一度見てみたいです。
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