頭がふわふわする
月曜からずっと、頭がふわふわする。
土曜の夜に友達ととってもおいしいお酒をたらふく飲んで夜を明かした。案の定日曜は二日酔いだったので、それが続いているのかな、と思っていたけどどうも違う。
働いても働いても、仕事が終わらない。
新しく入った会社はみんな仕事がとてもできる人たちで、自分の効率が悪いのだなと思って始業2時間前から作業を始め、定時3時間後に切り上げる。勤怠をつけたら注意を受けたので、その日からこっそりやるようになった。それから2週間も経たないうちに、頭がふわふわしはじめた。
まず寝不足が思い当たった。生来の寝つきの悪さに加え、仕事のことを考えると朝方まで眠れない。これが一日おきに起こる。眠れなかった日も、14時間働く。そうしたら疲れて眠れる。次の日はまた眠れない。
退勤後、日付が変わる直前に犬の散歩に行く。
いつもの時間だったらお友達と会えるはずだったのに、寂しそうに歩く犬の見て、こんなはずじゃなかったと涙が出た。あ、なかなかよくない状態だな、と気づく。
自分一人だったらこのまま頭をふわふわさせたまま、働いてたかもしれない。しかしわたしには養う大切な犬がいる。この子とあと十年くらい、幸せに暮らしていくために、いま心を壊してはいけない。
何人か友達に話して、休むことを決めた。
今日はお昼まで寝て、とりあえずハローワークと病院に行った。
何もわからないわたしに、風邪をひいているらしいハローワークの職員の女性はわかりやすく説明をしてくれた。声が枯れていて咳が辛そう。
わたしはよく噎せる。話してる途中に咳を頻発させてしまったとき、相手に気遣われるとかえって申し訳ない気持ちでしんどくなることを知っている。ゆっくり相槌を打つ。帰りに一言お大事に、と伝えた。
病院に行く途中、院内マスク着用必須と知り、慌ててコンビニに駆け込む。鼻セレブのマスクなんて出てるんですね。
レジに持って行くと、おそらく中東系であろう店員さんが、おぼつかない手捌きで会計をしてくれた。QRコード決済の読み取りがうまくいかない。バーコードリーダーをスマホにピタッとつけてるから。ちょっと離すといいかも、とやってみせて、お互いエヘヘと笑った。みんな、なんとか生きてるね。本当にえらいよ、ありがとうね。
病院で話を聞いてもらう。あらためて状況を言葉にすると、涙が出てくる。適応障害とのこと。
病名がつくことで安心する人とそうでない人がいると聞く。今回わたしは後者だった。子供の頃はすぐ冷えピタ貼ったり、包帯巻いたりしてたのにね。
お医者さんには、まず朝起きたらちょっとでもやりたいと思ったことをやってみてください、と言われた。今のわたしには結構むずかしい指示だ。
ここ最近、やりたいことがわからなくて、買い物に行ってもウロウロして何も買わずに帰ってきてしまう。ご飯を食べることが大好きなくせに、何を食べたいかわからなくて買い物ができないし、外食するお店を選ぶことも、お店で何を食べるかを決めることも、普段の比じゃないくらい時間がかかる。ルキア奪還編くらいかかる。
でも慣れていくしかないよな。(「〜しかない」みたいな表現は多分よくないんだけど、いまはそう表現するより他が思い浮かばないのです)
まず最初の練習として、お昼からずっとお腹空いていたくせに先延ばしにしていた空腹を満たす、というミッションを遂行した。駅前の食券制の食堂にいき、券売機の一番右上にあるメニューを食べよう!とあらかじめ決めて臨む。
入店して右上を見る。
17時〜限定ロースカツカレー1000円。
幸先がいい。きっと大丈夫だと思う。
ふわふわした頭で食べるロースカツカレーは人生で一番白米を余らせてしまった。こういうときって配分もできなくなるのね。