書籍「研究不正」を読んで
黒木登志夫著「研究不正 科学者の捏造、改竄、盗用」を読んでの感想。
上司からの一度読んでおいて、と渡された一冊。
医学系分野で研究をされている著者が、著者自身の経験も交えながら過去の研究不正に関わる事例研究をまとめています。
21もの不正事例が、その背景が分かるように紹介されていて、テンポよく読めました。
特にSTAP細胞に関する項目は詳しいです。恥ずかしながら記者会見の有名な報道くらいしか知らなかったため、勉強になりました。
後半では、組織論をはじめとして様々な角度から研究不正がなぜ起こるのかが記されております。全体的にすーっと入ってきました。
個人的にこの本で興味深かったのは、小学生でも思いつくような不正が結構行われるなあ、という点。
本書の中でも、
・マウスの毛の色をマジックで塗る
・他人の論文を盗んで投稿する
・自作自演で埋めた石器を発掘する
といったあまりにもビックリな不正事例が紹介されております。
これらは分析しても役立たない異次元の行為といった書かれ方をされています。
意味が分からな過ぎて笑ってしまいますが、これも人間のすること。
自分では想像もつかない範囲でも不正は起こりうることを心のどこかに留めておきたいと思います。
この本を読んでいて思い出しましたが、
学生時代に友人が必修授業の実験レポートを完コピしたのがばれて、再履修となっていたことがありました。
不正の中でも、こういった面倒くさい授業のレポートをコピーしてしまう心理は共感できるものがあります。
不正に走る原因は、結果を出さねばならないという焦りがほとんどだと思います。
科学者も完璧ではありません。
誰にでも追い込まれた時に負の感情が芽生える可能性はあると思います。
研究者はどうしても社会的な立場上、結果に終われる人生となりがちですが、数字に常に追われるストレスとうまく付き合って、ワクワクする気持ちとのバランスを取りながら過ごせたら幸いです。
不正とまではいきませんが、ミスによる撤回も避けなければいけないです。
データの分析を色々とやっている今日この頃ですが、どーしても気づかぬミスは起きてしまいます。(くだらないことから、結果ががらりと変わるミスまで)
自分で作ったプログラムなんて基本的には信用ならぬ!人が作ったものなんてもっと怪しいぞ!という気持ちで慎重に進めていこうという所存です。
最近のちょっとした心持として、関係者と随時結果を共有する、コードは全て公開する、という前提でデータ分析を進めると、良い結果につながると思っています。